エコリカ対キヤノン訴訟メモ

報道

 プリンター用のインクカートリッジを自社の純正品しか使えないよう設計し、リサイクル品の参入を妨害したのは独占禁止法に違反するなどとして、リサイクル品を製造・販売する「エコリカ」(大阪市)が27日、精密機器大手「キヤノン」(東京)に3000万円の賠償などを求める訴訟を大阪地裁に起こした。
 訴状などによると、エコリカは、キヤノンなど大手メーカーの純正品の使用済みカートリッジを家電量販店などから回収。自社のインクを注入し、「エコリカ」のブランドで純正品より約2~3割安いリサイクル品として販売してきた。
 しかし、キヤノンが2017年9月以降に発売したプリンター用のカートリッジは、他社がリサイクルしたものを装着すると、「インクなし」と表示されるように設計。使い続ければプリンターが故障するとの警告も出るようになった。
 この結果、純正品のカートリッジが市場でシェアの大半を占め、エコリカはリサイクル品の製造・販売ができなくなったと指摘。キヤノンの設計は独占禁止法が禁じる「抱き合わせ販売」などに当たると主張している。

「再生インクの参入妨害」販売業者がキヤノン提訴 純正品以外はプリンターに警告 - 毎日新聞

なお、株式会社エコリカ、キヤノン株式会社に対する訴訟の提起に関するお知らせ|株式会社エコリカのプレスリリース

 

関係条文

実体規定

不公正な取引方法14項 自己又は自己が株主若しくは役員である会社と国内において競争関係にある他の事業者とその取引の相手方との取引について、契約の成立の阻止、契約の不履行の誘引その他いかなる方法をもつてするかを問わず、その取引を不当に妨害すること。

独占禁止法19条が「不公正な取引方法」の禁止規定、2条9項がその定義規定、同項6号ヘの委任に基づく指定。

 

差止請求の根拠

独占禁止法24条 第8条第5号又は第19条の規定に違反する行為によつてその利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある者は、これにより著しい損害を生じ、又は生ずるおそれがあるときは、その利益を侵害する事業者若しくは事業者団体又は侵害するおそれがある事業者若しくは事業者団体に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。

 

公正取引委員会の見解

リンクは後掲。 

キヤノン事件

当該事案では問題が解消されたことから審査を終了していますが、一般論として次のように述べています。

プリンタメーカーが,例えば,技術上の必要性等の合理的理由がないのに,あるいは,その必要性等の範囲を超えて
ICチップに記録される情報を暗号化したり,その書換えを困難にして,カートリッジを再生利用できないようにすること
ICチップにカートリッジのトナーがなくなった等のデータを記録し,再生品が装着された場合,レーザープリンタの作動を停止したり,一部の機能が働かないようにすること
レーザープリンタ本体によるICチップの制御方法を複雑にしたり,これを頻繁に変更することにより,カートリッジを再生利用できないようにすること
などにより,ユーザーが再生品を使用することを妨げる場合には,独占禁止法上問題となるおそれがある(第19条(不公正な取引方法第10項[抱き合わせ販売等]又は第15項[競争者に対する取引妨害])の規定に違反するおそれ)。

 

相談事例

(1) 本件については,印刷機器の市場において高いシェアを有するA社が,自らの供給する印刷機器Xの性能の向上及びインクボトルの生産・管理コストを削減する目的で研究開発の成果を利用するものである。しかしながら,A社は,同社の印刷機器X用インクボトル市場(A社用インクボトル市場)においても非常に高いシェアを持つことから,自社の印刷機器Xの性能の向上及びインクボトルの生産・管理コストの削減を達成するために合理的に必要と認められる範囲を超えて印刷機器Xの機能等を変更し,その結果,A社用インクボトル市場において競争関係にある独立系事業者の事業活動を困難にするおそれがある場合には,独占禁止法上の問題を生じる。

(2) A社が開発した新技術については,同技術が導入された印刷機器Xでは,所定の情報を入力したICチップを搭載したインクボトルのみが使用できるようになり,既存のインクボトルは使用できなくなることから,独立系事業者の事業活動にも一定の影響を及ぼし得るものである。
 しかしながら,

ア インクボトルに搭載するICチップは市販されているものであり,独立系事業者でも容易に入手可能であること

イ 当該ICチップを付けたインクボトルを印刷機器Xで利用するために必要は情報は,A社のマニュアルなどで一般に公開されており,独立系事業者にも自由に利用可能となること

から,合理的に必要な範囲を超えた機能変更とは認められず,また,独立系事業者の事業活動を困難にするおそれがあるとまでは認められないことから,直ちに独占禁止法上問題となるものではない。

逆に言えば、アとイが満たされていないのであれば、独占禁止法違反の問題が生じうることになります。

今回のものがこれらとの関係でどうなのかについては、調べきっていない&事実がよくわからないのでコメントはありません。

 

関係文献

*特許権の消尽(国内消尽)とは - BUSINESS LAWYERS