育児放棄により親族が引き取った子を親権者が連れ去った場合に取りうる手段

目次

 

ケース

Twitterで次のような話を見ました(ツイートしていたのはDにあたる人。非公開化されていたので、記憶に基づく再現です)。

A(女)とB(男)は夫婦であり、子Cがいた。AとBは、AをCの親権者として離婚した。しかし、AがCの育児を放棄したため、Aの妹であるDがCを引き取り、同居の父母(Cから見て祖父母)とともにCを育ててきた。

現在、Cは5歳であるが、Aが再婚した。Aは、Dに対してCを引き取りたいと申し出るようになり、Dはこれを拒んでいた。あるとき、Aが泊りがけでCを預かりたいと申し出た。Dは当初これを拒んだが、支援に関わっていた市役所職員からもこれに応じるよう勧められ、断りきれず、それに応じた。AはCを預かった後、CをDのもとに帰すことはなかった。

DはCを取り戻すべく、児童相談所や警察に相談したが、いずれも虐待が起こってからでなければ取れる措置はないとの返事であった。しかし、Dは、それでは遅いと考えている。

 

児童福祉法に基づく対応

児童福祉法は、子の強制的な保護の手段として、児童福祉施設等への入所措置と、上記入所措置(を含む措置)を取るまでの仮の措置としての一時保護を用意しています。

 

入所措置

児童福祉法26条1項

児童相談所長は、[1]第25条第1項の規定による通告を受けた児童…について、必要があると認めたときは、次の各号のいずれかの措置を採らなければならない。

一 [2]次条の措置を要すると認める者は、これを都道府県知事に報告すること。

(2号以下省略)

[1]通告について、児童福祉法25条1項本文は、次のように規定しています。「要保護児童を発見した者は、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所…に通告しなければならない」。(児童相談所虐待対応ダイヤル「189」について|厚生労働省を参照)。[2]「次条の措置」は次で見ます。

 

児童福祉法27条1項

都道府県は、[1]前条第1項第1号の規定による報告…のあつた児童につき、次の各号のいずれかの措置を採らなければならない。

三 児童を[2]小規模住居型児童養育事業を行う者若しくは里親に委託し、又は[3]乳児院児童養護施設、障害児入所施設、児童心理治療施設若しくは児童自立支援施設に入所させること

(1号、2号、4号省略)

[1]「前条第1項第1号の規定による報告」は、児童相談所長からのそれです。[3]がいわゆる入所措置です。[2]里親等への委託はこれと選択的な措置とされています。

なお、他に取りうる措置として、児童またはその保護者に対する訓戒、誓約書を提出させること(1号)、児童またはその保護者に対する指導(2号)、少年法に基づく審判に付するための家庭裁判所への送致(4号)があります。

入所措置を含む本条1項3号に基づく措置は、親権者・未成年後見人の意に反して採ることはできず(本条4項)、意に反してでも上記措置を採るためには家庭裁判所の承認が必要とされます(児童福祉法28条1項)。入所措置等は、親権者等の監護権に対する重大な制約であるため、要件と手続を加重したものです。

 

児童福祉法28条1項

[1]保護者が、[2]その児童を虐待し、[3]著しくその監護を怠り、[4]その他保護者に監護させることが著しく当該児童の福祉を害する場合において、第27条第1項第3号の措置を採ることが児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反するときは、都道府県は、次の各号の措置を採ることができる。

一 [5]保護者が親権を行う者又は未成年後見人であるときは、[6]家庭裁判所の承認を得て、[7]第27条第1項第3号の措置を採ること。

二 [8]保護者が親権を行う者又は未成年後見人でないときは、その児童を親権を行う者又は未成年後見人に引き渡すこと。ただし、[9]その児童を親権を行う者又は未成年後見人に引き渡すことが児童の福祉のため不適当であると認めるときは、[10]家庭裁判所の承認を得て、[11]第27条第1項第3号の措置を採ること。

本条は、意に反してでも入所措置等を採するための要件([1]〜[4], [5])・手続([6][8])を規定しています。

[1]保護者とは、「親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護する者」とされます(児童福祉法6条)。親権者・未成年後見者でも「現に監護する者」でなければ保護者ではないですし、「その他の者」でも「現に監護する者」であれば保護者なので、結局現実の監護者だということになります。

[2]虐待と[3]監護懈怠は、[4]著しく児童の福祉を害する場合の例です。裁判所は、[2]がかなり濃厚な場合でも、立証が難しく(非訟なので正確には立証ではないのですが)、また、効果が区別されておらず、[2]にこだわる実益もないことから、[4]で処理しているようです。

[6][10]手続として、家庭裁判所の承認が必要です。先に述べたとおり、入所措置等は親権者等の監護権に対する重大な制約であることから、(例えば令状審査と同様に)司法審査を要求したものです。

措置は、[5]保護者が親権者・未成年後見人である場合[8]そうでない場合で区別されています。どちらの場合でも最終的に[6],[10]家庭裁判所の許可を得て[7],[11]入所措置等を取ることには変わりがないのですが、[8]の場合には、まず親権者・未成年後見人への引渡しを検討すべきとされ、[9]それが児童の福祉のため不適当である場合に限り(この要件は裁判所の審査の対象)、[11]を採るべきとされます。

本条1項による入所措置の期間は、2年以内であり、「当該措置を継続しなければ保護者がその児童を虐待し、著しくその監護を怠り、その他著しく当該児童の福祉を害するおそれ」がある場合に、裁判所の承認を得て更新が認められます(本条2項)。

 

一時保護

児童福祉法33条

1 児童相談所長は、[1]必要があると認めるときは、[2]第26条第1項の措置を採るに至るまで、[3]児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は[4]児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行〔う〕…ことができる。

これがいわゆる一時保護の規定です。

一時保護は、[2]入所措置等を含む26条1項の措置を採るまでの暫定的な措置であり、[3]児童の安全の確保と[4]情報収集を目的としています。これについて、厚労省の手引は次のように説明しています(子ども虐待対応の手引の改正について|厚生労働省の99頁)。

一時保護を行い、子どもの安全を確保した方が、子どもへの危険を心配することなく虐待を行っている保護者への調査や指導を進めることができ、また、一時的に子どもから離れることで、保護者も落ち着くことができたり、援助を開始する動機付けにつながる場合もある。子どもの観察や意見聴取においても、一時保護による安全な生活環境下におくことで、より的確な情報収集を行うことが期待できる。

要件が、児童の安全の確保・情報収集のために[1]必要と認めるときとされているとおり、その要件充足性の判断は児童相談所が行います。迅速な保護を優先したものといえます。

 

児童福祉法33条・続き)

3 前二項の規定による一時保護の期間は、[5]当該一時保護を開始した日から2月を超えてはならない

4 前項の規定にかかわらず、児童相談所長又は都道府県知事は、[6]必要があると認めるときは、[7]引き続き第1項…の規定による一時保護を行うことができる

5 前項の規定により引き続き一時保護を行うことが[8]当該児童の親権を行う者又は未成年後見人の意に反する場合においては、[9]児童相談所長…が引き続き一時保護を行おうとするとき、及び[10]引き続き一時保護を行つた後2月を超えて引き続き一時保護を行おうとするときごとに、児童相談所長…は、[11]家庭裁判所の承認を得なければならない。(ただし書省略)

(2項、6項以下省略)

 [5]一時保護の期間は2か月以内とされます。児童の安全の確保・情報収集のために[6]必要があるときは、[7]一時保護を延長することができますが、[8]親権者・未成年後見人の意に反して延長するためには、[9]初回の延長時および[10]それ以降2か月ごとに家庭裁判所の承認を得る必要があります

一時保護は、緊急・暫定的な措置であることから、最初の一時保護の際には司法審査は要求されませんが、長引いた場合には、入所措置等と同様の親権者等の監護権に対する重大な制約になることから、入所措置等と同様に司法審査を要求したものです。

 

今回のケースへの適否

今回のケースでは、一時保護はできないと考えられます。

一時保護は、先に述べたとおり、児童の安全の確保と情報収集を目的とするものですが、親権者等の監護権に対する制約となる以上、「必要があるときは」の中身として、虐待が行われているか、少なくともその現実的なおそれ(の疑い)が必要だと考えられます。しかし、今回のケースでは、過去に育児放棄を行ったというだけで、これからそれが再発すると考えられるような事情はありません

国家権力の発動は一般に慎重でなければならないため、弊害が発生する前→直前→直後→後という流れの中で、そのハードルは変わらざるを得ません。

 

刑法に基づく対応

刑法上問題となりうるものとして、未成年者誘拐罪が考えられます。

 

刑法224条

未成年者を略取し、又は誘拐した者は、3月以上7年以下の懲役に処する。

略取と誘拐は、未成年者をその生活環境から離脱させ、自己または第三者の実力的支配下に移転させる点で共通しますが、そのための手段が異なります。前者は暴行・脅迫を手段とする場合であり、後者は欺罔を手段とする場合です。

もっとも、本罪は、未成年者の自由監護者の監護権を保護するものであり、欺罔はこれらの者に対するものである必要があります。今回のケースで、Aが泊りがけでCを預かりたいとDに申し出た際、AがCをDのもとに帰さないつもりであったなら(おそらくそうなのでしょう)、上記の申し出はDに対する欺罔と評価できますが、Dは事実上監護していただけであり、法律上監護権を有していたわけではないので、監護権者に対する欺罔とは評価できません

したがって、Aに本罪は成立しません。

なお、DがAに対して同じ行為を行った場合、Aは親権者として監護権を有しているので、本罪が成立します。ただし、その量刑は慎重にすべきとされます(類似の事案について、最判平成18年10月12日集刑290号517頁)。

 

民法に基づく対応

今回のようなケースで、おそらく最も望ましい対応は、親権の制限と未成年後見です。

 

親権の制限

民法820条(監護及び教育の権利義務)

親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。

そもそも親権は、この規定から分かるとおり、子の利益のために行使すべきものなので、親権者の虐待(育児放棄を含む)を親権ゆえに止められないというのは、親権という制度の趣旨に反します。

現行法上、親権を制限するための制度として、親権喪失と親権停止が用意されています。いずれも家庭裁判所の家事審判により、前者は無期限(ただし改めて取消しの審判をすることは可能)、後者は2年以内の期限付きで親権を剥奪するものです。

 

民法834条(親権喪失の審判)

[1]父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他[2]父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより[3]子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、[4]子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。[5]ただし、2年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない

[2]親権行使の著しい困難・不適当により[3]子の利益を著しく害することが要件であり、[1]の虐待・悪意の遺棄は、[2][3]が認められる例です*。

[4]請求権者に親族が含まれていることが重要です。親族とは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族をいいます(民法725条)。そのため、祖父母(2親等の血族)、おじ・おば(3親等の血族。今回のDはこれ)、いとこ(4親等の血族)などが請求権者となります。また、親(1親等の血族)も含まれます。離婚時には、親の一方が親権者として指定され(民法819条1項、2項)、他方は親権を喪失しますが、親権を喪失しても親子関係がなくなるわけではないので、親権者でない親も請求権者に含まれます**。また、児童福祉法上、児童相談所長も請求権者とされています(同法33条の7)。

[5]2年以内に原因([1]〜[3])が消滅する見込みがあるときは、親権喪失によることはできません。この場合、親権停止によることになります。

*読みにくいですが、[1]の「とき」は、[3]の「とき」と並列なので、[1]は[2]の例ではなく、[2][3]の例ということになります。
**離婚後でも、子の利益のために必要である場合には、家事審判で親権者を変更することができます(民法819条6項。「親族」が請求権者)。そのため、この場合にはわざわざ親権喪失・親権停止によるまでもないようにも思われるところなのですが、親権者である親が再婚し、その再婚相手と子が養子縁組をした場合、親権者変更は使えなくなるので、この場合には親権喪失・親権停止によるべきだということになります(最判平成26.4.14:子が再婚家庭で虐待されている場合に非親権者親が取りうる手段)。

 

民法834条の2(親権停止の審判)

1 [2']父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより[3']子の利益を害するときは、家庭裁判所は、[4']子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。

2 家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、[8]その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、[9]2年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める

 [2'][3']親権行使の困難・不適当により[3]子の利益を害することが要件であり、親権喪失の要件と比較すると、「著しく」が取れていることが分かります。

平成23年民法改正前は親権喪失しかありませんでしたが*、無期限で親権を剥奪するという強力な効果とのバランスを考えると、裁判所としても謙抑的に運用せざるを得ず**、その結果、子の利益の実効的な保護に欠けているという問題がありました。そこで、同改正において、親権喪失の要件に「著しく」を加えるとともに(上記の運用を追認したものといえます)、要件・効果を緩和した親権停止を導入し、柔軟な運用を促すこととされました。

*法文上は「親権を濫用し、又は著しく不行跡である」ことが要件とされていました。かつて親権が親の当然の権利と考えられており、子の利益のために行使すべきものとは(少なくとも意識的には)考えられていませんでした(親権の規定の「子の利益のために」というフレーズも平成23年改正で初めて入ったものです)。親権喪失も、親に対する制裁と考えられており、濫用・著しい不行跡という、親権者の帰責性に着目した要件が課されていました。これが、平成23年改正で、(著しい)困難・不適当という、子の利益に着目した要件に改められました(特に「困難」の場合には必ずしも帰責性はないと考えられ、親権な制限が可能な場面は実質的に拡張されています)。
**親権喪失審判も、国家権力の発動として比例原則に服するので、これ自体は不当なことではありません。

[8][9]なお、「原因が消滅する見込みはあるが、それまでに2年を超える期間がかかる」と考えられる場合(というのが実際にどれほど想定されるのかわかりませんが)、親権喪失によることになります(それだけ長ければ「著しく」を満たすでしょう)。

 

成年後見

単独親権者が親権喪失審判を受けた場合、親権者がいなくなるので、未成年者について当然に後見が開始します(民法838条1号)。未成年後見人は、身上監護権(身上監護義務)(民法857条)および財産管理・代表権(同法859条1項)を有するなど、親権者とほぼ同等の権利義務を有します(ただし、裁判所による一定の監督を受けます)。今回のケースでは、Dとしては、自らを後見人に選任するよう裁判所に請求することが考えられます。

 

民法840条

1 前条の規定(注:遺言等による未成年後見人の指定)により未成年後見人となるべき者がないときは、家庭裁判所は、[1]成年被後見人又はその親族その他の利害関係人の請求によって、未成年後見人を選任する。未成年後見人が欠けたときも、同様とする。

2 省略

3 未成年後見人を選任するには、[2]成年被後見人の年齢、心身の状態並びに生活及び財産の状況、未成年後見人となる者の職業及び経歴並びに未成年被後見人との利害関係の有無(未成年後見人となる者が法人であるときは、その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と未成年被後見人との利害関係の有無)、未成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。

成年後見が当然に開始した場合(cf. 後見開始の審判があった場合)、職権で未成年後見人が選任されるわけではないので(cf. 同法843条1項)、成年後見人選任の審判が必要です。

[1]請求権者は、未成年被後見人、または、その親族その他の利害関係人です。「親族」の範囲は、親権停止の審判のところで述べたとおりです。今回のケースでは、Dは未成年後見人Cのおばであり、親族なので、請求権者に含まれます。

後見人は、欠格事由(民法847条)が定められているほかは、裁判所がその裁量で選任することができます。

 

今回のケースへの適否

今回の場合、具体的事情が明らかではありませんが、一般的な育児放棄(?)がされたのであれば、少なくとも親権停止が認められると考えられます。

さらに、後見人選任を請求した場合、Dが今までCを監護してきたことや、父母と同居しておりそのサポートを受けることができることは、Dを後見人とすべき「その他一切の事情」として重く考慮されると考えられます。

ただ、Cが現に親権者であるAの下で生活を開始した以上、裁判所としてはその現状を考慮せざるをえません(現状維持と現状の変更では、後者のほうがハードルが高い)。「何か起こってから遅い」のであれば、Cが生活に慣れてきた時点で親権停止・後見人選任を請求しておくべきだったということになります。

親権制度があまり理解されていない現状でそれを言うのは酷かもしれませんが、それで犠牲になるのは子です。

 

児童福祉法民法の使い分け

児童福祉法民法(さらに親権喪失と親権停止)の使い分けについて、厚労省の手引は、次のように言及しています。

 

親権喪失と親権停止の使い分けについて

この両制度は、要件として親権喪失のほうがより厳格であることと、効果として親権が制限される期間が異なることを除き、その他の点は概ね共通している。そのため、権利の制限はその目的を実現するため必要最小限度にとどめられるべきとの一般論に即して、制約の程度が低い親権停止制度を利用することをまず検討し、それでは目的が実現できない場合に親権喪失制度の利用を検討するべきものと考えられる。また、親権喪失審判は、その効果が大きいことから、親権停止審判に比して、親が子の監護に当たる意欲を減退又は喪失させるおそれが相対的に高いものと考えられるから、この点からも、まずは親権停止審判を優先的に検討すべきである。

例外的に親権停止を経ずに直ちに親権喪失に及ぶべき事案としては、例えば性的虐待事案において典型的に見られるように、当該親権者と子どもとの再統合がおよそ想定できないといえるような場合がこれにあたる。(156頁)

 

親権停止と入所措置等(「28条審判」)の使い分けについて

両者の違いは、その法制度上の位置づけ(28条審判は直接的には、行政庁が措置を行うことを承認する公法上の制度である)にあるほか、i)親権停止審判は子の戸籍への記載がなされるが28条審判ではなされないこと、ii)親権停止審判は親権全体を一時的とはいえ剥奪するが、28条審判では、施設入所がなされることの反射的効果で親権の一部(特に身上監護権の一部)が制約されるにとどまること、などにある。また、iii)28条審判には更新の制度があること…、iv)児童虐待防止法上の接近禁止命令…を利用できるのは28条審判の場合に限定されることなども相違点である。

上記i・iiの相違点から、親権者に対しては一般的に、28条審判よりも親権停止審判のほうがより強い心理的衝撃を与え、将来において当該未成年者の監護にあたる意欲を減退または喪失させるおそれが大きいものと考えられるので、子を施設入所させることが主たる目的である場合には、まずは28条審判で対応することを検討し、これが不適切または不十分な場合に、親権停止審判を検討することが妥当である。(157頁)

28条審判は児童福祉法上の制度であるため、家庭裁判所の承認を得て入所させることができるのは、同法第27条第1項第3号所定の児童福祉施設等に限られる。そのため、祖父母をはじめとする親族に子を監護させるなど、…児童福祉施設等以外の資源を活用することが想定される場合には、28条審判では十分に対応することができない。このような場合には親権停止審判を得て、監護を委ねる者を未成年後見人に選任するなどの方法が適切である。(158頁)

今回のケースは最後の場合に当たります。