小売市場判決 vs 薬事法違憲判決

令和2年司法試験憲法を考えていたらよくわからなくなったのでメモ。結局規制①は明白制の原則からの違憲ということでいいんじゃないかという気がしてきた。

  • 小売市場判決と薬事法違憲判決はいずれも、①憲法22条1項の制約が正当化されるかは、規制に合理性・必要性が認められるかによる、②合理性・必要性の判断は、第一次的には立法府が行うべきものであり、裁判所はその裁量の逸脱・濫用を審査するとする。その上で、
    • 小売市場判決は、積極目的の場合には、[1](立法目的が公共の福祉に反することが明白であるか)手段が著しく不合理であることが明白である場合に限って違憲とする、とする(目的については森林法違憲判決参照)。
    • 薬事法違憲判決は、
      • [2]許可制は狭義の職業選択の自由に対する制約であるから、原則として重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることが必要であり、
      • [3]消極目的の場合にはLRAが必要であるとする。
  • [2]は小売市場判決の事案にも妥当するはずであるから、結局、許可制=狭義の職業選択の自由に対する制約は、
    • 原則として、[2][3]LRAの不存在を含む厳格な合理性の基準によるが、
    • [1]積極目的の場合にはそれが緩和されて明白の原則によることとなる。
    • なお、酒税法免許制事件判決は、財政目的という第三の目的について、[1]から明白性を取り除いたものを基準としている。学説に従って規制目的二分論を裁判所の審査能力の問題として再構成する場合には当然ありうることである(財政目的は、消極目的と比べると自分たちの手に負えないが、積極目的ほどではない、というのが最高裁の自己認識ということになる)。
  • 以上に対して、職業の遂行の自由(営業の自由)に対する制約は、規制態様が弱いので、明白の原則による(西陣ネクタイ事件判決)。
  • 明白の原則は、必ずしも合憲の結論を意味しない。明白性の原則を採用しながら立ち入った検討をすることもできる(森林法違憲判決)。

 

引用した判例

[]内は百選I第7版の番号。