今週のメモ(2020.8.9-8.15)

秘密特許/「黒い雨」訴訟の控訴/日本製鉄に対する強制執行/香港保釈/ベラルーシ選挙/駅のトイレでAVを流して逮捕/緊急避妊薬/捜査のために防犯カメラに顔認証を入れるのは違法(UK)/Epic Games, Inc. vs. Apple, Inc.

大学のアカウントがメンテで使えないので???となっているところは後から補充する。

 

「秘密特許」導入に法改正へ 中国への対応が念頭に/②秘密特許で「抜け穴」防げ 企業への補償など課題 :日本経済新聞

  • ①「政府は安全保障上重要な先端技術情報について、海外への流出を防ぐため「秘密特許」と呼ばれる制度の導入に向けて法律を改正する検討に入りました。」「秘密特許は軍事転用が可能な技術について特許を出願しても、その情報を非公開とする仕組みで、多くの先進国で導入されています。」
  • ②???
  • 玉井先生が日本の論文を書かれている(https://twitter.com/tamai1961/status/1293575882070585345)。
    • 「米国の秘密特許制度について」A.I.P.P.I. 63巻11号(2018年)
    • 「米国特許法における外国出願許可制度――秘密特許制度の外延とその実務的意義」知財管理68巻8号(2018年)

 

「黒い雨」訴訟 広島市と県が控訴 原告「逃げの姿勢で許せず」 | NHKニュース/②黒い雨訴訟、国と広島県・市が控訴 援護区域は再検証 :日本経済新聞

  • ①「原爆が投下された直後に降ったいわゆる「黒い雨」をめぐり、国による援護を受けられる区域の外にいた住民や遺族合わせて84人が健康被害を訴えた裁判で、広島地方裁判所は、先月〔7月29日〕、全員を被爆者と認め、広島市広島県に対し、被爆者健康手帳を交付するよう命じました。判決について、広島市の松井市長は12日記者会見し、「国の要請を受け、法律の手続きに従って控訴せざるを得なかった」と述べ、控訴期限の12日、県とともに控訴したことを明らかにしました。」
  • ②「県や市は国からの法定受託事務として被爆者健康手帳交付を担う立場にあり、今回の訴訟で被告となっている。ただ、被爆者援護を所管する厚労省に対しては長年にわたって区域拡大を求めており、今回の判決も控訴断念を容認するよう国に要請していた。一方、補助参加人として訴訟に加わっている国は、黒い雨による健康被害の範囲を幅広く認定した地裁判決は新たな科学的知見に基づいているとはいえず、被爆者認定を巡る過去の最高裁判決を踏まえても控訴が妥当と県や市に求めていた。控訴期限の12日に向けて協議が行われ、県や市は厚労省が援護対象区域の再検証に乗り出すことを条件に控訴することで合意した。」
  • おそらく取消訴訟・申請型義務付け訴訟。地裁は勇気ある判断をしたと思う(科学的なところはよくわからないので立ち入らない)。
  • 今回はギリギリで市・県が折れたのだと思われるが、そうならなかった場合、国に何ができたのかはよくわからない。
    • 法定受託事務については是正指示(地方自治法245条の7)、代執行(同法245条の8)が可能だが、控訴(2週間以内。民事訴訟法285条)についてはそのような余裕はなかったと思われる。
    • 補助参加人として控訴しても、市・県が控訴権を明示的に放棄した場合、控訴は無効である(民事訴訟法45条2項)。
    • 行政事件訴訟法上の行政庁の訴訟参加も、抵触行為の無効という点では同じである(行政事件訴訟法23条3項が民事訴訟法45条1項、2項を準用する)。
    • 独立当事者参加すれば、控訴権の放棄を破ることができるが(民事訴訟法47条4項の準用する同法40条1項)、権利主張参加の余地はなく(そもそも取消原因はは誰かに帰属するものではない)、考えられるのは詐害防止参加。しかし、予算あるいは法定受託事務の委託者としての地位をもって「権利が害される」のだろうか。

 

資産差し押さえで日鉄が即時抗告 韓国裁判所が受理、手続き完了まで数カ月か - SankeiBiz(サンケイビズ):自分を磨く経済情報サイト

  • 「韓国人のいわゆる徴用工問題で、日本製鉄(旧新日鉄住金)は7日、韓国の裁判所の資産差し押さえ命令決定を差し止めるため、即時抗告書を提出した。裁判所が同日付で受理した。今後、裁判所が即時抗告を認めるかどうか判断する。原告側弁護士は、即時抗告には正当な理由がなく「遅延戦略だ」と批判している。」「裁判所関係者によると、提出先の裁判所が即時抗告を認めなかった場合も、2審に相当する裁判所に移り審理が続けられる。聯合ニュースは、即時抗告に関する手続きは完了まで「通常は数カ月かかる」との司法関係者の見解を伝えた。」「原告側が差し押さえた日本製鉄の韓国内資産に対し、実際に売却命令が出て現金化され、原告に支払われるまでにはさらに時間がかかるため、年内の支払い完了は困難との見方が強まっている。」
  • 日本では執行抗告は当然には執行停止効を有しないが(特別の裁判を要する。民事執行法10条6項)、韓国ではそうではないのだろうか。そうだとしたらそれこそ「原告側弁護士」(執行段階なので債権者側と言うべきだが)執行を遅延させる目的の濫用が横行しそうだが。

 

民主活動家・周庭氏保釈される 黄之鋒氏らが出迎え 香港警察が10日に逮捕 - 毎日新聞/②「リンゴ日報」創業者も保釈 香港メディア:時事ドットコム

  • ぶっ飛んだ刑罰規定を作るわりに手続は日本よりマシじゃないかという…

 

ベラルーシ選挙「自由でも公正でもない」 EU、制裁の構え 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News

  • ベラルーシで、アレクサンドル・ルカシェンコ(Alexander Lukashenko)大統領が6選を果たした大統領選挙について、欧州連合EU)は11日、「自由でも公正でもなかった」との見解を示し、「暴力、不当な逮捕、選挙結果の捏造(ねつぞう)」に関与した者に対し制裁を科す構えを示した。」
  • EUという枠組みがこういう問題についてどう関与していくのか気になる。

 

駅トイレでAV音声流した疑い ユーチューバー書類送検:朝日新聞デジタル

  • 書類送検されたのは、いずれも東京都文京区に住むユーチューバーの男(26)と、知人のアルバイトの男(23)。ともに容疑を認め、ユーチューバーの男は「芸能人のスキャンダルをまねた、多目的トイレの中から男女のあえぎ声が聞こえたら外を通る人がどのように反応するのか、という動画の企画だった」と説明。「再生数を伸ばすためだった。おもしろ半分で撮影したが、申し訳ない気持ちでいっぱいです」などと話しているという。」「捜査関係者によると、2人は6月25日午後7時ごろ、JR原宿駅(東京都渋谷区)構内に侵入。多目的トイレ内で、駅の利用客に聞こえるようにアダルトビデオのひわいな音声を流した疑いがある。トイレの外に一眼レフカメラを三脚で立てて、音声を聞いた通行人が反応する様子を撮影していたという。撮影中に通行人が声をかけて駅員に通報したため、この動画は配信されなかったという。」
  • 東京都迷惑防止条例5条1項「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。」3号「前2号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言動をすること。」/8条1項「次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」2号「第5条第1項又は第2項の規定に違反した者…」
  • 実体法上は該当すると思うけど、認めて反省してるし、配信もしてないし、逮捕する必要あった?

 

「緊急避妊薬を薬局で」市民団体が要望 コロナで影響も [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

  • 「緊急避妊薬は、性交から72時間以内に服用することで、高い確率で望まない妊娠を防ぐことができる。プロジェクトによると、米国やフランスなど世界90カ国以上では薬局で処方箋(しょほうせん)なしで購入できる。だが、国内では購入には医師の処方箋が必要だ。厚労省は昨年、オンライン診療での処方を認める方針を決めたが、適切な避妊がされなくなるなどの意見があり、近くに受診可能な医療機関がなかったり、心理的不安で受診できなかったりする女性に限定された。」
  • そもそもこんなハイリスクな、それこそ「緊急」手段である避妊方法を好む人がいるわけがないし、仮にいたとしても、「適切な避妊」が何なのかを当事者より国家のほうがよく知りうるという前提が間違っている。

 

防犯カメラに顔認証は「プライバシー侵害」 捜査に導入、英で違法判決:朝日新聞デジタル

  • ???

 

独占企業Appleに対するゲームデベロッパーの反乱。『フォートナイト』削除事件まとめ | ギズモード・ジャパンEpic Games、「フォートナイト」をApp Storeから削除したAppleを提訴 - ITmedia NEWS「フォートナイト」がApple・Google提訴 課金問題視 (写真=ロイター) :日本経済新聞

  • 事実関係
    • AppleApp Storeの審査ガイドラインには、次のような記載がある。
      • 「Appのコンテンツまたは機能(例:サブスクリプション、ゲーム内通貨、ゲームレベル、プレミアムコンテンツへのアクセス、フルバージョンの利用)は、App内課金を使用して解放する必要があります。コンテンツや機能を解放するため、ライセンスキー、拡張現実マーカー、QRコードなど、App独自の方法を用いることはできません。App内課金以外の方法で、ユーザーを何らかの購入に誘導するボタン、外部リンク、その他の機能をAppやメタデータに含めることはできません。」
      • ようするに、App Storeを経由しない課金は禁止されている。
    • App Storeを経由した課金は、(新規のアプリの購入であれ、App内課金であれ)30%の手数料が差し引かれる。
    • Epic Games(Fortniteのデベロッパー)は、30%は高すぎると主張して、Epic Direct Paymentという、独自の課金システムを利用できるアップデートを行った。
    • これに対して、Appleガイドライン違反であるとして、Fortniteをストアから削除した。
  • 当事者の言い分?
    • Epic Gamesとしては、次のような主張をすることが考えられる(訴状はまだ読んでない)。
      • iOSアプリ配信市場・iOSアプリ内決済処理市場において、Appleは100%のシェア―市場支配力を有しており、そのような環境で独自の課金システムを禁止し、それに違反したアプリを削除することは、上記市場支配力を維持する行為である。
    • Appleとしては、次のような主張をすることが考えられる。
      • 独自の課金システムを禁止することは、消費者にとっての安全性の確保(「iPhoneは安心できる」)のために合理性がある。
      • iPhoneを選ぶ消費者が増えることは、デベロッパーにとっても有利である。
      • 30%の手数料は、App Storeという消費者にアプローチするためのチャネルやデベロッパーツールの提供の対価として合理性がある。
  • 気になったこと
    • そもそもEpicはデベロッパーを優先しすぎてユーザーにとって不便であるというツイートを見たのでメモ(https://twitter.com/haraitacomic/status/1294145823576477696)。
    • Epic Game Storeの有力な競合としては、Steamがある。いずれもPCゲームのストアであり、かつ、他にたくさんあるストアの一つである。そのような状況下で、Epicがデベロッパー優先というポリシーを掲げ、デベロッパーを獲得することは、競争法上は、全く問題がない(独占タイトルであったとしても)。
      • ユーザーが不便を被って、Epicでしか配信しないデベロッパーのゲームを購入する人がいなくなったら?→ゲームの魅力がEpicの(ユーザーにとっての)デメリットを打ち消すに足りなかったということ。
      • ユーザーはEpicは嫌だが購入し続けざるをえないとしたら?→ゲームの魅力がEpicの(ユーザーにとっての)デメリットを上回ったということ。
      • ちなみにこれが嫌なら、ユーザーはデベロッパーにEpicで配信するなと言うべきである。Epicで配信することでユーザーに嫌われるという(デベロッパーにとっての)デメリットが、Epicのデベロッパー優先ポリシーのメリットを上回ったとき、デベロッパーはEpicにデベロッパー優先ポリシーの修正を求め、あるいは、他のストアを選択するだろう。
    • 以上は商品・サービスの内容(ゲームの魅力、ストアの魅力)による市場における競争の過程を描いたもの。これに対して、シャーマン法(というか競争法)が禁止するのは、そうではない、人為的な行為としての独占化(monopolization)。つまり、独占(monopoly)は、それ自体は禁止されないが、あくまで市場における競争の結果でなければならないのである。
    • App Storeは、Epic Game Storeと違い、iPhoneにおける唯一のアプリストアだから、そもそも競争というものが存在しない。そのような状況で、高い手数料を伴う自社のApp内課金システムを使わせることが問題なのである。
    • なお、日本の独占禁止法は、正式名称は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」であり、「私的独占」は独占化monopolizationにあたる。日本でもやはり独占は禁止されておらず、人為的な独占化が禁止されているにすぎないのである(「私的独占」というネーミングも、「独占禁止法」という略称も悪いと思うけど)。
  • その他