今週のメモ(2020.8.2-8.8)

千代田区議会解散の執行停止/消費者裁判手続特例法改正の議論/「コロナに効く」広告/私人逮捕(?)/Yahoo-LINE統合/MSによるTikTokの買収交渉/Discovery

 

東京 千代田区議全員が“議会解散は無効”提訴 マンション問題 | NHKニュース/②千代田区長の議会解散、地裁が執行停止 区議側は歓迎:朝日新聞デジタル

  • ①「地方自治法では、不信任の議決が行われた場合議会を解散できるとしていますが、今回、議決はなく、区の選挙管理委員会は「解散は無効だ」という判断を示しました。しかし区長は従わず、31日、区議会議員25人全員が解散の無効を確認する裁判を起こしました。 」

  • ②「東京都千代田区の石川雅己区長が自身への刑事告発を議決した区議会に解散通知を出した問題で、東京地裁(清水知恵子裁判長)は7日、解散処分の執行停止を認める決定をした。」
  • 機関訴訟になってしまうのではないか(機関訴訟は法律の規定がある場合に限り提起できるが、そのような規定はない以上、不適法になってしまうのではないか)と思ったが、執行停止がされていること、①の「解散の無効を確認する裁判」、②の「解散処分の執行停止」という表現からすると、無効確認訴訟を提起した上で執行停止を求めたよう。

 

日本弁護士連合会:消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律の見直しに関する意見書

  • 特にオプトアウトの導入が気になった。
  • 「特定適格消費者団体の通知費用等に一定のコストが掛かるため,特定適格消費者団体は,被害回復裁判手続制度の持続性の観点から,授権を受ける対象消費者から合理的かつ適正な範囲内の報酬を受けることができる。そして,この報酬は,対象債権が少額であればあるほど,対象債権に対する割合が増大する傾向にあり,対象債権が数万円の場合は約5割になると試算されている。通常の裁判と同様に,債権に対する報酬額の割合が増加することをもって,直ちに制度に問題があるということはできないという見解もある。しかしながら,ガイドラインの2.(6)イ(イ)によれば,被害回復関係業務が消費者の利益の擁護を図るものであることに鑑みると,少なくとも回収額の50%超は消費者の取戻分とする必要があるとされている。債権に対する報酬額の割合が増加することは好ましくないと考えられており,費用が過半を占めるような事案は提訴自体断念するほかない。」「被害回復裁判手続制度は少額多数の消費者被害の特性に鑑み創設された制度であるにもかかわらず,少額な被害については用いることが困難であることが明らかになった。」「したがって,少額債権について被害回復を図るためには,より効率的に集団的な回復を図る制度が必要であり,オプトアウト方式による提訴を検討する必要がある17。具体的には,対象債権の債権額が一定額以下の事例については利用されていないなどの立法事実を集積した上で,当該金額以下の債権額については,オプトアウト方式により訴えを提起することができるよう,所要の規定を特例法に設けるべきことが検討されるべきである。」
  • 相当性(既判力拡張の正当化やその他の弊害)についても詳細な検討がなされている。

 

新型コロナ:「コロナ対策品」違法表示疑い横行 Amazonなど通販 :日本経済新聞

  • 「新型コロナ対策をうたう商品を巡り、消費者庁は3月、健康食品や空間除菌剤で根拠がない表示が横行していると注意喚起した。ウソや誇大表現は景品表示法に抵触。当局の承認なしに予防効果を強調すると医薬品医療機器法(薬機法)違反に問われる。3月には薬局などの摘発が相次いだ。」
  • 「通販規制に詳しい染谷隆明弁護士は「薬機法違反の表示で、売買を仲介する運営会社も責任を問われうる」と指摘する。今回の調べでは薬機法違反の疑いが強い表示を見逃しているケースが多く見つかった。 典型例が塩水などを電気分解して作る次亜塩素酸水のスプレーだ。生成時のウイルス不活性化作用はあるとされるが、時間とともに効果は薄れる。これが「新型ウイルス消毒」といった宣伝文句を使い、手洗いやうがい用として売られていた。アマゾンはコロナへの効能を強調した上で自社で調達・販売し、「推薦マーク」を付けていた。 厚生労働省は「消臭や清掃用ではなく、人体に使う目的で一般に販売するのは薬機法違反」と指摘。監視・指導を担う東京都も同じ見解だった。」
  • 薬機法は、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の虚偽・誇大広告を禁止し(同法66条1項)、景品表示法は特に商品・役務を限定しないで優良誤認表示を禁止する(景品表示法5条1号。なお、効能があるかどうかわからない場合、消費者庁長官の資料提出要求に対して、「当該表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料」が提出できなければ、優良誤認とみなされる(同法7条2項。不実証広告))。特別法・一般法の関係にはないが、基本的にはまず薬機法が適用されると考えられる(直罰だし)。
  • 医薬品とは、①日本薬局方に収められている物のほか、②人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(これは医療機器・再生医療等製品になる)でなく、かつ、医薬部外品再生医療等製品でないもの、③人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でなく、かつ、医薬部外品・化粧品・再生医療等製品でないものをいう(薬機法2条1項)。厚労省のコメントはそのような意味。
  • ちなみに染谷先生は本当に詳しい方である。

 

水泳授業のあり方問うビラ配った都立高生を副校長が「私人逮捕」 目黒区立第九中学校 : THE INTERSCHOOL JOURNAL(インタースクール・ジャーナル)

  • 「先月8日、公道上でビラを配布していた都立高校生が、近くの目黒区立第九中学校の高橋秀一副校長(55)に「私人逮捕」されるという事件があった。現場は目黒区立第九中学校の校門から約50m程度離れた住宅街の公道上で、高校生はビラで同校の近隣にある都立小山台高校(東京・品川区)の水泳授業のあり方を問い、生徒自治組織の設立を呼び掛けていた。高校生は7月28日に処分保留で釈放されたものの、20日間にわたり勾留された。」
  • 「高校生は7月8日に警察に身柄を拘束されてから7月28日朝に釈放されるまで20日間碑文谷警察署の留置場で勾留されていた。高校生は警察に連行されて以降、20日間警察・検察・裁判官に対して黙秘を貫いた。松本副署長は高校生の勾留が20日間にわたったことについて「勾留は検事の判断ですから警察の判断ではございません」と述べたものの、「黙秘があったんで、逮捕・勾留した」とも述べた。また、松本副署長は「黙秘をするとこれは罪証隠滅の恐れになると警察では判断せざるを得ない」と述べ、黙秘をしたことで罪証隠滅の恐れがあるから勾留となったことを示唆した。このほか高校生は先月14日、碑文谷警察署警備課の野澤健警部補らに自宅を家宅捜索されたが、捜索の理由も「黙秘をされて全然捜査が進まないということ」(松本副署長)だという。」
  • 教員も警察も検察も頭おかしいね。
  • 私人逮捕は廃止したほうがよいのでは。警察官ですら現行犯逮捕の要件(刑法上の要件・刑事訴訟法上の要件)を判断できてないのに、素人に判断できるわけがない。

 

ヤフーとLINE、統合21年3月に 4日からTOB :日本経済新聞/②公取委、ヤフー・LINE統合承認 スマホ決済に注文 :日本経済新聞

  • ①「ヤフーを傘下に持つZホールディングスとLINEは3日、両社の経営統合が2021年3月と、当初予定より約5カ月遅れると発表した。米国など各国・地域の競争当局の審査が長引いていたが、9月半ばまでに承認されるメドがついた。統合に向け、4日から両社の親会社のソフトバンクと韓国ネイバーがLINEのTOB(株式公開買い付け)を行い、同社は上場廃止となる。」
  • ②「公正取引委員会は4日、ヤフーを傘下に持つZホールディングス(HD)とLINEの経営統合を認めたと発表した。スマートフォン決済分野の定期的な報告を求める条件を付けた。統合は2021年3月に実現する見通し。デジタル市場の寡占が起きないかを注視しながらIT(情報技術)企業の成長を後押しする。公取委はニュース配信やスマホ決済、デジタル広告などの分野に分けて統合の影響を分析した。スマホ決済については統合後3年間、市場シェアなどを毎年報告させる条件をつけた。加盟店が他の決済事業者と契約するのを妨げないことも求める。」
  • ②「同日記者会見した公取委の岩下生知企業結合課長は「決済市場は変化が激しく、将来予測は難しい。統合後に市場価格を左右できる状態になりかねない」と話した。スマホ決済市場でZHDの「ペイペイ」のシェアは1位で55%にのぼるという。「LINEペイ」は5%と少ないものの「会員数をみれば潜在的な利用者数は非常に多い」(岩下課長)と指摘した。各社が大規模な還元キャンペーンを繰り広げており新規参入のハードルが高いことも懸念材料とした。」
  • 「統合後に市場価格を左右できる状態」というのは、株式取得規制の効果要件(実質的要件)である、競争の実質的制限=市場支配力の形成・維持・強化のおそれのこと。独占禁止法10条1項「会社は、他の会社の株式を取得…することにより、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる場合には、当該株式を取得…してはならない。」

 

TikTok買収で勢力図に変化? 個人情報の懸念なお:朝日新聞デジタル

  • 「米マイクロソフト(MS)が2日、中国企業バイトダンス傘下の動画アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国部門の買収交渉を続けることを明らかにした。買収に反対していたトランプ大統領から一定の理解を得られている模様で、買収協議が前進する可能性がある。実現すれば、世界の動画アプリやソーシャルメディアの勢力図を変える可能性がある。」

 

ネットの中傷で発信者開示 米制度活用なら迅速に :日本経済新聞

  • 日本の制度が貧弱だからアメリカでJohn Doe訴訟を提起したDiscoveryで情報収集するプラクティスが広がっているという話。
  • 「インターネット上で後を絶たない個人・企業への中傷や著作権侵害の対策に、米国の裁判所を通じて発信者情報の開示を求める司法制度の活用が日本国内で広がり始めた。投稿先のSNS(交流サイト)の多くを米国企業が運営することもあり、国内制度より迅速に情報が開示され、その内容も幅広い。弁護士からは「普及すれば不正投稿の抑止につながる」との声も上がる。」
  • 「SNSや検索サービスを運営する事業者がツイッター、グーグル、フェイスブックなどの米国企業だった場合は「日本の裁判所への申し立てから、実際に開示されるまでに1カ月半~2カ月半かかる」(同分野に詳しい弁護士)。ただ、中傷を含めた投稿の履歴は一定期間がたつと自動的に消えてしまうことが多いため、手続きに時間がかかると開示ができないこともある。」
  • 「一方、米国の民事訴訟の「ディスカバリー」と呼ばれる証拠開示制度を使うと、氏名や住所、IPアドレスだけでなく、電話番号、メールアドレスなど、サービスに登録された情報の全てが開示対象となる。有料サービスの場合はクレジットカード情報が登録されていることもあり、発信者の特定につながる手掛かりとなる。裁判所の命令も1~2日で出ることもあり、申し立てから1カ月以内に開示に至ることも多い。」
  • 「同制度に詳しい山岡裕明弁護士によると、米国のサービスを対象とする場合は効果的な一方で、米国の弁護士に資料の作成も含めて依頼する場合には「数百万円の費用がかかる可能性もある」という。」