今週のメモ(2020.7.26-8.1)

三権分立/ドーナツ窒息死/破産者マップ模倣サイト停止命令(個人情報保護法)/独立したバンドの名称続用/給与ファクタリング/孔子廟政教分離GPSストーカー規制法/共同養育推進/障害についての書面を書かせた行為/千代田区長の「解散」

 

官邸HP、三権分立図を修正 「内閣上位」にネット炎上「国民縛っているようだ」 - 毎日新聞

  • 前にTwitterで燃えてたアレ:
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  • 内閣が国民に行政権を行使していることは間違いないのだけど、だったら立法権裁判権の行使も書くべきだろう。
  • 世論は憲法上の統制手段じゃないから書くべきじゃない/そこに書くなら国会にも向けても書くべきというのもまあわかる。その場合ここには何が入るべきかと言うと、何も入らないというのが正しい(それが間接民主制。直接民主制を一部取り入れている地方自治なら、リコールとかが入るけど)。
  • まあそもそもこの三権分立図は間違っていて、国民が一番上で、上から順に国民→国会→内閣として、裁判所は横から国会と内閣に対して違憲審査権を行使するという図が正しいと思う(会社みたいに)。

 

「ドーナツで窒息死」特養あずみの里事件 介助の准看護師、逆転無罪 - 弁護士ドットコム

  • 「長野県安曇野市特別養護老人ホーム「あずみの里」で2013年、入所者の女性(当時85歳)がおやつを喉に詰まらせ亡くなったとされる事件で、介助中に十分な注意を払わなかったなどとして、業務上過失致死罪に問われた准看護師の山口けさえ被告人の控訴審判決が7月28日、東京高裁であった。大熊一之裁判長は7月28日、罰金20万円の有罪判決とした一審判決を破棄し、無罪を言い渡した。判決は、女性は嚥下障害がなく、ドーナツによって窒息することは予見することはできず、山口被告人にはおやつの形態を確認すべき義務はないとして過失を否定した。」
  • 「一審・長野地裁松本支部は、女性の死因はドーナツを詰まらせたことによる窒息と認定。注視義務違反は認めなかったが、約1週間前に窒息防止などのため女性の間食をゼリー状のものに変更していたことなどから、間食の形態を確認して事故を防止すべき義務があったとして、求刑通り罰金20万円の有罪判決を言い渡した。」
  • 事実によるから何とも言えないけど、介護も大変だね…

 

情報サイトに初の停止命令 破産者掲載で個人情報保護委  /日本経済新聞

  • 報道
    • 「政府の個人情報保護委員会は破産者の氏名や住所などの個人情報をインターネット上で公開しているサイトに対し、運営の停止命令を出す方針を固めた。本人の同意なく個人情報をサイトに掲載したことなどが、個人情報保護法に違反すると判断した。個人情報保護委が停止命令を出すのは今回が初めて。  個人情報保護法は情報をデータベースなどに利用する場合、本人に利用目的を通知することを義務づけている。第三者に情報提供をする際には同意の取得も必要とする。個人情報保護委は今回のサイトの運営者はこうした法律の定める手続きを踏んでおらず、命令を出す理由に該当するとみる。」
    • 「破産者の個人情報は官報に掲載され、誰でも閲覧することが可能だ。ただ興味本位で独自につくったサイト上で広く公開する行為は、債権者の保護といった本来の目的から逸脱しているとし、専門家から問題を指摘する声が出ていた。個人情報保護委も公表された人の社会的な評価や人間関係に影響を与える恐れが大きいとみる。」
    • 「今回のサイトは海外のサーバーを使っている。運営者の氏名がわからないまま指導や勧告の手続きをとってきたが、これまで反応はなかったという。命令に従わない場合は刑事告発も検討する。」
    • 「命令を出すサイト名は公表しない。興味本位の閲覧で個人情報がさらに広まることを防ぐほか、サイトにアクセスすると不正プログラムが作動するとの情報もあるためという。」
  • PPC: 個人情報の保護に関する法律に基づく行政上の対応について
  • 初めての行政処分。2019年に現れた破産者マップは指導で終わったし、リクナビは話題になったが勧告で終わった。
  • 適用された条項(個人情報保護法
    • 実体規定
      • 18条1項「個人情報取扱事業者は、個人情報を取得した場合は、あらかじめその利用目的を公表している場合を除き、速やかに、その利用目的を、本人に通知し、又は公表しなければならない。」
      • 23条1項「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。」「一 法令に基づく場合」「二 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。」「三 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。」「四 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。」
      • 「個人情報」「個人情報取扱事業者」「個人データ」については2条に定義規定。
    • エンフォースメント
      • 42条1項「個人情報保護委員会は、個人情報取扱事業者が第十六条から第十八条まで、第二十条から第二十二条まで、第二十三条(第四項を除く。)、第二十四条、第二十五条、第二十六条(第二項を除く。)、第二十七条、第二十八条(第一項を除く。)、第二十九条第二項若しくは第三項、第三十条第二項、第四項若しくは第五項、第三十三条第二項若しくは第三十六条(第六項を除く。)の規定に違反した場合又は匿名加工情報取扱事業者が第三十七条若しくは第三十八条の規定に違反した場合において個人の権利利益を保護するため必要があると認めるときは、当該個人情報取扱事業者等に対し、当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべき旨を勧告することができる。」
      • 2項「個人情報保護委員会は、前項の規定による勧告を受けた個人情報取扱事業者等が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において個人の重大な権利利益の侵害が切迫していると認めるときは、当該個人情報取扱事業者等に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。」(勧告前置の措置命令)
      • 3項「個人情報保護委員会は、前二項の規定にかかわらず、個人情報取扱事業者が第十六条、第十七条、第二十条から第二十二条まで、第二十三条第一項、第二十四条若しくは第三十六条第一項、第二項若しくは第五項の規定に違反した場合又は匿名加工情報取扱事業者が第三十八条の規定に違反した場合において個人の重大な権利利益を害する事実があるため緊急に措置をとる必要があると認めるときは、当該個人情報取扱事業者等に対し、当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる。」(措置非前置の命令=緊急措置命令)
      • 84条「第四十二条第二項又は第三項の規定による命令に違反した者は、六月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」
  • 公示送達
    • 措置命令の効力の発生について、個人情報保護法は特別の規定を置いていないから、行政処分の一般法理に従い、事業者への到達によって効力を生じる。
    • 個人情報保護法は、事業者の所在が不明である場合に措置命令を到達させる方法を規定していないから、民法民事訴訟法によったようである。
      • 民法98条1項「意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。」/2項「前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法(平成八年法律第百九号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載して行う。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。」/3項「公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。」
      • 民事訴訟法110条1項「次に掲げる場合には、裁判所書記官は、申立てにより、公示送達をすることができる。」「一 当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合」/111条「公示送達は、裁判所書記官が送達すべき書類を保管し、いつでも送達を受けるべき者に交付すべき旨を裁判所の掲示場に掲示してする。」/112条1項「公示送達は、前条の規定による掲示を始めた日から二週間を経過することによって、その効力を生ずる。ただし、第百十条第三項の公示送達は、掲示を始めた日の翌日にその効力を生ずる。」/113条「訴訟の当事者が相手方の所在を知ることができない場合において、相手方に対する公示送達がされた書類に、その相手方に対しその訴訟の目的である請求又は防御の方法に関する意思表示をする旨の記載があるときは、その意思表示は、第百十一条の規定による掲示を始めた日から二週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。この場合においては、民法第九十八条第三項ただし書の規定を準用する。」
    • 独占禁止法においては、排除措置命令の送達による効力の発生と、そのための送達方法の規定が整備されている。
      • 61条「排除措置命令は、文書によつて行い、排除措置命令書には、違反行為を排除し、又は違反行為が排除されたことを確保するために必要な措置並びに公正取引委員会の認定した事実及びこれに対する法令の適用を示し、委員長及び第六十五条第一項の規定による合議に出席した委員がこれに記名押印しなければならない。」/2項「排除措置命令は、その名あて人に排除措置命令書の謄本を送達することによつて、その効力を生ずる。」
      • 70条の7「書類の送達については、民事訴訟法(平成八年法律第百九号)第九十九条、第百一条、第百三条、第百五条、第百六条、第百八条及び第百九条の規定を準用する。この場合において、同法第九十九条第一項中「執行官」とあるのは「公正取引委員会の職員」と、同法第百八条中「裁判長」とあり、及び同法第百九条中「裁判所」とあるのは「公正取引委員会」と読み替えるものとする。」
      • 70条の8「公正取引委員会は、次に掲げる場合には、公示送達をすることができる。」「一 送達を受けるべき者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合」/2項「公示送達は、送達すべき書類を送達を受けるべき者にいつでも交付すべき旨を公正取引委員会掲示場に掲示することにより行う。」/3項「公示送達は、前項の規定による掲示を始めた日から二週間を経過することによつて、その効力を生ずる。」
    • 個人情報保護法も令和2年改正で同様の規定を持つようになった。
    • ちなみに、独占禁止法違反をする事業者は基本的には既に市場における競争制限をもたらしうるだけのパワー(市場支配力)を持っていることが多く、したがって所在不明ということが起こりにくいのに対して、個人情報保護法違反については必ずしもそうではないという違いがある。
  • 取消訴訟にしろ刑事訴訟にしろ、争われれば間違いなく重要判例が形成されるところであるが、期間内に消せばそうならない(事業者の一方は既に消した。他方も消しそうな感じ)。

 

V系バンド「FEST VAINQUEUR (フェスト ヴァンクール)」が名前取り戻す 事務所から独立、改名迫られ裁判に - 弁護士ドットコム

  • 「同グループは2010年10月10日に結成された。FEST(フェスト)は「宴」、VAINQUEUR(ヴァンクール)は「勝者」の意味だ。 「『FEST』には『ライブ』や『楽しい』というイメージもある。その『勝者』というのはライブバンドにピッタリだということで、みんなでこの名前に決めました」(ボーカル・HAL) ところが今回、契約更新のタイミングで条件面が折り合わなかった。独立を決めたところ、事務所からグループ名の使用を禁止されてしまった。 実際に、ライブ会場や音楽関係者に対し、前事務所から「グループ名の使用は認めていない」旨の連絡などがあったため、周囲に迷惑がかからないようにと、2019年10月に「FV」へと改称した。」
  • 「グループが前事務所と結んでいた契約では、退所した後、グループ名の権利がどちらに帰属するかは明確には書かれていなかった。 使用禁止に納得がいかないメンバーたちは、裁判所にグループ名の継続利用を求める手続き(仮処分申し立て)も取っていた。 「育ててもらったという気持ちもあるんです。原盤権などは向こうにあるわけですし、同じグループ名で活動できるなら、僕たちが活躍することで、前の事務所にもメリットがあると思うのですが…」(ベース・HIRO) 使えなくした芸名を、事務所が他の所属芸能人やグループに割り振ることはないはずなのに――。 しかし、メンバーは審尋で裁判官から心ない言葉を投げかけられてしまう。大雑把にいうとこんな感じだ。 「個人の芸名は使えるし、つくった曲も引き続き演奏できる。たとえ、グループ名が変わっても、ファンはあなたたちだと認識できるのだから、大きな影響はないのでは」 この裁判官は、資本や労働力などを投下してきた事務所側にも、芸名をコントロールする権利があると判断し、グループ名の継続使用を認めない決定を出した(2019年10月9日)。」
  • 「一方、今年7月10日に出された抗告審(二審に相当)の結果は正反対のものだった。東京高裁は次のように判断している。 「(編注:事務所が)一定の営業上の努力や経済的負担をしてきたとしても、パブリシティ権は顧客誘引力を有する人物識別情報自体について生じるものであり(…)、名称等の情報が顧客誘引力を有するに至った理由やその発案者が誰かといった経緯によってその発生が左右されるものではない」 たとえ事務所が“投資”してきたとしても、その努力の保護方法は、たとえば楽曲の権利にまつわる取り決めなどによってなされるべきーー。決定文はそんな風に続く。 こうした判断について、代理人佐藤大和弁護士は次のように語る。 「パブリシティ権の人格権的側面を重視し、芸名はアーティスト側に帰属するという、一歩踏み込んだ判断だと考えています。また、退所後、事務所にグループ名の永続的利用権を認めなかったことも大きい。 今後の裁判実務、契約実務に大きな影響を与えるのではないでしょうか」」
  • どういう請求だったのだろうか。
  • パブリシティ権構成で行ったよう。
  • 優越的地位の濫用の差止請求(独占禁止法24条・19条)によることも可能なのではないか((平成30年2月15日)「人材と競争政策に関する検討会」報告書について:公正取引委員会)。

 

「給料ファクタリング」初摘発 業者の男女4人逮捕 :日本経済新聞

 

那覇市の孔子廟を巡る政教分離訴訟、最高裁大法廷で審理へ - 毎日新聞

  • 那覇市の公園に設置された儒教の祖・孔子を祭る「孔子廟(びょう)」(延べ1335平方メートル)の土地使用料を市が全額免除していることが、憲法政教分離の原則に違反するのかが争われた住民訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(戸倉三郎裁判長)は29日、審理を大法廷(裁判長・大谷直人長官)に回付した。最高裁憲法判断が必要な場合に、15人の裁判官による大法廷で審理する。  廟は、故翁長雄志氏が市長だった2013年、市内の松山公園に設置された。市が設置を許可し、公益目的であることを理由に土地使用料を全額免除した。市が14年、設置許可と使用料免除を更新したところ、住民が「政教分離の原則に反する」として、免除の違法確認を求めて提訴した。  18年4月の1審・那覇地裁判決は、施設を宗教施設と認めて使用料全額免除を違憲と判断。市は廟を設置した社団法人に使用料を請求すべきだとした。19年4月の2審・福岡高裁那覇支部判決も「施設は宗教施設とみるべきで、市は土地使用料を徴収する義務を負う」と1審判決を支持した。」
  • アツい。
  • 今までの政教分離訴訟はだいたい神道だったが、今回はそうでない。国民の意識は神道儒教で相当違うだろうし、儒教に対する意識は国民と住民(沖縄県民あるいは那覇市民)の意識が相当違うのではないか。

 

GPSの位置情報把握「見張り」に当たらず | 共同通信

  • ストーカー規制法2条1項「この法律において「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者に対し、次の各号のいずれかに掲げる行為をすることをいう。」「一 つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所(以下「住居等」という。)の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。」/同条3項「この法律において「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等(第一項第一号から第四号まで及び第五号(電子メールの送信等に係る部分に限る。)に掲げる行為については、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われる場合に限る。)を反復してすることをいう。」
  • 4条1項「警視総監若しくは道府県警察本部長又は警察署長(以下「警察本部長等」という。)は、つきまとい等をされたとして当該つきまとい等に係る警告を求める旨の申出を受けた場合において、当該申出に係る前条の規定に違反する行為があり、かつ、当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは、当該行為をした者に対し、国家公安委員会規則で定めるところにより、更に反復して当該行為をしてはならない旨を警告することができる。」
  • 5条1項「都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、第三条の規定に違反する行為があった場合において、当該行為をした者が更に反復して当該行為をするおそれがあると認めるときは、その相手方の申出により、又は職権で、当該行為をした者に対し、国家公安委員会規則で定めるところにより、次に掲げる事項を命ずることができる。」「一 更に反復して当該行為をしてはならないこと。」「二 更に反復して当該行為が行われることを防止するために必要な事項」
  • 18条「ストーカー行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」/19条「禁止命令等(第五条第一項第一号に係るものに限る。以下同じ。)に違反してストーカー行為をした者は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。」/2項「前項に規定するもののほか、禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした者も、同項と同様とする。」/20条「前条に規定するもののほか、禁止命令等に違反した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」
  • 同日に2件(いずれも禁止命令違反の刑事事件)。平成30(あ)1528:裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan、平成30(あ)1529:裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan
  • 立法せよということだろう。GPS判決、夫婦別姓リツイート事件もそうだけど、裁判所が国会の仕事を代行しないという傾向が強まっているように感じる。裁判所が立法に近い解釈をすることは、国会の怠慢を助長する側面がある一方で、柔軟な権利救済の手段としての側面もあるわけで、直ちにどちらが望ましいとはいえない(特に我が国の厚顔無恥なる国会・行政機関は、少なくとも従来は負けない限り自発的にルールを見直すことはなかったわけで、裁判所が変わる一方国会・行政機関が変わらなければ、ただ権利救済が放置されるということになりかねない)。

  

超党派議連 離婚後も「共同養育」へ 法整備働きかけの方針確認 | NHKニュース

  • 「結婚が破綻した場合の子どもの扱いをめぐって、超党派議員連盟は、父母が共に子育てに関わる「共同養育」を推進するため、離婚後の面会交流の促進などに向けた法整備を急ぐよう政府に働きかけていく方針を確認しました。 離婚したあとの親権は、日本では、父母のいずれかが持つ「単独親権」が民法に規定されている一方、海外の先進国では、父母の双方が持つ「共同親権」が主流となっていて、EUの議会は、日本に「共同親権」を認める法整備などを求める決議を採択しました。 」
  • 個人的には、①離婚時に親権者の一方の申立てがあり、裁判所が両親権者および子を審尋して子の利益のために相当と認める場合、②離婚後に親権者の申立てがあり、裁判所が親権者、親権を回復しようとする者、子を審尋し、子の利益のために相当と認める場合には共同親権とする制度があってもよいと思う。
  • 親固有の利益が出てきてはいけない。国家が(例えば人種政策の一環として)親と子を隔離しようとする場面で親が固有の利益を主張するのはわかるが、親権は専ら子の利益のための権限である(なお、国家が親と子を隔離しようとする場合の中には、国民の利益=政策目的に基づくものである場合(先の例)と、子の利益に基づくものである場合が含まれる。後者の場合(例えば児相による保護)には親固有の利益と子の利益が対立しており、基本的に子の利益を優先させるべきだろう)。
  • なお、親権というネーミングが議論をわかりにくくしている感はある。財産管理身上監護人とでもリネームしたらどうか。

 

「おかねのけいさんできません」男性自殺 障害の記載「自治会が強要」 - 毎日新聞

  • 「訴状などによると、男性が1人暮らしをしていた大阪市内の市営住宅では2019年11月、自治会の班長を住民同士がくじ引きで選ぶことになった。男性は障害を理由に選考から外してもらうよう役員らに求めたが、「特別扱いできない」と聞き入れられなかった。  役員らは集会所で男性と対応を話し合った際、障害があることや日常生活への影響を記すよう要求。男性が書面を作成すると、役員らは他の住民にも書面を見せて男性のことを紹介すると説明したという。翌日の11月25日、男性は自宅で命を絶った。  書面は便箋2枚に手書きでつづられ、「しょうがいか(が)あります」という言葉で始まる。「おかねのけいさんはできません」「ひとがたくさんいるとこわくてにげたくなります」「ごみのぶんべつができません」などと苦手なことを列挙し、文頭に×印を付けた。「となりにかいらんをまわすことはできます」などと、可能なことには○印を付けたとみられる。」
  • 「両親は「障害の有無などは他人に知られたくない個人情報。必要性がないのに本人の意思に反して書面作成を強要した」として、プライバシーや人格権の侵害を主張。他の住民に見せると伝えて心理的な負担をかけており、役員らは自殺を予見できたと訴えている。  一方、役員は「どうすれば他の住人の理解を得ながら、男性を班長選出から外せるか模索した」として、強要を否定。書面の作成については「嫌がっているそぶりはなかった。ストレスのない方法を選択して適切だった」と主張している。  近くに住む兄(41)によると、亡くなる前夜、男性は「言いたくないことまで根掘り葉掘り書かされた。さらし者にされる」とため息交じりに話し、落ち込んでいたという。兄は「弟は真面目でおとなしく、障害もあって他人に指示されると抵抗できなかった。自殺に追い込んだのは許せない」と話す。」
  • 前から思っていたけど、この国の人々は病気や障害を含む身体のステータスがプライバシーであることについてあまりに無頓着では?

 

東京 千代田区長の議会解散表明 選管は「解散無効」判断 | NHKニュース

  • 「東京 千代田区の石川雅己区長(79)は、区内のおよそ1億円のマンションの部屋を家族と所有していますが、この部屋は土地の所有者などに提供される「事業協力者住戸」と呼ばれる部屋で、抽せんをせずに入手したことが明らかになっています。 この問題について、区議会は石川区長が百条委員会でうその証言をしたなどとして偽証などの疑いで刑事告発することを決めましたが、区長は今月28日「実質的な不信任だ」として議会の解散を表明し議長に通知しました。 地方自治法では、不信任の議決が行われた場合、区長は議会を解散できるとしていますが、今回、議決はなく、議員側は「解散は成立しない」と主張して区の選挙管理委員会が審議を続けてきました。 その結果、31日、選挙管理委員会は「刑事告発は不信任の議決にはあたらず、解散は無効だ」という判断を示しました。 これについて、石川区長は報道陣に対して「司法の場で判断されるべきことだ。議会は解散しており存在しないと考えている」などと述べました。 一方、区議会の小林孝也議長は「議会の主張が認められた。区長は判断を真摯(しんし)に受け止め、混乱を収めることを強く求める」と話しています。」
  • 地方自治法178条「普通地方公共団体の議会において、当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をしたときは、直ちに議長からその旨を当該普通地方公共団体の長に通知しなければならない。この場合においては、普通地方公共団体の長は、その通知を受けた日から十日以内に議会を解散することができる。」/2項「議会において当該普通地方公共団体の長の不信任の議決をした場合において、前項の期間内に議会を解散しないとき、又はその解散後初めて招集された議会において再び不信任の議決があり、議長から当該普通地方公共団体の長に対しその旨の通知があつたときは、普通地方公共団体の長は、同項の期間が経過した日又は議長から通知があつた日においてその職を失う。 」/3項「前二項の規定による不信任の議決については、議員数の三分の二以上の者が出席し、第一項の場合においてはその四分の三以上の者の、前項の場合においてはその過半数の者の同意がなければならない。」
  • 不信任決議は特別の手続が用意されているから(3項)、実質的な不信任決議というのはありえないよね。
  • 最初どうやって解決するんだろうと思ったが、地方公共団体では、執行機関多元主義が採用されており、選挙管理委員会は首長(区長)から独立した執行機関。この後首長が選管を訴えること(機関訴訟)ができるのかは知らない。
  • ところで憲法も69条に限定すべきでは(限定されていないという解釈は誤りでは)。