目次
分野の概要
国際私法は、国際的な民事関係を扱う国内法です(国内法というところが大事で、国際私法は本来統一されているのが望ましいのですが、各国がばらばらの内容の国際私法を持っているのが現状です)。
「国際私法」という名前は、様々な意味で使われますが、司法試験科目の「国際私法」(本当は「国際関係法(私法系)」)では、狭義の国際私法(準拠法選択)、国際民事訴訟法(国際裁判管轄、国際訴訟競合、外国判決の承認・執行など)、国際取引法が出題されます。
狭義の国際私法は「法の適用に関する通則法」に、国際民事訴訟法は民事訴訟法3条の2以下と118条に規定があります。国際取引法は、国際取引を直接的に規律するルール群で、CISG(ウィーン売買条約、国際物品売買契約に関する国連条約)などです。
リークエ国際私法
安定のリークエ。国際私法(狭義)+国際民事訴訟法の3分の2(国際裁判管轄、外国判決の承認・執行)を対象としています。
国際私法・国際民事訴訟法は、本来全ての事件で問題となっているのですが、関係者が論点を認識していないことも多く、理論的に未成熟な分野です(百選のうち最高裁判例は約4分の1)。そのため、調べていても結局何が何だか分からないということが多く、勉強していてかなりつらいのですが、そんな中で本書は議論を簡潔に整理してくれており、とても助かります。
国際民事訴訟法では、2010年代にいくつかの重要判例が出され、また、国際裁判管轄についての改正(初めての明文化)がされましたが、本書にはそれらが反映されており、その概要がよくまとまっています。
(2020年6月最終更新)
沢木=道垣内・国際私法入門
国際私法(狭義)+国際民事訴訟法(全部)。澤木先生が書いたものを道垣内先生が死後改訂したものです。リークエは整理が分かりやすいのに対して、本書はより理解に資する感じがします(道垣内先生の頭の良さが伝わってきます)。2018年人訴法等改正まで反映されています。
(2020年6月最終更新)
アルマ国際民事訴訟法
数少ない国際民訴の教科書の一つ。特にリークエを基本書にする場合、国際民事訴訟法の取り扱いが不完全であり、また、判例・立法中心で学説の議論があまり書かれていないので、本書で補完することとよいと思います。最後の改訂が2012年で、少し古くなっているため、その後の判例・立法については逆にリークエなどで補完する必要があります。
(2020年6月最終更新)
演習国際私法 Case 30
演習書。国際私法は演習書が少なく、やるなら本書ということになりそうです。
(2020年6月最終更新)
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