雑多なまとめ。公取委も相当にオープンだった気がするけど、消費者庁は消費者相手だからかさらに親切。時間があったら課徴金の類型別まとめみたいな追記は後からするかもしれない(独禁法:類型別・最近の排除措置命令など)。基本的にはwebで読めるものを挙げた。
景品表示法
沿革とエンフォースメントについては、景品表示法の沿革。実体要件については、景品表示法の実体要件。
資料
運用
- 消費者白書
- 景品表示法における違反事例集…2010年4月から2015年3月の間に措置命令が発せられ、確定したものを整理したもの。なお、2015年3月までの報道資料は、webページから削除されてしまっている(事例集にリンクがあるが、ファイルが存在しない)。
- 景品表示法関連報道発表資料 2019年度…主に行政処分の公表。
- 景品表示法:公正取引委員会…主に行政処分の公表。消費者庁より事例数が少なく、だいたい消費者庁にも載っているので、公取委が関わったものだけを公取委のサイトに載せているよう。
制度解説等
- 事例でわかる景品表示法(平成28年7月改訂)
- よくわかる景品表示法と公正競争規約(平成30年3月改訂)
- 2016年5月号【No.46】(2016年5月16日発行)(国民生活)_国民生活センター…課徴金導入回。森・濱田松本法律事務所から出向して立案を担当した弁護士による解説が載っている。
- 小畑徳彦「消費者庁移管後の景品表示法の運用と改正」ノモス(関西大学法学研究所)35号1頁以下(2014)…沿革を完結にまとめてくれている。執筆者は元公取職員・経済法研究者。
消費者団体訴訟制度
消費者団体制度には、適格消費者団体による差止請求制度と、特定適格消費者団体による被害回復訴訟制度の2つがある。
適格消費者団体による差止請求制度
適格消費者団体による差止請求制度は、2006(平成18)年の消費者契約法改正により導入された制度である。差止請求業務を行う者として、一定の要件のもとに内閣総理大臣(の委任を受けた消費者庁長官)の認定(13条、48条の2)を受けた適格消費者団体が、不当勧誘や不当条項を含む契約の申込みなどを行い、あるいは行うおそれがある事業者等に対して、差止請求権を行使することができる(12条、13条)。
さらに、適格消費者団体による差止請求制度は、2008(平成20)年に景品表示法(優良誤認、有利誤認。ただし、自主的合理的選択阻害性は不要。30条)および特定商取引法(いろいろ。58条の18〜58条の24)に導入され、さらに、2013(平成25)年制定の食品表示法でも導入された(11条。食品表示法は、食品衛生法、健康増進法、JAS法の表示関係規定を統合・拡充したもの)。
理論的には、適格消費者団体の差止請求権は、実体法上の固有権である。もっとも、このことを前提に、ある適格消費者団体が法的手続により差止請求をした場合は、他の適格消費者団体は、基準時後の新事由がない限り、差止請求をすることができない(12条の2第1項2号、2項。既判力に類似の規律をもたらすが、実体法上の効力である)。
特定適格消費者団体による被害回復訴訟制度
特定適格消費者団体による被害回復訴訟制度は、2013(平成25)年制定、2017(平成29)年施行の消費者裁判手続特例法に基づいて導入されたもので、適格消費者団体による差止請求制度が将来に向かって不作為を求めるのに対して、過去の行為について給付を求めるもの。
特定適格消費者団体による被害回復訴訟制度は、特定適格消費者団体が提起する共通義務確認訴訟と、その後の簡易確定手続からなる。制度の概要およびその最初の事例(係属中)については、東京医科大訴訟:消費者裁判手続特例法の第一事例。
資料
適格消費者団体による差止請求制度
- 差止請求事例集…最初の方に制度概要も載っている。
- 2016年12月号【No.53】(2016年12月15日発行)(国民生活)_国民生活センター…消費者裁判手続特例法制定時の号で、特集が組まれている。特に「消費者裁判手続特例法の概要」が分かりやすかった。
- 高田昌宏「団体訴訟の構造と機能」伊藤眞=山本和彦編『民事訴訟法の争点(ジュリスト増刊 新・法律学の争点シリーズ)』32頁(2009)
特定適格消費者団体による被害回復訴訟制度
- 消費者裁判手続特例法 Q&A…立案担当者による128個のQA。商事法務の一問一答シリーズと中身が同じかどうかは確認していない。
- 中田裕康「消費者裁判手続特例法の共通義務確認の訴えの対象」(全国銀行協会平成26年度金融法務研究会第2分科会(金融商品・サービスの提供、IT技術の進展等による金融機関の責任範囲を巡る諸問題)報告書第5章)
- 松下淳一「消費者裁判手続特例法による金融実務への影響~手続法の観点から~」(同前第6章)
- 三木浩一=加納克利=中川武久=野々山宏「特別座談会 消費者裁判手続特例法の理論と課題」論究ジュリスト9号138頁(2014)