自由選択主義・不服申立前置主義と原処分主義・裁決主義

自主ゼミで審決取消訴訟を担当したときのレジュメからコピペ。

 

行政事件訴訟法8条1項 処分の取消しの訴えは、当該処分につき法令の規定により審査請求をすることができる場合においても、直ちに提起することを妨げない。ただし、法律に当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ処分の取消しの訴えを提起することができない旨の定めがあるときは、この限りでない。

行政的救済を求めるか、司法的救済を求めるかは原則として自由であるという意味で、自由選択主義と呼ばれる。これに対するのが、不服申立前置主義である。

特許拒絶査定・特許査定に対する不服については、不服申立前置主義が採用されている(拒絶査定不服審判、無効審判)。他の例として、国税通則法(課税処分などについて国税不服審判所に対する審査請求を前置)、平成25年改正前独占禁止法(排除措置命令・課徴金納付命令について公正取引委員会に対する審査請求を前置。なお、改正により、金融商品取引法に基づく課徴金納付命令などと同様の事前審査型手続に改められた)がある。いずれも、専門的知識を有し一定の中立性を与えられた機関による判断を経由させる趣旨である。

 

行政事件訴訟法10条2項 処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。

原処分の違法を主張するには原処分の取消訴訟を提起しなければならないという意味で、原処分主義と呼ばれる。ただし、「処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には」という文言から分かるとおり、裁決の取消訴訟のみを提起できる場合には、裁決の取消訴訟において原処分の違法を主張することができることとなる(例外としての裁決主義)。

 

特許法178条6項 審判を請求することができる事項に関する訴えは、審決に対するものでなければ、提起することができない。

不服申立前置主義が採用される場合、同時に裁決の取消訴訟のみを提起できることとされることが多い(特許法178条6項。平成25年改正前独占禁止法77条3項にも同一文言の規定が置かれていた)。その場合、裁決主義となる(裁決の取消訴訟において原処分の違法を主張することができる)。専門的知識を有し一定の中立性を与えられた機関による判断を尊重する趣旨である。

 

特許法178条1項 審決に対する訴え…は、東京高等裁判所の専属管轄とする。

不服申立主義前置主義が採用され、かつ、裁決の取消訴訟のみを提起することができるとされる場合、同時に東京高等裁判所が一審専属管轄裁判所とされ、実質的に一審が行政審判に代替されることが多い(特許法178条1項、平成25年改正前独占禁止法85条1号)。

 

しかし、自由選択主義と不服申立前置主義、原処分主義と裁決主義は一方が他方の必然的帰結だというわけではない。多くの処分は自由選択主義かつ原処分主義(前提としていずれの取消訴訟も提起できる)であり、その対極にあるのが不服申立前置主義かつ裁決主義(前提として裁決の取消訴訟のみを提起できる)の場合であるが(特許法、平成25年改正前独占禁止法)、不服申立前置主義だが原処分主義(前提としていずれの取消訴訟も提起できる)という場合もある(国税通則法)。