令和元年 予備試験 論文式 再現答案 商法

(評価:B)

1 設問1*
 取締役会の決議は、議決に加わることができる取締役の過半数が出席し、その過半数をもって行う(会社法369条1項)。Dは、本件取締役会決議は、同項に違反して無効であると主張することが考えられる。
 まず、Aは、死亡しているから、取締役としての地位を失っている(会社法330条・民法653条1号)。したがって、議決に加わることができる取締役に含まれない。
 では、Dは、特別利害関係取締役として、議決権行使を禁じられるか。特別利害関係取締役とは、他の取締役と共通しない利害関係を有する取締役をいう。
 Dは、自己の取締役からの解任について、社会的地位あるいは報酬などの個人的利害関係を離れて、もっぱら経営監督者である取締役として議決権行使に関わる判断をすることは期待できない。もっとも、本件取締役会決議は、臨時株主総会の招集を目的とするもので、解任自体は株主総会の決議事項である。したがって、Dは、本件取締役会決議について、特別被害関係取締役に当たらない。したがって、Dの議決権行使を認めなかったことは、違法である。
 もっとも、本件取締役会決議は、出席取締役3人のうち過半数である2人が賛成しているから、Dが議決権行使をしていたとしても、決議に影響はないと考えられる。したがって、本件取締役会決議は、上記違法にもかかわらず、なお有効であると解される。
2 設問2**
(1) Dは、甲社の代表者であるCが、丙社が本件会社分割によって取得した甲社株式について、議決権の行使を認めなかったことが、決議方法の法令違反に当たる(831条1項1号・105条1項3号)として、本件株主総会決議の取消しを主張することが考えられる。
(2) 株主が、株主権を行使するためには、株主名簿の名義書換えを経なければならない(130条1項)。もっとも、この規定は、会社の側から株主が誰であるかを調査するコストを軽減することを目的とするものであるから、会社が、不当に名義書換えを拒絶する場合には、この規定にもかかわらず、株主は、株主権を行使することができる。
(3) では、甲社の代表者であるCが、上記株式につき、本件会社分割による甲社株式の取得が甲社の取締役会の承認を得ていないことを理由に、名義書換えを拒絶したことは、適法か。
 譲渡制限株式については、取締役会設置会社においては、取締役会の承認を経なければ、名義書換請求をすることができない(136条〜145条)。もっとも、一般承継の場合には、この限りでない(134条但書4号)。この場合には、定款の定めに基づき、売渡請求をすることができるに過ぎない(174条〜177条)。
 したがって、名義書換えの拒絶は、違法である。
 したがって、議決権行使を認めなかったことは、違法である。
 したがって、この主張は認められる。
(4) なお、上記株式につき議決権行使が認められた場合には、本件株主総会決議に賛成したのは、議決権100個のうち、40個に過ぎないから、上記違法は、決議に影響を及ぼすものであり、裁量棄却(831条2項)は認められない。
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*論点らしい論点がなく、よくわからない。商法だけ2ページに収まったこともあって(2ページ目最終行。最短)、何か大事なものを忘れた気がする。非上程事項?当然の前提としていた…
**定足数についても書くべきだったっぽい。たしかにそうじゃなきゃAの存在意義がない。