平成30年 予備試験 論文式 再現答案 実務基礎刑事

(評価:D[民事と共通])

法令名を省略するときは刑事訴訟法を指す.
設問1 共犯者が不明であることから,口裏合わせをしたり,協力して証拠を隠滅することがありうる.
設問2① 316条の15第3項イについて,同条1項3号の類型.同条3項ロについて,甲8号証は,午前4時という暗い時間帯に,5メートルという人の顔や持ち物の詳細を認識するには離れた場所から,黒という見分けにくい服を着た者を見たというにすぎないのであり,その証明力には疑いがあり,これを確かめる必要があること.
② 316条の15第3項イについて,同条1項5号ロの類型.同条3項ロについて,甲8号証は検察官面前調書であるところ,警察官面前調書と比較して,変遷がないかを確かめ,その証明力を判断する必要があること.
③ 316条の15第3項イについて,同条1項6号の類型.同条3項ロについて,甲8号証と矛盾する供述がないかを確かめ,その証明力を判断する必要があること.
設問3 共犯者を不詳者からAに変更し,被害品に本件CDを追加する訴因変更(312条1項).訴因変更は「公訴事実の同一性」の範囲内でのみ行うことができるところ,「公訴事実の同一性」は,処罰関心の拡大を許さない観点から,時間的・場所的離隔,犯行の態様の共通性などを考慮して判断されるべきである.共犯者の変更は,共犯者を特定しするのみであり,また,被害品に本件CDを含むか否かで犯行はほとんど変わらないといえるから,この訴因変更は公訴事実の同一性を損なうものではない.
設問4(1) 間接証拠.W2の供述は,犯人とされた者の犯行後の様子を述べるにすぎず,犯行そのものについてのものでないから.
(2) 検察官請求証拠について検察官の意見を聴取することは必要ではないが(刑事訴訟規則190条2項),弁護人が反対の意見を述べており,採用の要否についてより適切な判断をするため,裁量によって検察官の意見を求めた(同規則208条1項)ものである.
(3) W2は,時間的・場所的に犯行に最も近い目撃者であり,その尋問をする必要性は高い.
設問5 刑事訴訟法上の問題について.公判前整理手続が行われた場合,やむを得ない事由によって請求することができなかつた場合を除き,新たに証拠調べを請求できない(316条の32第1項).本件では,領収証は,公判前整理手続終了後に交付されたものであるため,やむを得ない事由があったものであり,領収証の取調べ請求は認められる.
 弁護士倫理上の問題について.領収証は,犯罪成立を前提として,その犯情を軽減するものである.依頼者の意思の尊重(弁護士職務基本規程22条),防御権の説明(同48条)から,Aの弁護人は,Aに対してその旨を説明しなければ,その取調べを請求することができない.また,説明した場合であっても,Aがこれに反対した場合,その取調べを請求することができない.

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