早稲田大学法科大学院 2019年度入試(2018年8月実施) 刑事訴訟法 再現答案

(評価:30/60点)

1 Bの供述録取書を証拠とすることは,「公判期日における供述に変えて書面を証拠と」することにあたるから,伝聞例外の各規定に当たらない限り,証拠調べを認めることはできない(320条1項). 

2 Bの供述録取書は,「被告人以外の者…の供述を録取した書面」で「前二号に掲げる書面以外の書面」にあたるから(321条1項柱書,3号), (1)Bの署名または押印があり,(2)Bが公判期日等において供述不能であり,(3)犯罪事実の証明に不可欠であり,(4)絶対的特信情況がある場合にのみ,証拠調べを認めることができる. 

3 もっとも,検察官は,Aの証言の証明力を争うために,Bの供述録取書を証拠調べ請求しているから,「公判期日における…証人…の供述の証明力を争うため」にあたり,証拠調べを認めることができるのではないか(328条). 

確かに,同条は,証明力を争うための証拠について,何ら限定を加えていない.しかし,およそ証明力を争うためであればいかなる伝聞証拠も証拠調べをすることができるとすれば,伝聞証拠禁止の原則や,厳格な伝聞例外の規律は無意味になり,不当である.同条によって証拠調べをすることができるのは,その証拠によって争おうとする供述をした者がした,これと矛盾する供述に限られると解するべきである. 

本件では,争われるのはAの供述であるから,同条によってBの供述録取書の証拠調べを認めることはできない. 

したがって,2に述べた4要件を満たさない限り,証拠調べを認めるべきではない.

 

受験時・出題趣旨公表後のコメント:2019年度早稲田大学法科大学院入試(再現答案へのリンクあり)