Kimono・商標・商標登録

Kimonoについて。

 

前提として、著作物と著作権、発明と特許権が別であるのと同じように、商標と商標権、商標としての使用と商標登録(商標権の付与を受けること)は、区別する必要があります。

商標とは、一定の商品の提供者が、その提供者を表示するために使用する文字等をいいます。例えばMacBookであれば、Appleのマークが描かれていることで、需要者はそれがAppleの製品であることを認識します(Appleの独特のデザインでも同様の認識ができるかもしれませんが、それは登録意匠の問題です)。Appleが信頼できるメーカーだと思っている人は、目の前にあるその製品と、Appleについての信頼を結びつけ、その製品も信頼に値するのだと思い、購入する(かもしれない)わけです。
商標登録は、その商標を他人が使うのをやめろと言える権利(独占的権利)を設定するものです(登録されて初めてやめろと言うことができます)。Appleの例で言えば、他のメーカーがその製品にAppleのマークを描くことで、Appleが持つ信用価値(ブランド価値)にフリーライドし、あるいはAppleの信用価値を毀損することを防ぐ・やめさせることができるようになります。

 

ところで、京都市が、Kimino の商標としての使用をやめるように求めています(京都市:「KIMONO」の商標登録に関して)。

京都市は、結論として、ask you to re-consider your decision of using the name Kimono in your trademark(着物の名前を商標中に使用するとの決定を再考するよう要請する)と述べています。そして、その理由として、names for “Kimono” are the asset shared with all humanity who love Kimono and its culture therefore they should not be monopolized(「着物」の名前は着物とその文化を愛するすべての人の共有財産であり、したがって、独占されるべきものではない)と述べています。

 

しかし、Kimonoという言葉がshared assetであるならば、trademarkとして使う(=商品にKimonoという名前を付ける)こと自体は問題ではないのではないか、言い換えると、その理由からはそこまでの要求はできないのではないかと思います。先に書いたとおり、商標は登録されて初めて独占できるものだからです。

もちろん、商標登録をしなくても、アメリカでは使用主義が採用されているので一定の保護がされますし(米国商標出願の概要 | RYUKA国際特許事務所)、日本でも不正競争防止法で(より弱いものの)保護が与えられます。しかし、京都市がそれすらもmonopolyとして許せないと考えているようには思えません。もしそうなら、京都の業者が日本で着物関係の商標登録をすることも許せないことになるはずです。この場合にも、shared assetをmonopolizeすることになるからです。(なお、「着物関係」と言ったのは、着物それ自体はそもそも誰が出願しようが拒絶されると考えられるからです)

 

京都市が挙げる理由からすると、むしろ、application for trademark registration(商標出願)を取り下げろ、と言ったほうがよかったのではないでしょうか。

そして、これが商標としての使用ではなく商標登録の問題であるとすると、既存のルール(一般名称など)の枠内で対応できることですから、USPTOが登録を拒絶するでしょうし、登録が通ってしまったら通ってしまったで訴えればよいわけなので、あまり感情的に騒ぐことでもないのかなと思っています。