Coinhive事件判決メモ

先週、Coinhive事件について、無罪判決がされたようです(LSが思いの外忙しく、遅くなりました。この記事自体もあまり深い考察はできません…)。

 

Coinhiveとはなにか

Wikipediaはこのように説明しています。

Coinhive事件(コインハイブじけん)は、ウェブサイトに暗号通貨 MoneroのマイニングスクリプトであるCoinhiveを設置し、サイトの閲覧者に無断でマイニングを行わせたとして検挙された事件である。(Coinhive事件 - Wikipedia

これだけだと分かりにくいと思うので、一応説明を加えておきます。

  • Coinhiveは、JavaScriptという言語で書かれたプログラムです。
  • JavaScriptは、HTMLで書かれたWebサイトに動きをつけるために使われるものです(最近ではHTMLだけでもかなり動きのあるサイトが作れますが、JavaScriptはさらに高度なことができます)。例えばGmailTwitter、あるいはWeb広告なども、JavaScriptで作られています。
  • Coinhiveは、Webサイトにアクセスした人のデバイス上のブラウザ(例えばChrome)で動作し、仮想通貨(=暗号通貨。Cryptocurrency)の一つであるMoneroのマイニングをします。
  • マイニングとは、極めてざっくりいうと、仮想通貨ネットワークに参加し、仮想通貨の取引を承認することを言います。仮想通貨ネットワークに貢献する行為であり、報酬として仮想通貨が得られます。これを鉱産資源の採掘mineにたとえて「マイニング」と呼んでいます。詳細はさしあたり次のページを参照:

    coin.z.com

  • マイニングは、普通は自分のコンピュータでやるものですが、Coinhiveは自分のWebサイトにアクセスした人のコンピュータに(ときに無断で)それをさせるものです。もっとも、アクセスした人のコンピュータに(必ずしもその人の意思に沿うとは限らない)何らかの動作をさせて、収益化を図るという点では、Web広告と変わりがありません。

 

経緯・争点

経緯や争点については、判決前日に公開されたこの記事が参考になります。

www.bengo4.com

 

また、警察の捜査の酷さは、被告人のモロさん(モロ (@moro_is) | Twitter)の記事と、ねとらぼの記事からうかがうことができます。

doocts.com

nlab.itmedia.co.jp

 

判決

弁護人の平野弁護士が、判決のほぼ全文を公開されています。

詳細は原文を読んでいただきたいのですが、全体の構造として、Coinhiveは人の意図に反する動作をさせるべきものであるとした上で、不正な指令を与えるものではないとしています。

判決が、不正性の判断基準について、次のように一般的規範を定立しており、

あるプログラムによる指令が「不正な」ものであるかどうかは,ウェブサイトを運営するような特定のユーザー及びウェプサイト閲覧者等の一般的なユーザーにとっての有益性や必要性の程度,当該プログラムのユーザーヘの影響や弊害の度合い,事件当時における当該プログラムに対するユーザー等関係者の評価や動向等の事情を総合的に考慮し,当該プログラムの機能の内容が社会的に許容し得るものであるか否かという観点から判断するのが相当である。

また、本件への適用について、次のように判示していること

ウェプサイ 卜閲覧者の同意を得ないで本件マイ二ングを行うことに関し.その当時新聞 等のマスメディアによる報道はもとより捜査当局等の公的機関による事前の 注意喚起や警告等もない中で,本件プログラムコードを設置した被告人に対 していきなり刑事罰に値するとみてその責任を問うのは行き過ぎの感を免れない。

からすると、必ずしもCoinhiveは適法(刑事罰の対象にはならない)とまでは言えないのではないかと思います。

 

被告人のnote

被告人のモロさんが、判決後の感想と、検察官控訴を受けてのクラウドファンディングの告知をされています。

note.mu

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