改造ポケモンの販売行為に関する不正競争防止法の適用関係

報道

 パソコンで改造した人気ゲーム「ポケットモンスターポケモン)」のキャラクターを、家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」本体に不正に取り込んで販売したとして愛知県警豊田署は4日、名古屋市南区、無職、川松和生容疑者(23)を不正競争防止法違反(技術的制限手段の無効化役務提供)容疑で逮捕した。同署によると、川松容疑者は2019年11月以降、改造データの販売で115万円以上を売り上げていた。

 逮捕容疑は20年4月、自宅のパソコンで、スイッチ用のゲームソフト「ポケットモンスター ソード・シールド」に登場するポケモンを改造。スイッチ本体の制御を不正に解除し、強さなどを改造したポケモンを本体に保存した上、データを販売したとしている。容疑を認めている。

 同署によると、川松容疑者はオンラインゲームで使うアイテムなどを現金で売買する「リアルマネートレードRMT)」サイトで、ポケモンのデータを1匹500円で販売していた。

 スイッチ本体にはデータの改ざんやコピーができないよう制御機能が付いているが、川松容疑者は本体の部品をピンセットなどで操作。パソコンの専用ソフトで依頼人の希望に沿ってポケモンを改造し、スイッチに取り込んでいた。

(略)

パソコンで改造したポケモンをSwitchで販売した疑い 23歳逮捕 愛知県警 - 毎日新聞

 

不正競争防止法の規定

上記行為について、不正競争防止法の適用関係を整理したいと思います。適用されているのは、不正競争防止法21条2項4号・2条1項17号と考えられます。条文は、次のようになっています(読みたくなければ飛ばしてください)。

21条2項「次の各号のいずれかに該当する者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」「四 不正の利益を得る目的で、又は営業上技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的で、第2条第1項第17号…に掲げる不正競争を行った者」

2条1項「この法律において「不正競争」とは、次に掲げるものをいう。」「十七 営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に記録されたものに限る。以下この号、次号及び第8項において同じ。)の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)、当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号(電子計算機に対する指令であって、当該指令のみによって一の結果を得ることができるものをいう。次号において同じ。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は影像の視聴等当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務提供する行為」

 2条1項17号を箇条書きで整理すると、次のようになります(これも読みたくなければ飛ばしてください)。

  • [行為1:物・プログラム・指令符号の提供]
    • [行為1-1:物理的メディアを介する物・プログラム・指令符号の提供]
      • [目的語]
        • [目的語1:装置]営業上用いられている技術的制限手段(他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に記録されたものに限る。以下この号、次号及び第8項において同じ。)の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録をさせないために用いているものを除く。)により制限されている影像若しくは音の視聴、プログラムの実行若しくは情報の処理又は影像、音、プログラムその他の情報の記録(以下この号において「影像の視聴等」という。)を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)*
        • [目的語2:プログラム・指令符号を記録した記録媒体・機器]当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)若しくは指令符号(電子計算機に対する指令であって、当該指令のみによって一の結果を得ることができるものをいう。次号において同じ。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を
      • [行為]譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸出し、若しくは輸入し、若しくは
    • [行為1-2:物理的メディアを介さないプログラム・指令符号の提供]
      • [目的語]当該機能を有するプログラム若しくは指令符号を
      • [行為]電気通信回線を通じて提供する行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。)又は
  • [行為2:役務の提供]
    • [目的語]影像の視聴等当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務
    • [行為]提供する行為

*[装置]と[プログラム・指令符号を記録した記録媒体・記憶した機器]が並列に譲渡等の行為の客体となる(=[を記録した記録媒体・記憶した機器]がプログラムと指令符号の両方にかかっている)ことは、経産省の担当課による逐条解説105頁から明らかなのですが(ちなみに指令符号とはシリアルコードのことです)、そうすると、「装置」の後は「、」ではなく「若しくは」とすべきであるように思います。ここが「、」だと、文面上は、[を記録した記録媒体・記憶した機器]が指令符号のみにかかるか、装置・プログラム・指令符号の全部にかかることになってしまい、前者と解釈するとプログラム(有体物ではない)の譲渡という不適切な概念が生じてしまい(ちなみに著作権法の悪口ではありません)、後者と解釈すると装置を記録した記録媒体・記憶した機器という意味不明な概念が生じてしまいます。

「影像の視聴等」がわかりにくいですが、要すれば技術的制限手段によって制限される行為のことです。

今回適用されるのは、行為2なので、要件は次のように整理できます。

  • 問題とされる行為が、「影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務を提供する行為」であること。「影像の視聴等」とは、「営業上用いられている技術的制限手段…により制限されている…情報の処理」をいう。
  • 当該行為を「不正の利益を得る目的で、又は営業上技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的で」行ったこと。

ちなみに技術的制限手段は2条8項で定義されていますが、報道からは判断しようがないので見ないことにします。

 

適用関係

取引の流れは、

  1. 依頼者が被疑者に改造ポケモンを注文する
  2. Switchから取り出したポケモンをPCで改造する
  3. 被疑者がSwitchの制御を解除し、改造ポケモンを自己のSwitchに保存する
  4. 被疑者が依頼者のSwitchに改造ポケモンを送信する
  5. 依頼者が被疑者に入金する

となっています(報道の図より)。このうち、さしあたり3を実行行為と捉えて検討します。

 

改造ポケモンを自己のSwitchに保存する行為についての本罪の成立

「Switch本体にはデータの改ざんやコピーができないよう制御機能が付いている」ようなので、これが「技術的制限手段」に当たり、PCで編集したデータの書き込みが、その技術的制限手段「により制限されている…情報の処理」に当たると考えられます。

上記制御機能は、改造を防止し、ゲームバランスを保ったり、秩序あるプレイ環境を提供することでプレイヤーを引きつけるために付けられたものと考えられるので、「営業上用いられている」のだと考えられます*。

以上から、「データの改ざんやコピー」をする行為は、「影像の視聴等」に当たることになります。

*プレイヤーを引きつけることによって利益を受けるのはソフトメーカーであって、任天堂ではないのではないかという気もしますが、そういう環境を作り出すことでソフトの開発を促し、そのソフトをプレイするためにハードを買ってもらうというように、結局は任天堂の利益になるので、あまり深く考える必要はありません。

被疑者は、この制御機能を「本体の部品をピンセットなどで操作」し、「パソコンの専用ソフトで依頼人の希望に沿ってポケモンを改造し、Switchに取り込んでいた」ようなので、これが上記影像の視聴等を「当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする役務」に当たると考えられます。

故意が認められることは明らかであり、図利加害目的についても、被疑者は改造したポケモンのデータを1匹500円で販売していた」ようなので、「不正の利益を得る目的」が認められます。

以上から、本罪が成立します。

 

改造ポケモンを自己のSwitchに保存する行為を実行行為としてよいか?

もっとも、改造ポケモンを自己のSwitchに保存する行為を本罪の実行行為と捉えることには違和感があるかもしれません。この段階では、依頼者は改造ポケモンを使えるようになっていませんし(特に「役務を提供」という文言からはそれが必要であるようにも思われます)、被疑者も対価を得ていないからです。前のセクションで「さしあたり3を実行行為と捉えて検討します」としたのはそのためです。

確かに、依頼の対象、つまり報酬の対価となるのは2(PCでの改造)、3(被疑者のSwitchへの保存)、4(依頼者のSwtichへの送信)の全体と考えられます。仮にこの取引について契約が成立するなら、2や4を「ちゃんと」やらなければ債務不履行となるでしょう。

しかし、本罪は技術的制限手段を回避する役務の提供を処罰するものです。4(依頼者のSwtichへの送信)は通信交換という、技術的制限手段によって制限されていない機能を利用していると考えられ(文言上は「影像の視聴等」に当たらないということになる)、それを実行行為に含める(そこまで実行行為を延ばす)必要はないように思います。

もちろん、例えば自ら使用する目的で改造ポケモンを作ったのであれば、図利加害目的がなく、そうである以上、後から友達にせがまれて譲ったとしても、本罪は成立しません。しかし、裏を返せば、あくまでどのような目的で保存行為を行ったかを問題とし、他人に送信して対価を得る意思があれば、実際にそうすることを待つまでもなく、本罪は成立しうるとするのが、利益等を図利加害目的という行為時の主観的要件とした趣旨なのではないかと思います*。

*なお、経産省の担当課による逐条解説109頁に本罪についての言及がありますが、役務提供の意義については何も述べられていません。

そういうわけで、改造ポケモンを自己のSwitchに保存する行為を実行行為としてよいのではないかと思います。実際には同種行為を繰り返して初めて摘発されるのでしょうから、そこが争われることはないのでしょうけれども。 

著作権法令和2年改正について

改正の概要

  • インターネット上の海賊版対策の強化
    • リーチサイト対策(113条2項〜4項〔みなし侵害の追加〕、119条2項4号、5号、第120条の2第3号等〔罰則〕)…リーチサイト等を運営する行為等を、刑事罰の対象とし、また、リーチサイト等において侵害コンテンツへのリンクを掲載する行為等を、著作権等を侵害する行為とみなし、民事上・刑事上の責任を問いうるようにする。
    • 侵害コンテンツのダウンロード違法化(30条1項4号、2項〔私的複製の例外〕、119条第3項2号、5項等〔罰則〕)…違法にアップロードされたものだと知りながら侵害コンテンツをダウンロードすることについて、一定の要件の下で私的使用目的であっても違法とし、正規版が有償で提供されているもののダウンロードを継続的に又は反復して行う場合には、刑事罰の対象にもする。なお、音楽・映像は改正前でも違法。
  • その他の改正事項
    • 写り込みに係る権利制限規定の対象範囲の拡大(30条の2)…・写り込みに係る権利制限規定について、生配信やスクリーンショットを対象に含めるなど対象範囲の拡大を行う。なお、録音・録画は改正前から権利制限の対象。
    • 行政手続に係る権利制限規定の整備(地理的表示法・種苗法関係)(42条2項)…権利制限の対象となる行政手続として、種苗法・地理的表示法(GI法)の審査等に関する手続を規定するとともに、これらに類する手続を政令で定めることができることとする。なお、特許手続は改正前でも対象。
    • 著作物を利用する権利に関する対抗制度の導入(63条の2)…著作権者等から許諾を受けて著作物等を利用する権利について、その著作権等を譲り受けた者その他の第三者に対抗することができることとする。なお、特許法では平成23年改正で導入済み。
    • 著作権侵害訴訟における証拠収集手続の強化(114条の3)…裁判所は、書類の提出命令の要否を判断するために必要があると認めるときは、書類の所持者に当該書類の提示をさせることができることとするとともに、当事者の同意を得て、専門委員(技術専門家)に対し、当該書類を開示することができることとする。なお、特許法では平成30年改正で導入済み。
    • アクセスコントロールに関する保護の強化(2条1項20号、21号、113条7項〔みなし侵害〕、120条の2第4号〔罰則〕)…著作物等の不正使用を防止するためのアクセスコントロール技術について、最新の技術動向を踏まえて保護対象の明確化を行うとともに、これを回避する機能を有する不正なシリアルコードの提供等を著作権等を侵害する行為とみなし、民事上・刑事上の責任を問いうるようにする。なお、不正競争防止法では平成30年改正で対応済み。
    • プログラムの著作物に係る登録制度の整備(プログラム登録特例法4条、26条等)…①プログラムの著作物に関し、著作権者等の利害関係者が、自らの保有する著作物と登録されている著作物が同一であることの証明を請求できることとする。②国又は独立行政法人が登録を行う場合の手数料の免除規定を廃止することとする。

 

コメント

実践的に意味がありそうなのは、リーチサイト対策、侵害コンテンツのダウンロード(全面)違法化、写り込み、利用権の当然対抗、アクセスコントロールあたりでしょうか。理論的に大きな意味がありそうなのは、当然対抗でしょう。これについては後に別にコメントします。

113条には、リーチサイト対策の2項〜4項、アクセスコントロールの強化(簡単にいうと不正なシリアルコードの公衆送信等です)の7項が追加されました。その結果、現行法制定時には2項だった名誉声望を害する利用は、なんと11項になります。

権利付与法は取引の対象にしやすい代わりに柔軟化できないと言われますが(cf. 行為規制法としての不正競争防止法)、みなし侵害で限定的に捕捉していくというのは、権利付与アプローチの相対化という感じがします(113条各項だけ見ると、不正競争防止法2条1項各号みたいですよね)。

なお、改正法律は1条でインターネット上の海賊版対策の強化、2条でその他の改正事項を規定しており、新旧対照表が2箇所に分かれているのでご注意ください(1条の表の113条にはリーチサイトの規定しかなく、2条の表にはアクセスコントロールの規定しかない。最終的な条文番号は後者です)。

本改正に全面的に対応した研究者による基本書等はまだないと思いますが(実務家によるものだと岡村先生のものがありますね)、島並先生ほかの『著作権法入門』が年度内に改訂予定と聞いています。

 

当然対抗

63条の2 利用権は、当該利用権に係る著作物の著作権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。

著作権法には、特許法における専用実施権のような物権的利用権が規定されておらず、債権的な利用権を許諾することしかできません(出版権という限定的なものはあるのですが)。

特許法では、同様に債権的利用権である通常実施権を許諾した場合、利用権者は当然に譲受人などの第三者に対抗できるようになっています(平成23年改正以後。それ以前は登録が要件でしたが、誰も登録していませんでした)。これに対して、著作権に基づく利用権には、登録制度も当然対抗制度もなかったので、譲受人等に対抗することができず、また、権利者破産時の破産管財人等による解除(破産法53条、56条。民事再生法等にも同様の規定があります)を免れることもできませんでした。

そこで、立法論としてはかねてから特許法と同様に当然対抗とすべきと説かれてきたのですが、これを採用したものです。

なお、譲渡(を含む移転)を第三者に対抗するためには登録が必要であり(77条1号)、このことに変更はありません。

 

資料

凍結受精卵を生物学上の父の同意なしに移植した場合の法的処理

報道

 別居中、凍結保存された受精卵を使って勝手に出産したとして、40代の元夫が元妻に慰謝料などの支払いを求めた訴訟の控訴審判決が大阪高裁であった。山田陽三裁判長は「夫が子をもうける自己決定権を侵害した」として一審・大阪地裁判決を支持。元妻に約560万円の賠償を命じた。判決は11月27日付。

 高裁判決によると、元妻は婚姻中の2014年、不妊治療を手がける東京都内のクリニックで夫婦で凍結受精卵をつくった。別居中の15年4月、移植同意書に夫の署名を記入してクリニックに提出。無断で受精卵を移植し、16年に女児を出産し、翌17年に離婚した。

 山田裁判長は「個人は子をいつ、誰との間でもうけるかを決められる人格権としての自己決定権を有する」と指摘。望まない女性に子を出産されたとして男性の自己決定権の侵害を認定。「移植の同意があった」とした元妻側の主張を退けた。

 ただし、夫の明確な拒否があったとはいえないことなどを踏まえて賠償額を880万円から減額した。

勝手に出産した元妻に賠償命令 自己決定権の侵害を認定:朝日新聞デジタル

(減額というのは一部棄却という趣旨でしょうか。まさか過失相殺ではないよね…?)

(我が国における精神的損害の賠償額は信じられないほど低いと思っているのですが、その中ではかなり高額ですね)

 

コメント

受精卵凍結後の移植と同意

受精卵の生成・凍結については、当然(生物としての)父・母の協力が必要なので、同意がないということは考えられません。一方、移植については、物理的には母親のみで可能ですが、法的にはやはり同意が必要と考えられており、臨床では同意を要求しています。

受精卵はお二人のものですので、たとえ保存期間中であっても、奥様の子宮に移植する際も、保存を延長する場合や保存期間中に破棄する場合も、お二人の同意が必要です。御夫婦のどちらか一方が同意しない場合、移植に使用することは出来ませんまた現在は、御夫婦のどちらか一方がなくなった場合、および離婚した場合には、その受精卵を用いて妊娠をはかることは認められていません。

一般社団法人日本生殖医学会|一般のみなさまへ - 生殖医療Q&A(旧 不妊症Q&A):Q14.受精卵の凍結保存とはどんな治療ですか?

しかし、どういう経緯なのかはよくわかりませんが、実際には同意なしで移植できてしまうことがあるようです。

 

同意なき移植の法的処理:親子関係と損害賠償

同意なしで移植してしまった場合、生物学上の父との親子関係はどうなるのか、また、その人は母に損害賠償を請求できるのか、という問題が生じます。

前者(親子関係)は、母と生物学上の父が婚姻関係にあった場合、嫡出推定を受けるか=親子関係不存在確認訴訟を提起できるか、また、推定を受ける場合、嫡出否認訴訟を提起できるかの問題になります。一方、そうではなかった場合、認知請求ができるかという形で問題になります。

最高裁は、昨年、母と生物学上の父が婚姻関係にあったというケースで、嫡出推定を受けるとして親子関係不存在確認訴訟を棄却した下級審判決を維持しています(凍結した受精卵を妻が無断移植して出産した子と父子関係があるか?。下級審は外観説によったようであり、そのことはどうかと思うのですが、結論としては妥当だと思います)。

後者(損害賠償)について判例は見当たりません。

 

本件について

本件は、後者(損害賠償)について判断したものです。

報道から分かるのは、子を(もうけるかどうか、もうけるとして)いつ、誰との間でもうけるかについての自己決定権が認められるという一般論だけですが、これについては、異論はないところだろうと思います。

親子関係が生じることとの整合性ですが、親子関係は子の福祉を最優先にすべきであり、生物学上の父は受精卵の生成に協力した以上、法律上の父としての責任を引き受けさせられてもやむを得ないと考えられるのに対して、生物学上の母との関係では上記自己決定権は保護されるべきと考えられるので、特に矛盾はないだろうと思います。

 

医師の責任

同意なき移植が自己決定権の侵害となるとすると、医師や病院もその侵害を回避するための一定の注意義務を負うこととなり、あまりに不注意で同意なき移植を実施してしまった場合には、損害賠償請求を受けることが考えられます。

どの程度の注意義務が必要か(≒医師・病院は最低限何をすれば免責されるか)ですが、基本的には移植時に(事前にでは足りない)、生物学上の父の同席と本人確認書類の提示を求めることだろうと思います。なお、生物学上の父でない男性を連れてくることも考えられますが、本人確認書類の提示を求め、カルテと照合することで十分であり、そこまでされた場合には医師・病院に責任を負わせるべきではないでしょう。

一方、同席しない場合、それは同意の拒絶という意思表示にほかならないわけですから、移植の実施は拒否すべきでしょう。例えば中絶手術の同意と違って、女性の自己決定権が夫の何らかの利益に優越するという状況にはありませんし、緊急性もないからです(人工妊娠中絶に関するメモ―特に同意要件に関して参照)。

生殖補助医療民法特例法―やる意味あった?

今回成立した生殖補助医療民法特例法についてのメモ。この改正、やる意味なかったよね?

 

報道

三者から精子卵子の提供を受けることによって生まれた子どもの親子関係を、民法で特例的に定める法律が、衆議院本会議で可決・成立しました。

法案は、第三者から精子卵子の提供を受けるなどして行われる生殖補助医療をめぐって、国内に関連する法律がないことから、議員立法の形で提出され、4日の衆議院本会議で自民党立憲民主党などの賛成多数で可決・成立しました。

“第三者から精子や卵子の提供” 生殖補助医療法 衆院で成立 | NHKニュース

民法で特例的に定める」は、正確には「民法の特例を定める」です(単行法)。

 

条文

2条(定義)

1項 この法律において「生殖補助医療」とは、人工授精又は体外受精若しくは体外受精胚移植を用いた医療をいう。

2項 前項において「人工授精」とは、男性から提供され、処置された精子を、女性の生殖器に注入することをいい、体外受精とは、女性の卵巣から採取され、処置された未受精卵を、男性から提供され、処置された精子により受精させることをいい、体外受精胚移植とは、体外受精により生じた胚を女性の子宮に移植することをいう。

(カジュアルに「医療」という言葉が出てきており、医師法の「医療」概念(医業の一要件としての医療関連性における「医療」)に批判的な立場としては、いやそれ医療なのかよと思うところですが、それは置いておくこととします。なお、最決令和2年9月16日裁判所website(タトゥー医師法違反事件上告審)

 

9条(他人の卵子を用いた生殖補助医療により出生した子の母)

女性自己以外の女性の卵子(その卵子に由来する胚を含む。)を用いた生殖補助医療により子を懐胎し、出産したときは、その出産をした女性をその子の母とする

 

10条(他人の精子を用いる生殖補助医療に同意をした夫による嫡出の否認の禁止)

が、夫の同意を得て夫以外の男性の精子(その精子に由来する胚を含む。)を用いた生殖補助医療により懐胎した子については、は、民法第七百七十四条の規定にかかわらず、その子が嫡出であることを否認することができない

 

感想

条文は特に目新しいものではなく、平成15(2003)年に中断された法制審の部会の中間試案の一部を条文化したものです(法務省:法制審議会 - 生殖補助医療関連親子法制部会)。「分娩者=母」という定式が生殖補助医療との関係でも貫徹されることは、その後の判例で確認されており(最決平成19年3月23日民集61巻2号619頁卵子提供者を母とするネバダ州裁判所の裁判が我が国の公序に反し承認されないということの前提として)、嫡出否認の訴えについても訴権の濫用として十分に対応できると考えられるため(一般法理ですが、子の利益が関わるので比較的容易に適用されるでしょう)、立法は極めて確認的なものです。

前回の法制審の部会から17年が経過し、生殖補助医療も進歩し、また、法制審で検討の対象とされていなかった紛争も生じているいるので、それを考慮に入れて改めて規律を考えるというなら分かりますし、国民的な合意が必要なテーマなだから議員立法でやるというなら分かるのですが(前掲平成19年最高裁決定、死後認知に関する最判平成18年9月4日60巻7号2563頁凍結した受精卵を妻が無断移植して出産した子と父子関係があるか?参照)、どちらというわけでもなく、正直なところ、なぜ今さら議員立法でこんな立法をしたのかよく分かりません。ありうるとすれば、首相が不妊治療を推進しているからでしょうか(不妊治療、早期に保険適用 菅首相:時事ドットコム)。

現在法制審では家族法の改正の議論が進められており、そこでは生殖補助医療も議論の対象とされていますが(法務省:法制審議会 -民法(親子法制)部会)、それを待ってからのほうがマシな議論ができたのではないかと思います。

種苗法改正について―種苗法とは何か、改正関係条文

今回成立した種苗法改正について、そもそも種苗法とは何なのか、何が改正されたのか、条文ではどう書かれているのかのメモ。農業のことはよくわからないので政策論には立ち入りません。

 

報道

国に、新品種として登録された果物などの種や苗を海外へ無断で持ち出すことを規制する改正種苗法が、2日の参議院本会議で可決・成立しました。

種苗法の改正案は、2日の参議院本会議で採決が行われ、賛成多数で可決され、成立しました。

改正種苗法では、国に新品種として登録された果物などの種や苗が海外に流出するのを防ぐため、開発者が輸出できる国や国内の栽培地域を指定でき、それ以外の国に故意に持ち出すなどした場合は、10年以下の懲役、または1000万円以下の罰金が科されます。

このほか、農家が収穫物から種や苗を採って次の作付けに使う「自家増殖」の場合も開発者の許諾が必要になることなどが盛り込まれています。

政府は、先の通常国会での成立を目指していましたが、新型コロナウイルスの対応などで十分な審議時間が取れず継続審議となる中、一部の農業関係者などからは慎重な審議を求める声が出ていました。

このため、衆参両院の農林水産委員会の付帯決議では、改正によって、農家が新しい品種を利用しにくくならないように、種や苗が適正価格で安定的に供給されるような施策を講じることや、農家に対して制度の見直しの内容について丁寧に説明することなどが盛り込まれています。

この改正種苗法は、一部の規定を除き、来年4月に施行されます。

(後掲・NHK

 

概要

種苗法について

種苗法については、さしあたり、次のことを理解してください。

  • 種苗法は、知的財産法の一つである。
  • 種苗法は、植物の新品種について(特許法における発明と同様に新規性が要求される)、品種登録制度を定める。
  • 品種登録出願人は、審査を経て品種登録を受けると、出願に係る品種について育成者権を取得する。
  • 育成者権者は、登録品種および当該登録品種と特性により明確に区別されない品種業として利用(定義語)する権利を専有し(cf. 商標法では同一または類似の商標)、これをこの権利を侵害する者に対して、差止請求損害賠償請求をすることができる(損害賠償請求について、損害推定・過失推定規定がある)。
  • 利用行為には、
    ①その品種の種苗を生産し、調整し、譲渡の申出をし、譲渡し、輸出し*、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為、
    種苗について権利行使の機会がなかった場合**に、その品種の種苗を用いることにより得られる収穫物を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為、
    種苗・収穫物について権利行使の機会がなかった場合に、その品種の加工品を生産し、譲渡若しくは貸渡しの申出をし、譲渡し、貸し渡し、輸出し、輸入し、又はこれらの行為をする目的をもって保管する行為
    が含まれる。

*特許権と異なり、輸出が利用行為に含まれています(特許権については、輸出は実施行為に含まれません。立法が検討されたことはありますが、海外における市場機会の独占は属地主義に反するという謎理論でそうしないこととされています。しかし、必ずしもそうとは言えないことは、種苗法が輸出を利用行為としていることからも明らかであるように思います。上記「謎理論」と同様の理論で解釈上輸出を実施行為とすることはできないとした裁判例がありますが、その結論自体は不当とは言えないものの、その理由は、立法が、その当否はさておき、輸出は実施行為ではないという判断をしたということに求めるほかないように思います。)。
**権利行使の機会がある場合の典型は権利者が適法に生産・譲渡した場合で、それがない場合の典型は、権利侵害による場合です。侵害品の派生品に段階的に効力を拡張するわけです。

 

改正法について

改正法は様々な規定を含んでいますが大きいのは、自家増殖の権利制限の廃止と、指定地国・地域制度の導入(輸出規制の強化)です。特に前者については激しい論争がされていますが、私は知的財産法は(多少)分かっても農業のことはよく分からないので、立ち入りません。指定地国・地域制度の導入がなぜ輸出規制の強化になるのかは、下で引用する条文を見ればわかると思います。

詳細については、さしあたり次のものをご覧ください。

なお、種苗法は知的財産法の一つなのですが、日弁連は改正に賛成する意見書を提出しています(日本弁護士連合会:令和2年種苗法改正法案に関する意見書)。

 

属地主義と指定国・指定地域制度との関係

知的財産権の効力は、原則として付与国の領域内にしか及ばないようになっているため属地主義、日本で育成者権を取得しても、海外での利用行為(生産、譲渡etc)についてはその効力は及びませんし、日本で登録が認められたからといって海外でも実質的な審査をパスして登録が認められるということはありません。そうすると、海外での利用行為を止めるためには、独自にその国でも出願し、改めて実質的な審査を受けて、権利を取得しなければなりません*。

 *ただし、UPOV締約国に出願した場合、12か月の間は、優先権が認められます(UPOV(植物の新品種の保護に関する国際条約Union internationale pour la protection des obtentions végétales)11条)。つまり、新規性や先願(出願の先後)等との関係で、最初の出願国での出願時に当該外国でも出願したものとして扱ってもらえます。

ただ、実際には、日本で新品種を開発した人が外国での出願・審査に対応するだけの費用を出せないということが多いですし、仮に権利を取得したとしても、当該外国が十分な知的財産権の保護制度を持っているとは限りません*。

*まあ叩かれがちな韓国などは、日本と比べても見劣りしない制度を持っているので、日本の開発者が費用を出せなかっただけなんじゃないか(そうである以上権利取得していれば止められた行為を止められなくなったとしても仕方がない)という気がするわけですが…

輸出規制の強化は、属地主義の枠内で取ることができる次善の策、ということになります。

 

条文

ここからは、条文上それらがどのように実装されているかを見ていきたいと思います。

 

自家増殖の権利制限の廃止

種苗法21条は、育成者権の権利制限を規定していますが、今回問題になるのは、2項の自家増殖です。

現行法21条2項は、次のような条文になっています。

現行法21条2項 農業を営む者で政令で定めるものが、最初に育成者権者、専用利用権者又は通常利用権者により譲渡された登録品種、登録品種と特性により明確に区別されない品種及び登録品種に係る前条第二項各号に掲げる品種(以下「登録品種等」と総称する。)の種苗を用いて収穫物を得その収穫物を自己の農業経営において更に種苗として用いる場合には、育成者権の効力は、その更に用いた種苗、これを用いて得た収穫物及びその収穫物に係る加工品には及ばない。ただし、契約で別段の定めをした場合は、この限りでない。

今回の改正では、この規定が廃止され(丸ごと削除)、原則どおり自家増殖にも育成者権が及ぶ=権利侵害となるようになります。

 

消尽の権利制限―指定国・地域制度の前提

指定国・地域制度は、育成者権の効力についての例外としての消尽の権利制限について、さらに例外を規定する(=原則に復する)という構造になっているので、指定国・地域制度を理解するためには、消尽の権利制限について理解する必要があります。

消尽による権利制限を規定しているのは、改正法21条2項です。

改正法21条2項 育成者権者、専用利用権者若しくは通常利用権者の行為又は前項各号に掲げる行為により登録品種、登録品種と特性により明確に区別されない品種及び登録品種に係る前条第二項各号に掲げる品種(以下「登録品種等」と総称する。)の種苗、収穫物又は加工品譲渡されたときは、その譲渡された種苗、収穫物又は加工品の利用には及ばない
ただし、①当該登録品種等の種苗を生産する行為、②当該登録品種につき品種の育成に関する保護を認めていない国に対し種苗を輸出する行為及び③当該国に対し最終消費以外の目的をもって収穫物を輸出する行為については、この限りでない。

その趣旨については、特許法に関する判例*の中で分かりやすく説明されているので引用されています。

*特許法には消尽の規定がないのですが、解釈上認めるべきだと考えられてきました。この判例は、それを最高裁として初めて正面から認めたものです。

特許権者又は特許権者から許諾を受けた実施権者(以下,両者を併せて「特許権者等」という。)が我が国において特許製品を譲渡した場合には,当該特許製品については特許権はその目的を達成したものとして消尽し,もはや特許権の効力は,当該特許製品の使用,譲渡等特許法2条3項1号にいう使用,譲渡等,輸出若しくは輸入又は譲渡等の申出をいう。以下同じ。)には及ばず,特許権者は,当該特許製品について特許権を行使することは許されないものと解するのが相当である。この場合,特許製品について譲渡を行う都度特許権者の許諾を要するとすると,市場における特許製品の円滑な流通が妨げられ,かえって特許権者自身の利益を害し,ひいては特許法1条所定の特許法の目的にも反することになる一方,特許権者は,特許発明の公開の代償を確保する機会が既に保障されているものということができ,特許権者等から譲渡された特許製品について,特許権者がその流通過程において二重に利得を得ることを認める必要性は存在しないからである…。このような権利の消尽については,半導体集積回路の回路配置に関する法律12条3項,種苗法21条4項において,明文で規定されているところであり,特許権についても,これと同様の権利行使の制限が妥当するものと解されるというべきである。
最判平成19年11月8日民集61巻8号2989頁[インクタンク事件上告審])

 

指定国・地域制度

指定国・地域制度は、繰り返しますが、育成者権の効力についての例外としての消尽の権利制限について、さらに例外を規定する(=原則に復する)という構造になっています。

21条の2は、1項〜6項で指定やその公示の方法等、7項で消尽の要件を満たす場合でも指定国・地域への輸出等には権利が及ぶことが規定されています。

改正21条の2 品種登録を受けようとする者は、次の各号に掲げる場合において、当該品種登録に係る育成者権の適切な行使を確保するため、農林水産省令で定めるところにより、品種登録出願と同時に当該各号に定める事項を農林水産大臣に届け出ることができる
一 出願品種の保護が図られないおそれがある国への当該出願品種の種苗の流出を防止しようとする場合 次に掲げる事項
 出願者が当該出願品種の保護が図られないおそれがない国として指定する国(前条第二項ただし書〔=「当該登録品種につき品種の育成に関する保護を認めていない国」〕に規定する国を除く。以下「指定国」という。)
 前条第二項ただし書に規定する国以外の国であって指定国以外の国に対し種苗を輸出する行為及び当該国に対し最終消費以外の目的をもって収穫物を輸出する行為を制限する旨
二 出願品種の産地を形成しようとする場合 次に掲げる事項
 出願者が当該出願品種の産地を形成しようとする地域として指定する地域(以下「指定地域」という。)
指定地域以外の地域において種苗を用いることにより得られる収穫物を生産する行為を制限する旨
 前項の規定による届出をした者(その承継人を含む。次条第一項及び第二項並びに第二十一条の四第一項及び第二項において同じ。)は、次項の規定による公示(第十三条第一項の規定による公示と併せてされたものに限る。)前に限り、当該届出に係る指定国又は指定地域の指定の全部又は一部を取り消す旨を農林水産大臣に届け出ることができる。
3 農林水産大臣は、第一項の規定による届出があった場合には、第十三条第一項又は第十八条第三項の規定による公示の際、これらの公示と併せて、それぞれ第十三条第一項第一号から第四号までに掲げる事項及び当該届出に係る事項(前項の規定による届出があった場合には、当該届出に係る変更後の事項。以下この項及び次項並びに第二十一条の四第三項において同じ。)又は第十八条第二項第一号から第三号まで及び第六号に掲げる事項並びに当該届出に係る事項を公示しなければならない。
4 農林水産大臣は、前項の規定による公示(第十八条第三項の規定による公示と併せてされたものに限る。)をした場合には、品種登録簿に第一項の規定による届出に係る事項及び当該公示をした年月日を記載するものとする。
 登録品種の種苗を業として譲渡する者は、農林水産大臣が前項に規定する公示をした日の翌日以後は、当該公示に係る登録品種の種苗を譲渡する場合には、その譲渡する種苗又はその種苗の包装に、第五十五条第一項の規定による表示に加え、農林水産省令で定めるところにより、その種苗が第一項第一号ロ又は第二号ロに規定する制限が付されている旨及び当該制限の内容について当該公示がされている旨表示を付さなければならない。
 登録品種の種苗の譲渡のための展示又は広告を業として行う者は、農林水産大臣が第四項に規定する公示をした日の翌日以後は、当該公示に係る登録品種の種苗の譲渡のための展示をする場合にはその展示をする種苗又はその種苗の包装に、当該公示に係る登録品種の種苗の譲渡のための広告をする場合にはその広告に、第五十五条第二項の規定による表示に加え、農林水産省令で定めるところにより、それぞれその種苗が第一項第一号ロ若しくは第二号ロに規定する制限が付されている旨及び当該制限の内容について当該公示がされている旨の表示を付し、又はこれらを表示しなければならない。
 農林水産大臣が第四項に規定する公示をした日の翌日以後は、前条第二項本文の規定にかかわらず、育成者権の効力は、当該公示に係る登録品種等についての第一項第一号ロ又は第二号ロに規定する行為(以下「輸出等の行為」という。)には及ぶものとす る。
 

アウティングについて

アウティングについて考えたことのメモ。

なお、「アウティング」自体、固まった定義がないですが、さしあたり、「他人のセクシャリティで、本人が公にしていないものについて、本人の同意なしに公にすること」としておきます。

 

目次

 

2つの事例

今月、アウティングについて2つの報道がされました。一つは一橋大学におけるもの(検討段階では「A事例」と呼ぶことにします)、一つは豊島区の会社におけるもの(検討段階では「B事例」と呼ぶことにします)です。

 

一橋大学の事例

同性愛者であることを同級生に暴露される「アウティング」被害を受けた後に転落死した一橋大法科大学院生の男性(当時25)の両親が、同大学に約8500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が25日、東京高裁であった。

村上正敏裁判長はアウティングを「人格権の侵害」と認定した上で、一橋大側の責任を認めなかった一審・東京地裁判決を支持し、両親の控訴を棄却した。

アウティング被害について男性から相談を受けた教授や職員らの対応が、心身の安全や教育環境への配慮義務に違反していたかが争われた。

判決は同級生によるアウティングについて「(男性の)人格権やプライバシー権を著しく侵害し、許されない行為であることは明らか」と指摘した。その上で男性から相談を受けた教授や大学のハラスメント相談室職員らの対応に問題はなく、大学側に義務違反は認められないと判断した。

男性は2015年4月、同性の同級生に恋愛感情を伝えた。同級生は6月、友人が入る対話アプリ「LINE」のグループで「おまえがゲイであることを隠しておくのムリだ。ごめん」と男性が同性愛者であることを暴露。男性は8月に校舎から転落死した。

……

「アウティングは人格権侵害」 東京高裁、請求は棄却 :日本経済新聞

 

豊島区の会社の事例

東京都豊島区の会社に勤務していた20代の男性の性的指向を、上司が勝手に暴露(アウティング)したため精神的苦痛を与えたとして、会社側が謝罪し、解決金を支払うことで男性と和解したことが28日、関係者への取材で分かった。アウティング被害を巡る争い自体が珍しく、和解に至るケースは極めて異例。

……

男性を支援する労働組合「総合サポートユニオン」によると、男性は2019年に入社する際、自身の性的指向を会社側に明かし「同僚には自分のタイミングで伝えたい」と説明していた。しかし、同年夏に同僚のパート女性が男性を避けるようになり、上司はその後、男性の性的指向を女性に伝えていたことを明らかにした。男性は精神疾患になり、休職した。

男性とユニオンは会社側と交渉し、今年10月下旬に会社がアウティングを認めて和解。精神疾患の発症についても会社側の責任を認めた。男性は年内にも労災申請する方針。会社は取材に「和解したことは事実。真摯に受け止め、今後、再発防止に努める」とした。

……

「アウティング」異例の和解 企業謝罪、男性に解決金 :日本経済新聞

 

アウティングはなぜいけないか?

条例との関係

両事例の発生地である国立市・豊島区は、現在、いずれもアウティングを禁止する条例の規定を持っています(豊島区は意に反する公表を禁止していませんが、解釈上認められるでしょう)。

何人も、性的指向性自認等の公表に関して、いかなる場合も、強制し、若しくは禁止し、又は本人の意に反して公にしてはならない

(平成29年制定「国立市女性と男性及び多様な性の平等参画を推進する条例」8条2項)

何人も、性自認又は性的指向の公表に関して、本人に対し強制又は禁止してはならない

平成31年改正「豊島区男女共同参画推進条例」7条5項)

これらの規定に照らせば、現在では比較的容易にアウティングは(不法行為法上)違法ということになりそうです(国立市の条例はA事例をきっかけに制定されたものでした)。

(豊島区議会にはヤバい議員がいるのですが(ヘイト対応に反対の区議、請願者の「氏名、住所を把握」とツイート 議会が問題視 - 毎日新聞伊藤詩織氏の勝訴受け、豊島区議「少子化が加速」 ネットで批判高まる(THE PAGE) - Yahoo!ニュース)、会議体としてはまともなんだなと思った次第です。)

 

個人情報保護法との関係

平成27年改正個人情報保護法は、初めて実体的価値に踏み込んだ規制として、「要配慮個人情報」について、原則取得禁止としました(同法17条2項)。

この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種信条社会的身分病歴犯罪の経歴犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。

平成27年改正個人情報保護法2条3項)

セクシャリティは、日本ではセクシャルマイノリティに対する差別が横行しているという意味では、「不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するもの」だと考えれますが、本項の委任を受けた個人情報の保護に関する法律施行令2条は、実質的には本項が具体的に規定する事項に類するものを挙げるにとどまり、セクシャリティは要配慮個人情報とはされていません

したがって、個人情報保護法違反を理由に不法行為法上違法と言うことはできません(仮に書いてあったとしても、個人情報保護法の性質上直ちに不法行為法上違法だと言うことはできない気がしますが)。

なお、この規定の新設にあたって参考とされたEUGDPR(一般データ保護規則)9条1項は、対象となるデータ(一般に「センシティブデータ」と呼ばれています)として、セクシャリティを明示的に掲げています。立法的には日本でも要配慮個人情報にセクシャリティを追加すべきでしょう。

人種的若しくは民族的な出自、政治的な意見、宗教上若しくは思想上の信条、又は、労働組合への加入を明らかにする個人データの取扱い、並びに、遺伝子データ、自然人を一意に識別することを目的とする生体データ、健康に関するデータ、又は、自然人の性生活若しくは性的指向に関するデータの取扱いは、禁止される。

Processing of personal data revealing racial or ethnic origin, political opinions, religious or philosophical beliefs, or trade union membership, and the processing of genetic data, biometric data for the purpose of uniquely identifying a natural person, data concerning health or data concerning a natural person's sex life or sexual orientation shall be prohibited.

 

プライバシーの一般要件との関係

個別法が使えない場面では、最終的には一般的な人格権法理によることになります。そこで考えると、アウティングは基本的にはプライバシー侵害になると考えられます(プライバシーにはいろいろありますが、この記事ではいわゆる古典的プライバシーを念頭に置きます)。

判例は、前科照会事件(昭和56年4月14日)ノンフィクション「逆転」事件(平成6年2月8日)、「石に泳ぐ魚」事件(平成14年9月24日)、早稲田大学江沢民事件(平成15年9月12日)、住基ネット事件(平成20年3月6日)、Google逮捕歴削除事件(平成29年1月31日)などで(「プライバシー」という用語を使うかはさておき)プライバシーに関わる判断を示していますが、一般的な要件は示していません。

そこで「宴のあと」事件における東京地裁判決(昭和39年9月28日)が参照されますが、同判決は次のように判示しています(改行は筆者)。

右に論じたような趣旨でのプライバシーの侵害に対し法的な救済が与えられるためには,公開された内容が
(イ)私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのあることがらであること,
(ロ)一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められることがらであること,換言すれば一般人の感覚を基準として公開されることによって心理的な負担,不安を覚えるであろうと認められることがらであること,
(ハ)一般の人々に未だ知られていないことがらであることを必要とし,このような公開によって当該私人が実際に不快,不安の念を覚えたこと
を必要とする。

セクシャリティ「私生活上の事実」であることは明らかであり、また、法的措置を取っているようなケースでは「実際に不快,不安の念を覚えたこと」が問題になることもないでしょう。最初に示した「アウティング」の定義上、「一般の人々に未だ知られていない」との要件も満たします。

「一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められることがら」ですが、繰り返したくないことですが、日本ではセクシャルマイノリティに対する差別が横行しているので、少なくとも現時点では、セクシャリティは公開されれば差別を受けるおそれがあることがらであり、この要件も満たすと考えられます。

 

セクシャリティを公表できない状態の追認?

上記のような解釈に対しては、セクシャリティを公表できない状態を追認することになりかねないという批判がありえます。しかし、本人以外による公表を禁止するということは、本人の公表・非公表・その範囲の選択を保障することにほかならないのであり、追認とは言えない気がします。

なお、仮にセクシャリティを公表しても差別を受けるおそれがない社会が到来したらどうでしょうか。差別からの保護の必要性はなくなりますが、セクシャリティのような極めてプライベートなことは、プライベートであることそれ自体を理由として、本人に公表・非公表・その範囲の選択が保障されるべきだという解釈がありうるように思います(それをプライバシーと呼ぶか、自己決定権と呼ぶかは用語の問題です)。

 

セクシャリティそれ自体の公表、セクシャリティを推認させる事項の公表

以上は、最初に示した定義のとおり、セクシャリティそれ自体を公表する場合を念頭に置いた議論です。それに対して、セクシャリティを推認させる事項の公表は別に考えるべきだと思います。何らかの事項を公表することを違法と評価することは、秘密保持義務を課すのと同義であり、後者の場合にはセクシャリティを開示された人の負担はより重いからです。

なお、これ以降、セクシャリティを推認させる事項の公表を「準アウティングと呼ぶことにし、これと対比してセクシャリティそれ自体の公表を「狭義のアウティングと呼ぶことにします。

 

アウティングは原則として違法とならない

A事例については、加害者に同情的なコメントが多く投稿されました(引用しませんが、一橋 アウティング - Twitter Search)。同情的なコメントの多くは、自ら告白し、その後、被害者がストーカー的行為に出ていたといったことを述べています。なお、当時の経緯については、次の記事が詳しいです:一橋大ロースクール生「ゲイだ」とバラされ転落死 なぜ同級生は暴露したのか

一般に、性的に好意を持っていない相手から向けられる性的な好意は、相手が異性である場合でも、気分のよいものではないことがあります。そして、そのような場合に、好意を向けられた人が三者にそのことを話すことは、よくあることであり、かつ、違法とすべきだとも思われません(いかに好意を向けた人がそうしてほしくないと思っていたとしても)。

では、同性の場合はどうでしょうか。アウティングまで不法行為の成立を認めるのであれば、違法だということになります。しかし、異性の場合とのバランスや、特に不法行為は犯罪と違って過失によっても成立することを考えると、準アウティングの場合にまで不法行為が成立するとするのはセクシャリティを開示された人に酷であり、成立しないと考えるべきだと思います。このように解した場合、セクシャリティは秘匿されないことになりますが、基本的にはやむを得ないと思います(「基本的には」の含意については「開示せざるをえない事情があった場合」を読んでください)。

 

A事例について

では、A事例はどうでしょうか。A事例において不法行為の成立が問題とされる行為は、当事者以外に6人のメンバーがいるグループラインで、「おれもおまえがゲイであることを隠しておくのはムリだ。ごめん」というテキストを投稿したというものです。この行為は、準アウティングではなく、狭義のアウティングに当たります。

A事例では、被害者が自らセクシャリティを開示しており、B事例と異なり開示せざるをえなかった事情もなかったという事情はあります。しかし、そのような事情があるからといって、狭義のアウティングの禁止を解除する必要はないでしょう。ある人への開示は三者への開示への同意を意味しないですし、狭義のアウティングをしないことの負担はそれほど重くないですし、ストーカー的行為にあっていたなら(あっていたかどうかは分からないことは注記しておきます)、その行為自体について適当な措置を取るべきであって、その行為をやめさせる上でアウティングは何の役にも立たないからです。

 

アウティングが例外的に違法となる場合

もっとも、準アウティングの場合でも、上司―部下関係など、そもそもその人にセクシャリティを開示したのが、開示せざるをえない事情によるものだった場合には、準アウティングも禁止してよいと思います。そのような場合には、開示の背後に一定の関係があり、それによってより強度の負担が正当化されるからです。

なお、B事例は、会社の上司による公表という点ではこの場合と共通しますが、狭義のアウティングの事例です。

 

労使関係―B事例に関連して

会社との関係では、労働契約上の安全配慮義務違反という構成によることもできます。この場合、使用者は、安全配慮義務の一環として、セクシャリティを開示する従業員を必要最小限度の範囲にとどめ、かつ、開示する場合でもその従業員に十分な指導をする義務を負うと考えてよいでしょう。

平成30年の働き方改革関連法「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」雇用対策法から題名変更)にいわゆるパワハラ規制として、「職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して事業主の講ずべき措置等」という章が新設され、同法30条の2第3項に基づいて厚生労働大臣が定めた指針には、アウティングが例示されています。

労働者の性的指向性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露すること。

(「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」2, (7), ヘ, (イ), ②)

この「指針」は、「事業主が〔注:公法上の義務として〕講ずべき措置等」の指針にすぎませんが、安全配慮義務の内容にも影響するだろうと思います。

 

LS生のための会計と簿記

LSの必修選択科目として会計を取ってしまい(思っていたよりハードでした)、卒業のために勉強し始めたのですが、けっこう面白かったのでメモ。勉強が進んだら追記します。

 

目次

 

会計と簿記の概要

会計と簿記

会計とは企業の財産状況と利益状況を開示することをいい、簿記とはそのために用いられる経済活動を記録する方法です。

会計には、財務会計管理会計があり、それに対応して、簿記には商業簿記工業簿記があります。

 

財務会計

財務会計は、株主(潜在的なそれも含む)、金融債権者(銀行、社債権者)、取引先(取引債権者)、従業員(労働債権者)、国・地方公共団体(租税債権者)などの企業外部のステークホルダーのための会計です。

財務会計は、経営者自身にとっては都合が悪いこともありうるため、法律によって強制されています。具体的には、会社法第2編第5章(株式会社の場合)が株主・債権者のために、金融商品取引法が第2章〜第2章の6が投資者(株主はそこに含まれます)のために、それぞれ財務会計(財務諸表の開示)を強制しています。

 

財務諸表:貸借対照表損益計算書

財務会計において最も重要なのは、財務諸表会社法では計算書類と呼ばれています)の開示です。財務諸表には、貸借対照表損益計算書が含まれます。

貸借対照表は、一定時点(決算日など)における会社の資産状況=ストックを表すものです。左側に資産、右側に負債純資産(旧商法下での名称は資本)を記載します(なお、こうすると左右2カラムの表になりますが、現在では左側を上に、右側を下にして1カラムで記載することも多いです)。負債(典型は借入金)は返済義務があり、純資産(典型は資本金)は返済義務がありません。右側がどのように資金を調達したか、左側がどのように資金を運用しているかを表します。

自己資本比率(=純資産÷資産)が高い企業ほど安定していると言われることがありますが、自己資本比率が高い会社は運用している資金の多くについて返済義務がないためです(もちろん、配当しなければ新たに新株発行に応じてくれる人はいなくなり、株価が下がるわけので、株式で資金調達すれば資金調達コストがゼロになるいうわけではないのですが)。

損益計算書は、一定期間(前の決算日の翌日から決算日まで)における会社の利益状況=フローを表すものです。はじめに営業利益(本業による利益)、次に経常利益(財務活動など、営業利益ではないが通常の事業活動から生じる利益も含めた利益)、最後に純利益(通常の事業活動ではない、特別のイベントから生じた利益も含めた利益)を記載します(「利益」と書きましたが、赤字なら「損失」になります)。純利益は、期末に貸借対照表の純資産に反映されます(負債=債権者の取り分は借入時に決められており、会社がいくら儲かっても増えない)。

おそらく実物を見たほうがわかりやすいと思うので、さしあたりトヨタ自動車株式会社2019年3月期有価証券報告書160頁以下、LINE株式会社2019年12月期有価証券報告書87頁以下をご覧ください(有価証券報告書は大部ですが、記載事項は法定されているので慣れればすぐに情報を取り出すことができるようになる気がします)。

(なお、財務3表と言われる場合、貸借対照表損益計算書に加えてキャッシュフロー計算書が入ります。キャッシュフロー計算書は、会社法では開示が強制されていませんが、金融商品取引法では強制されています。)

 

LS生が会計・簿記を勉強する意味

会計・簿記の知識は、民法債権総論の損害賠償以外の部分会社法対第三者責任分配可能額規制金融商品取引法開示規制倒産法(のほぼ全て)を理解する上で役立ちます。

これらの分野は、売買、賃貸借、請負、あるいは訴訟、犯罪、捜査、国家権力の行使といった、原始的な現象(通時的普遍性を有するという意味です)と違い、そもそもそのルールがルール(=調整)しようとする現象自体が、素人の生活感覚ですぐに理解できるものではなく、したがって、その現象自体から勉強しないと何が問題なのかすらわからないということが多くあります。そのような現象を理解する上で、会計・簿記を通じて企業活動を数字で理解しておくことは、有用です。

 

管理会計

管理会計は、経営者の意思決定のための会計です(「管理」はマネジメント、経営を意味します)。そのため、一定の内容のものが法定されているということはなく、経営目的に応じて様々な会計の方法が用いられます。

管理会計は、次の理由から、LS生的にはおそらくあまり重要ではないです(商学部出身のLS同期もそう言っていました)。

  • 弁護士は基本的に異なるエンティティ同士の問題を扱いであり、エンティティ内部の問題を扱うことはない。
  • 財務会計は法律によって強制されており、それに違反することは法律の問題になるのに対して、管理会計経営判断原則により法律が介入しない領域で行われるものである。
  • 法律事務所の経営は、仕入れがなく、(アディーレみたいな事務所を作ろうとするのでない限り)多数の従業員を使用することもないので、単純である。

 

日商簿記について

日商簿記検定では、3級では専ら商業簿記が、2級では商業簿記の続きと工業簿記が出題されます。

3級は「業種・職種にかかわらずビジネスパーソンが身に付けておくべき「必須の基本知識」として、多くの企業から評価される資格。基本的な商業簿記を修得し、小規模企業における企業活動や会計実務を踏まえ、経理関連書類の適切な処理を行うために求められるレベル」、2級は「経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ。高度な商業簿記・工業簿記(原価計算を含む)を修得し、財務諸表の数字から経営内容を把握できるなど、企業活動や会計実務を踏まえ適切な処理や分析を行うために求められるレベル」らしいです(簿記 | 商工会議所の検定試験)。

3級、2級の試験は2月、6月、11月に行われます。

 

一般向け書籍

サブタイトルにあるとおり、クイズを解くだけで財務諸表が分かるようになる本。執筆者は公認会計士【#会計クイズ】大手町のランダムウォーカー (@OTE_WALK)先生。フルカラーの図やイラストをいっぱい使って決算書の読み方を教えてくれるので、タイトルにあるとおり、楽しい

 

素人向けの会計とファイナンスのテキスト。『世界一楽しい決算書の読み方』よりはいろんな数字が出てくる。章の初めの「ストーリー」・章の終わりの「まとめ」・2色刷り・図表・太字&下線でとても親切。法律の本ばかり読んでいる人が読むときっと親切すぎて涙が出てくる

 

簿記のテキスト等

cpa-learning.com

なんとCPAが無料で講義動画を公開しています。なんでもそうですが入門段階が挫折しがちなので、とりあえずこれを見ながら練習問題を解くのがよいと思います。ちなみに担当者は公認会計士やまけん@論文生就活アプリPorta (@uk41_ken)先生。

 

会計の授業でおすすめされたテキスト。面白くはないけど普通にわかりやすかった。

 

【検定簿記ワークブック】3級商業簿記
 
2級工業簿記 (【検定簿記ワークブック】)

2級工業簿記 (【検定簿記ワークブック】)

  • 発売日: 2018/02/20
  • メディア: 単行本
 

日商簿記検定に対応した問題集。 

 

シャープ 電卓 シャープ ナイスサイズタイプ 10桁 EL-N431-X

シャープ 電卓 シャープ ナイスサイズタイプ 10桁 EL-N431-X

  • 発売日: 2014/07/25
  • メディア: オフィス用品
 

会計の授業のために買ったもの。iPhoneでいいんじゃないかという気もするけど、専用機をぽちぽちするほうが楽しい

 

会計のテキスト

財務会計・入門〔第13版〕 (有斐閣アルマ)

財務会計・入門〔第13版〕 (有斐閣アルマ)

 

入門書。簿記が具体的な処理なら、こっちはそれを支える理論という感じ。最後の方にちょろっと財務分析も載っている。

 

財務会計講義(第21版)

財務会計講義(第21版)

  • 作者:桜井久勝
  • 発売日: 2020/03/17
  • メディア: 単行本
 

上と同著者による基本書。毎年改訂されている(薄さも含めて神田・会社法に似た感じ)。

 

財務諸表分析(第8版)

財務諸表分析(第8版)

  • 作者:桜井久勝
  • 発売日: 2020/03/07
  • メディア: 単行本
 

上と同著者による財務分析の基本書。上の2冊が「財務諸表が何を表示しているか」を説明した本であるとすれば、本書は「財務諸表に表示された情報をどのように組み合わせるとどのような情報が得られるか」(≒財務諸表の活用法)を説明した本。

 

新・現代会計入門 第4版

新・現代会計入門 第4版

  • 作者:伊藤 邦雄
  • 発売日: 2020/03/19
  • メディア: 単行本
 

財務会計講義』と並ぶ基本書。700頁以上あるので辞書的に使う感じになりそう。