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基本書、演習書、副読本

オメラスと我々の暮らすこの国について

功利主義という考え方がある。

 

その内容は、ファウンダーであるジェレミーベンサムの、最大多数の最大幸福 the greatest happiness of the greatest number という言葉に端的に表される。

人々の幸福の総和を最大化するような選択が正しい選択だ、ということである。

 

功利主義の立場からは、個人の権利は重要ではない。個々人の幸福は、「人々の幸福の総和」の(ごく小さな)構成要素として考慮されるにすぎない。

マイケル・サンデルは、このことを説明するために、「オメラスから歩み去る人々」という、アーシュラ・K・ル・グィンの短編小説を引用する(Sandel 2010: 56)。

オメラスは幸福と祝祭の町、国王も奴隷も、広告も株式市場もないし、原子爆弾もないところだ。この町があまりに非現実的で読者が想像できなくてはいけないからと、作者のル=グィンはオメラスについてもう一つあることを教えてくれる。「オメラスの美しい公共施設のどれかの地下室に、あるいは、ことによると広々とした民家のどれかの地下食料庫かもしれないが、一つの部屋がある。鍵のかかった部屋があるだけで、窓はない」。この部屋に一人の子供が座っている。その子は知能が低く、栄養失調で、世話をする者もおらず、ずっと惨めな生活を送っている。

「その子がその部屋にいることを、オメラスの人びとはみんな知っていた……その子はそこにいなければならないことを、誰もが知っていた……自分たちの幸福、町の美しさ、親密な友人関係、子どもたちの健康……さらに、豊かな収穫や穏やかな気候といったものまでが、その子のおぞましく悲惨な生活に全面的に依存していることを理解していた……もしその子が不潔な地下から太陽のもとに連れ出されたら、その子の体が清められ、十分な食事が与えられ、心身ともに癒やされたら、それは実に善いことに違いない。だが、もし本当にそうなったら、その瞬間にオメラスの町の繁栄、美しさ、喜びはすべて色あせ、消えてなくなる。それが子供を救う条件なのだ。」

こうした条件は道徳的に受け入れられるだろうか。

 

さて、我々が暮らすこの国はどうだろうか。

この国には確かに、オメラスの子供と同じように囚われた人々がいる。もちろん、彼らはオメラスの子供のように惨めな暮らしはしていない。立派な建物に住み、人々から尊敬されている。

しかし、そこには自由がない。彼らは仕事を選べないし、住む場所も選べない。自分の考えを発信することもできないし、結婚も、子を生むかどうかも、好きには決められない。それどころか、プライバシーを暴かれ、根拠のない罵声を浴びせられても、誰も守ってくれない。

 

皇族だ。

 

日本国憲法は、功利主義的な考え方を排除しているわけではない。しかし、権利の侵害は許されないのがベースラインであり、例外的に許容されるにすぎない。

切り札としての権利 Rights as Trumps とは、憲法上の権利が、「最大多数の最大幸福」による決定を覆しうる力を秘めていることを捉えた表現だ。

 

ところが、その権利が皇族にはない。天皇制は「身分制の『飛び地』」である(Hasebe 2014: 122)。

日本国憲法の作りだした政治体制は、平等な個人の創出を貫徹せず、世襲天皇制…という身分制の「飛び地」を残した。残したことの是非はともかく、現に憲法がそのような決断を下した以上、「飛び地」の中の天皇に人類普遍の人権が認められず、その身分に即した特権と義務のみがあるのも、当然のことである。したがって、天皇は(そして皇族も)憲法第3章にいう権利の享有主体性は認められない。

憲法自身が認めた「飛び地」である以上、皇族の人権侵害は憲法違反にならない。より正確には、そもそも人権がないのだから、その侵害がありえない。

 

長谷部先生の記述は、「残したことの是非はともかく」として、議論を留保している。憲法の解釈を議論している(=既に制定された憲法を前提として議論している)のだから、ということだろう。

しかし、我々は、その先を考えなければならない。

 

ジャン・ポール・サルトルは、実存は本質に先立つ L'existence précède l'essence と言う。つまり、本質(人格といってもよいのかもしれない)は行動の選択の結果として形成されるものであって、初めから一定の本質が存在するわけではない。

そうすると、人間らしく生きるとは、自ら選択しながら生きることにほかならない(Hasebe 2015: 40)。憲法をもって国家に一定の権利を保障させる(=国家に権力を信託するにあたって一定の事項を留保する)とは、一定の事項について、国家の決定を排除し、自らの選択の可能性を確保することにほかならない。

 

国民が自らについて一定の利益を留保しながら、他の国民の一人(あるいは数人)についてそれをせず、あまつさえ日本国の象徴・日本国民統合の象徴という美名のもとに種々の拘束をすることは、倫理的に許されるのか。

 

私はそうは思わない。

 

眞子内親王やその家族に関する報道や、それに対する人々の反応を見るたびに、そう思っている。

 

引用:Michael J. Sandel (鬼澤忍訳)『これからの「正義」の話をしよう』(早川書房、2010)、長谷部恭男『憲法 第6版』(2014)、長谷部恭男『法とはなにか』(河出書房、2015)。

凍結した受精卵を妻が無断移植して出産した子と父子関係があるか?

ニュース

 凍結保存していた受精卵を別居中の妻が無断で移植したとして、外国籍の男性が出生した女児との親子関係がないことの確認を求めた訴訟で、最高裁第2小法廷(三浦守裁判長)は7日までに、男性の上告を退ける決定をした。婚姻中に妊娠した子を夫の子と推定する民法の「嫡出推定」に基づき、父子関係を認めた一、二審判決が確定した。決定は5日付。

 一、二審判決によると、男性と妻は2010年、奈良県内のクリニックで体外受精を行い、複数の受精卵を凍結保存。2人は長男誕生後に別居したが、妻は男性の同意を得ないまま受精卵を移植、14年に女児を妊娠し、出産後に離婚した。
 一審奈良家裁は17年、「生殖補助医療で民法上の親子関係を形成するには、夫の同意が必要だ」と指摘する一方、同意がないことを「嫡出推定が及ばない事情とみることはできない」とも述べ、別居後の2人の生活状況を検討。男性は妻や長男と外出するなどの交流を続けており、夫婦の実態はあったと判断、男性の請求を却下した。

無断移植でも「父子関係」確定=凍結受精卵、父親の上告退ける-最高裁:時事ドットコム

 

ノート

最高裁は決定文を公開していません(上告不受理決定でしょうから、おそらくほとんど何も書いていないのだと思いますが)。また、LEX/DBで奈良家裁で平成29年1月1日〜平成29年12月31日の間にされた、あるいは大阪高裁でされた、「受精卵」「生殖補助医療」などのワードを含む判決、などの条件で検索してみたのですが、ヒットしません。そのため、雑なメモになってしまいます…

 

父は、いわゆる「嫡出の及ばない子」にあたると主張して、親子関係不存在確認の訴えを提起したのだと考えられます。判例は、長期の別居により、性交渉がなかったことが明白である場合に嫡出推定が排除されるという、いわゆる外観説を採用しています(最判平成10.8.31、最判平成12.3.14)。

これに対するのが、次の説です(他にもありますが省略)。

  • 血縁説:DNA関係などの科学的手法により親子関係の不存在が明らかである場合に嫡出推定が排除される。
  • 家庭破綻説:嫡出推定の趣旨は家庭の平和を守ることにあるが、別居などにより家庭が破綻している場合には、守るべき家庭の平和が既に存在しないのだから、嫡出推定が排除される。

しかし、最高裁は、次のような事件で、これらの立場を採用しないことを明らかにしました(最判平成26.7.17民集68.6.547。同日の類似事件があります)。

 

事案の概要

なお、被上告人=原告=子、上告人=父、甲=上告人の妻=被上告人の父、乙=甲の不貞行為の相手方です。

(1)上告人と甲は,平成11年▲月▲日,婚姻の届出をした。
(2)甲は,平成20年頃から乙と交際を始め,性的関係を持つようになった。しかし,上告人と甲は同居を続け,夫婦の実態が失われることはなかった。
(3)甲は,平成21年▲月,妊娠したことを知ったが,その子が乙との間の子であると思っていたことから,妊娠したことを上告人に言わなかった。
 甲は,同年▲月▲日に上告人に黙って病院に行き,同月▲日に被上告人を出産した。
(4)上告人は,平成21年▲月▲日,入院中の甲を探し出した。
 上告人が甲に対して被上告人が誰の子であるかを尋ねたところ,甲は,「2,3回しか会ったことのない男の人」などと答えた。
 上告人は,同月▲日,被上告人を上告人と甲の長女とする出生届を提出し,その後,被上告人を自らの子として監護養育した。
(5)上告人と甲は,平成22年▲月▲日,被上告人の親権者を甲と定めて協議離婚をした。
 甲と被上告人は,現在,乙と共に生活している。
(6)甲は,平成23年6月,被上告人の法定代理人として,本件訴えを提起した。
(7)被上告人側で私的に行ったDNA検査の結果によれば,乙が被上告人の生物学上の父である確率は99.999998%であるとされている。

 

判旨

括弧書きは私のメモです。

 民法772条により嫡出の推定を受ける子につきその嫡出であることを否認するためには、夫からの嫡出否認の訴えによるべきものとし,かつ,同訴えにつき1年の出訴期間を定めたことは,身分関係の法的安定を保持する上から合理性を有するものということができる…。そして,夫と子との間に生物学上の父子関係が認められないことが科学的証拠により明らかであり〔血縁説の不採用〕,かつ,夫と妻が既に離婚して別居し,子が親権者である妻の下で監護されているという事情があっても〔家庭破綻説の不採用〕,子の身分関係の法的安定を保持する必要が当然になくなるものではないから,上記の事情が存在するからといって,同条による嫡出の推定が及ばなくなるものとはいえず,親子関係不存在確認の訴えをもって当該父子関係の存否を争うことはできないものと解するのが相当である。このように解すると,法律上の父子関係が生物学上の父子関係と一致しない場合が生ずることになるが,同条及び774条から778条までの規定はこのような不一致が生ずることをも容認しているものと解される。
 もっとも,民法772条2項所定の期間内に妻が出産した子について,妻がその子を懐胎すべき時期に,既に夫婦が事実上の離婚をして夫婦の実態が失われ,又は遠隔地に居住して,夫婦間に性的関係を持つ機会がなかったことが明らかであるなどの事情が存在する場合には,上記子は実質的には同条の推定を受けない嫡出子に当たるということができるから,同法774条以下の規定にかかわらず,親子関係不存在確認の訴えをもって夫と上記子との間の父子関係の存否を争うことができると解するのが相当である…。しかしながら,本件においては,甲が被上告人を懐胎した時期に上記のような事情があったとは認められず,他に本件訴えの適法性を肯定すべき事情も認められない。

なお、金築裁判官・白木裁判官の反対意見があります。

 

今回の事案でも、外観説に立ちつつ、具体的事情を検討して、嫡出推定が排除されるだけの事情はなかったという判断をしたものと考えられます。

しかし、外観説はそもそも、「着床は、性交渉が行われ、男性が射精することにより、女性の体内で生じるものだ」という前提に立っています。これに対して、受精卵の凍結保存は、体外受精や顕微授精で受精・発育した受精卵を凍らせて長期間保存しておく方法ですから(一般社団法人日本生殖医学会|一般のみなさまへ - 不妊症Q&A:Q14.受精卵の凍結保存とはどんな治療ですか?)、受精と着床の時期が大幅にずれることがありえます。一審は「「生殖補助医療で民法上の親子関係を形成するには、夫の同意が必要だ」と指摘する一方、同意がないことを「嫡出推定が及ばない事情とみることはできない」とも述べ」たようですが(前掲・時事ドットコム)、凍結保存の場合には、いつの「外観」を判断するべきなのか、そもそも「外観」には意味があるのか、よくわからなくなってきます。判決文が見れない以上、大したことが言えないのですが、難しいですね…

 

なお、同意と嫡出推定あるいは父子関係の関係を考える場合、他に、あまり現実的ではありませんが、夫が同意していないのに性交がされ、受精・着床たというケースが考えられます。この場合はどうでしょうか(なお、男女逆のケースは実際にも多く発生していると考えられますが、その場合、母子関係は否定されません。母=分娩者という原則が徹底されているからです)。

また、将来、同性カップルでも子を作ることは可能になると考えられます(同性カップルの遺伝子で子どもを作ったら――ドキュメンタリーが問う、人間が“命を作る”ことの是非|ウートピ同性マウスから子供誕生 生殖の原則破る - BBCニュース)。そうなった場合はどうなるのでしょうか。

我が国では与党議員がLGBTを積極的に差別している体たらくですが、そんなこととは関係なしにテクノロジーは進んでゆき、人々のライフスタイルは変わってゆきます。

倒産法の基本書、演習書等と使用法

好きなので書きますが、執筆者はまだ司法試験における選択科目としての倒産法の司法試験対策を始めていません。学部3年次に破産法・民事再生法を履修したほか、ゼミである論点について調べたことがあるにすぎません所有権留保と倒産:最判平成22.6.4と最判平成29.12.7。それを念頭にお読みください。

 

倒産法は、民法(物権法・担保法・債権総論・契約法)、民事訴訟法、民事執行法会社法法律学習者はなぜ会計を勉強する必要がないか?:岩谷誠治『会計の基本』と深い関係があるため、それらをひと通り勉強したことがあれば、おそらくつまづくことはありません。司法試験選択科目の中では、最も必修科目とのシナジーが大きいのではないかと思います。 

 

入門書

倒産処理法入門 第5版

倒産処理法入門 第5版

 

292頁。1冊で倒産法の概観、ADR、破産法、民事再生法会社更生法会社法上の特別清算、国際倒産を説明するもの。とりあえず破産部分だけ読むといいと思う(そこだけなら80ページくらい)。

 

民事再生法入門 第2版

民事再生法入門 第2版

 

215頁(ただしB6サイズ)。破産法を学習済みだが民事再生法をまだ学習していない、という読者を想定して、民事再生法を説明する本。そのため、破産法と共通する部分は省略されている。執筆者は民事再生法の立法に関わっている。

 

倒産法 (有斐閣ストゥディア)

倒産法 (有斐閣ストゥディア)

 

???頁。最近出た。図表が使われていてイメージを持ちやすい。破産法と民事再生法のみ。倒産処理法入門(+民事再生法入門)よりこっちのほうがいいかも。

 

基本書

倒産法概説 第2版補訂版

倒産法概説 第2版補訂版

 

596頁。総論・倒産実体法・企業の倒産(ADR、破産、民事再生、会社更生、特別清算)・消費者の倒産(ADR、破産、民事再生)・破産犯罪という章立て。実際に問題になるのはほとんど実体法部分なので、意外に便利。なお、実体法部分は沖野先生、破産手続部分は山本先生(倒産処理法入門とほぼ同内容)。

 

副読本

破産法・民事再生法 第4版

破産法・民事再生法 第4版

 

1150頁。民訴よりはるかに厚い。江頭・株式会社法と並ぶ用法上の凶器。とても詳しい。 倒産法概説と異なり前半で破産法、後半で民事再生法を説明している。

副読本というよりは体系書だが、司法試験との関係ではおそらく副読本という位置づけなのでここで紹介した。

 

演習書

基礎トレーニング倒産法

基礎トレーニング倒産法

 

262頁。まずはこれで条文をマスターしよう。最初の一冊として最高。ただし、誤字脱字がめちゃめちゃ多い(正誤表がなんと3頁にわたる)。

 

倒産法演習ノート―倒産法を楽しむ22問 第3版

倒産法演習ノート―倒産法を楽しむ22問 第3版

 

???頁(一部のコピーを持ってるだけなので…)。これしかない。解答例がついていてよい。破産法概説と執筆者がかぶっているので相性がいいのかも。

 

この記事は、基本書等を網羅的に比較するものではなく、組み合わせと使用法の一例を紹介するものです。

haruwas.hatenablog.com

刑事訴訟法の基本書、演習書等と使用法

刑訴は、刑法の次に早く安定しそうな科目。

適当な入門書がないのが辛い。三井=酒巻『入門刑事手続法』があるけど、10時間寝たあとでも眠くなると思う。最初から精緻な説明を読む必要はないと割り切れるなら、警察官向けの本がよいのかもしれない(例えば警察官による「警察官のための刑事訴訟法講義〔第四版〕」、元検察官による「警察官のためのわかりやすい刑事訴訟法」)。自分は結局いきなり「えんしゅう本 刑訴」を解いた。

いずれにしても、一度全体像を把握したら、演習書・過去問と基本書・判例集を往復する。

 

基本書

刑事訴訟法 第2版 (LEGAL QUEST)

刑事訴訟法 第2版 (LEGAL QUEST)

 

512頁。刑事訴訟法は、この本しかない

なお、酒巻・刑事訴訟法は他説をあまり引用しないので、司法試験のトレンドに合わなそう。

 

副読本

刑事訴訟法入門 第2版 (法セミLAW CLASSシリーズ)

刑事訴訟法入門 第2版 (法セミLAW CLASSシリーズ)

 

372頁。入門書ではなく論点解説(『読解民事訴訟法』や『刑法の道しるべ』に近い)。 最初に入門書だと信じて読んだけど訳が分からなくてやめた。ただ、それでもすごく良さそうな本なのは伝わってきた。そのうち読む。

 

判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕

判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕

 

512頁。刑法の道しるべの刑訴版という印象。もっとも、買ってはみたものの、リークエ+古江というスタイルが定着しており、かなりマーキングなどしているので、あまり使っていない。

二分冊なのだが、捜査・証拠篇/公訴提起・公判・裁判篇という分け方をしたためか、1冊目が2冊目の2倍のページ数。実際、「公訴公判のうち証拠以外」って言われて思い浮かぶのって訴因と概括的・択一的認定くらいしかない。1冊目だけでいいから買えということなのか。

 

事例演習刑事訴訟法 第2版 (法学教室ライブラリィ)

事例演習刑事訴訟法 第2版 (法学教室ライブラリィ)

 

演習書。464頁(33問)。解説はかなり高度な議論をしており、また、わかりやすいため、基本書のように使っている。リークエはこっちで取り上げられていない事項だけ読む、という使い分け。 

 

この記事は、基本書等を網羅的に比較するものではなく、組み合わせと使用法の一例を紹介するものです。

haruwas.hatenablog.com

刑法の基本書、演習書等と使用法

刑法は、つまづくこともなく、一番早く安定しそうな科目。山口『刑法』を読んで全体像を把握したら、演習書・過去問と基本書・判例集を往復する。

 

入門書

刑法 第3版

刑法 第3版

 

基本書。492頁。潮見民法(全)と同じ感じ。

なお、通説判例本というよりは、分冊版から山口先生の自説論証を削って1冊にしたものと考えたほうがよい(特に分冊版が穏健化しきつつある最近は)。自説を通説のように語ったりすることはないが、「有力説」が厚く紹介されているときはだいたい山口説。

 

基本書

基本刑法I―総論[第2版]

基本刑法I―総論[第2版]

 
基本刑法II 各論 第2版

基本刑法II 各論 第2版

 

基本書。475頁、544頁。たいていの論点は載っている。山口・刑法は簡潔を極め、ときどき何を言っているのか分からないことがあるうえ、分冊版(山口先生が本気出したほう)を読むと通説が信じられなくなってしまうので、これでいいと思う。

 

 副読本

刑法の道しるべ (法学教室ライブラリィ)

刑法の道しるべ (法学教室ライブラリィ)

 

副読本。243頁。神。総論8論点、各論6論点の解説。学説の対立をよく整理してくれている。各章の最後に「まとめ」があるのもよい。なお、刑法の道しるべ」というタイトルだが、帯にあるとおり「刑法の"頂"」への「道しるべ」であって、入門書ではない。

なお、最近ホットな論点を集めたものとして、わせロー入試の第2問(一行問題)対策に使えるかと思ったが(実際過去問はカバーされていた)、見事に裏切られた(2019年度早稲田大学法科大学院入試(再現答案へのリンクあり))。

 

演習書

刑法事例演習教材 第2版

刑法事例演習教材 第2版

 

演習書。249頁(48問)。かなり網羅性が高い(そもそも刑法は問題のパターンが少ない?)。

 

この記事は、基本書等を網羅的に比較するものではなく、組み合わせと使用法の一例を紹介するものです。

haruwas.hatenablog.com

 

民事訴訟法の基本書、演習書等と使用法

民訴は、概念が大事。特に訴訟物、弁論主義、重複起訴、処分権主義。ドグマというと嫌われがちだが、どんな議論もドグマを前提に、そこから生じる問題を解決するためにドグマの修正を提案しているのであり、まずはドグマをマスターしないことにはどうにもならない。

『コンパクト版 基礎からわかる民事訴訟法』で手続の流れを確認し、『読解 民事訴訟法』でありがちな間違いを修正したら、演習書・過去問と基本書・判例集を往復する。

 

入門書 

民事訴訟法 第2版 (有斐閣ストゥディア)

民事訴訟法 第2版 (有斐閣ストゥディア)

 

262頁。薄くてわかりやすい。

 

基本書

民事訴訟法 第3版 (LEGAL QUEST)

民事訴訟法 第3版 (LEGAL QUEST)

 

664頁。和田・基礎からわかる民事訴訟法が人気だが、定義をはっきりと書かないことがあり、使うのをやめてしまった。もっとも、こちらはこちらで有力説の紹介が厚く、通説がわかっていないと読むのはきついかもしれない。

なお、成仏したいのでない限り、伊藤・民事訴訟法、新堂・民事訴訟法、松本=上野・民事訴訟法、JK (Juten Kogi Minjisosho-ho) などを基本書にすべきではない。

 

副読本

読解 民事訴訟法

読解 民事訴訟法

 

副読本。326頁。神。論点解説だが、知識が「使える」ようになる本。本当に神。

 

演習書

基礎演習民事訴訟法 <第3版>

基礎演習民事訴訟法 <第3版>

 

360頁(30問)。一人一章で、学界を引っ張っているという感じの世代の人たちが書いているので、問題・解説のスタイルはばらばら(ここは百選っぽい)。

全体として問題集としての配慮は弱い。例えば:事例と関係のない説明が多い。判例をボコボコに殴って去って行く人がいる。実質的な一行問題がある。あてはめがない回がある。

ちなみに、平成24年司法試験の採点実感18ページ(しかも民事系科目第3問=民事訴訟法に関する部分)には、次のような記述がある。

問われていることに正面から答えていなければ,点数を付与することはしていない。自分の知っている論点がそのまま問われているものと思い込み,題意から離れてその論点について長々と記述する答案や,結論に関係しないにもかかわらず自分の知っている諸論点を広く浅く書き連ねる答案に対しては,問われていることに何ら答えていないと評価するなど,厳しい姿勢で採点に臨んでいる。

とはいえ、一通りのことはやれるし、問題数の割にサクサク進むし、何よりオルタナティブがないので仕方がない(Law Practiceの問題数に耐えられるなら別)。…と言っていたら単著の越山『ロジカル民事訴訟法』が出てしまった。こっちのほうがいいのかも。

参考答案:Haruwas - 1 当事者能力

 

この記事は、基本書等を網羅的に比較するものではなく、組み合わせと使用法の一例を紹介するものです。

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