Haruwasブログ

予備試験(2018)や法科大学院入試(2018)の記録、民訴ゼミで思ったことのメモなど。

ロー入試までに読んだ本など

ロー入試を終えて

東京大学は1次審査で落ちました(GPA 2.0, TOEIC 725)。過去問を5年分解いた段階ではそれなりに解ける気がしていたのですが、門前払いの結果でしたね… ロースクールがプロセス教育を標榜していることからすると、当然の結果ですが。

春から"も"早稲田に決まったわけですが、予備試験は来年も受けます。大事務所で真にネットに強い弁護士になって、専門事務所に移るのが夢です。

ロー入学までは、教科書を読み返して、問題集をよく検討したいと思います(教科書も問題集も予備試験やロースクールの過去問を解きながらアドホックに見る、みたいなことしかしていなかったので)。

ただ、まずは卒論をがんばります…

 

ロー入試までに読んだ本など

憲法学読本 第2版

憲法学読本 第2版

 

教科書。薄くてすぐ読める。憲法は教科書を読むことと答案を書くことがあまりつながらないので、これをさっと読んだ上で演習をしたほうがいいと思う。

 

憲法の急所──権利論を組み立てる 第2版

憲法の急所──権利論を組み立てる 第2版

 

問題集。神。答案構成まで書いてくれている。結局何をどこに書けばいいの、という人に。

 

判例から考える憲法

判例から考える憲法

 

問題集。判例の引用の仕方がわかる。急所のあとにやるといいと思う。

 

基本行政法 第3版

基本行政法 第3版

 

教科書。判例を整理していく。薄さの割にけっこういろいろ書いてある。

 

基礎演習 行政法 第2版

基礎演習 行政法 第2版

 

問題集。神。設問形式で条文や判例法理が使えるようになる。特に行政事件訴訟の訴訟類型選択に強くなれる。薄くてサクサク進むのでぜひ。

 

民法の基礎1 総則 第4版

民法の基礎1 総則 第4版

 
民法の基礎〈2〉物権

民法の基礎〈2〉物権

 

教科書。物権はいわゆる物権総論のみ(担保は範囲外)。特に94条2項(・110条)、白紙委任状と109条、無権代理と相続、各種の不動産物権変動と登記などの整理はよかった。大フォントの本文で判例・通説、「発展学習」で学説対立や主張立証責任、「補論」で自説を述べるスタイル。それなりの厚さだけど、本文だけ読めば大した量ではない。

 

担保物権法 (民法講義 3)

担保物権法 (民法講義 3)

 

教科書。ひたすら判例を整理していく。抵当権と譲渡担保が手厚い。とりあえずケースの図を書きながらこれを読み進めていけば、担保はだいたいできるようになる(そもそもあまり出ないし)。紙が厚くハードカバーなだけで、中身は薄い。

なお、担保物権は債権総論と民事訴訟法をやった後に、民事執行法と並行してやるとよいと思う。

 

プラクティス民法 債権総論〔第5版〕 (プラクティスシリーズ)

プラクティス民法 債権総論〔第5版〕 (プラクティスシリーズ)

 

教科書。厚いけど、債権総論はかなり理論的なところがあり、また、執行法・倒産法の前提にもなるので、これくらいのものを読んでおくと楽になれると思う。なお、中田先生の本はわかりやすいが、詳しすぎて眠くなってしまった。

 

教科書。債権総論と違ってかなり薄い。なお、事務管理・不当利得部分と、同シリーズの不法行為は読んでいない(理論と判例の距離が大きいので、とりあえずは判例を優先した)。

 

家族法 -- 民法を学ぶ 第3版

家族法 -- 民法を学ぶ 第3版

 

教科書。厚いが、講義的な口調で読みやすい。家族法はマイナー分野では全くないので、これくらいのものを読んでおいたほうが良いと思う。リークエも人気だけど、あちらは記述が平板で一気に読もうとするとつらい。

会社法 (有斐閣ストゥディア)

会社法 (有斐閣ストゥディア)

 

教科書。薄くてわかりやすい。網羅的ではないのでリークエか田中があるといいと思う。

 

ひとりで学ぶ会社法

ひとりで学ぶ会社法

 

問題集。神。Stage 1-3に分かれているが、Stage 1で徹底的に条文を引かされ、どこにどの条文があるかがわかるようになる。会社法はとりわけ端から条文を読むのがつらいので、これをガイドに読むとよいと思う。

 

民事訴訟法 第3版 (LEGAL QUEST)

民事訴訟法 第3版 (LEGAL QUEST)

 

教科書。 和田先生の本は定義をはっきりと書かないことが多く、初学者の頃に放棄してしまった。しかし、こちらはこちらで有力説の紹介が厚く、通説がわかっていないと読むのはきついかもしれない(民訴ゼミだったから使えていた感)。どちらも合わないという場合には有斐閣ストゥディアシリーズの民事訴訟法がおすすめ。

 

読解 民事訴訟法

読解 民事訴訟法

 

副読本。神。知識を「使える」ようになる本。なお、ゼミの先生の本だがステマではない。

 

基礎演習民事訴訟法 <第3版>

基礎演習民事訴訟法 <第3版>

 

問題集。授業の指定教科書だったので買ったけど、よかった。ロープラクティスは問題数も多いし百選解説を読むのとあまり変わりがないし、こっちのほうがいいと思う。

 

基本刑法I―総論[第2版]

基本刑法I―総論[第2版]

 
基本刑法II 各論 第2版

基本刑法II 各論 第2版

 

教科書。基本行政法と同じ感じ。

 

刑法 第3版

刑法 第3版

 

教科書。薄く、短答対策や定義を確認するのに向いている。

なお、通説判例本などではなく、分冊版から山口先生の自説論証を削って1冊にしたものと考えたほうがよい(特に分冊版が穏健化しきつつある最近は)。自説を通説のように語ったりすることはないが、「有力説」が厚く紹介されているときはだいたい山口説。

 

刑法事例演習教材 第2版

刑法事例演習教材 第2版

 

問題集。かなり網羅性が高い(そもそも刑法は問題のパターンが少ない?)。

 

刑事訴訟法 第2版 (LEGAL QUEST)

刑事訴訟法 第2版 (LEGAL QUEST)

 

教科書。これ以外にいいのがない(学説対立を把握した上であれば酒巻先生の本がよいようだけど、僕はそのレベルに達しなかった)。 

 

事例演習刑事訴訟法 第2版 (法学教室ライブラリィ)

事例演習刑事訴訟法 第2版 (法学教室ライブラリィ)

 

問題集。といいつつ解説がかなり高度な議論をしており、また、わかりやすいため、教科書のように使っていた(リークエはこっちで取り上げられていない事項だけ読む、という使い分け)。

 

基礎からわかる民事執行法・民事保全法 第2版

基礎からわかる民事執行法・民事保全法 第2版

 

教科書。民事執行法保全法は、予備試験の民事実務基礎で出題されるほか、他の科目でもしばしば問題の前提として関わってくるので(名誉毀損出版物の事前差止め、行政上の強制執行、行政事件訴訟における仮の救済、担保権の実行としての競売、物上代位のための差押え、差押えと相殺、独占交渉条項に基づく他社との交渉差止めの仮処分、強制執行関係の公務執行妨害罪など)、構造を把握する程度の理解は持っていると楽。この本はかなり薄いので、これを読んで条文の位置を把握しておくのがよいと思う。

東京大学法科大学院 平成30(2018)年度 刑事系

1 1について

(1) Aから本件カードを受け取った行為

 「人を恐喝して」(刑法239条1項。以下1において法令名省略)とは、財物の交付に向けて、他人に人を畏怖させるに足りる暴行または脅迫を加えることをいう。XがAに「お前、このままで済むと思うなよ。腎臓でも売るか。何か金目のものを出せ」と申し向けた行為は、身体に危害を加える旨を告げて財物の交付を要求したものであるから、これにあたる。

 「財物を交付させた」(同項)とは、恐喝によって畏怖した者が、その意思に基づいて財物の占有を犯人に移転することをいう。AがXの剣幕に畏怖しつつ「これを自由に使ってください」と述べて本件カードを差し出した行為は、アの行為によって畏怖したAその意思でカードの占有をXに移転されたものであるから、これにあたる。

 さらに、故意も明らかに認められる。以上より、構成要件を満たす。

 もっとも、上記行為は、Xの有する貸金債権の行使としてされているから、正当行為(35条)にあたらないか。

 違法性の本質は社会的相当性を逸脱する法益侵害にあるから、行為によって実現された結果が権利の範囲内である場合、目的が権利の正当な行使にあり、手段が社会的相当性を逸脱しない場合には、正当行為にあたると解するべきである。

 「お前、このままで済むと思うなよ。腎臓でも売るか。何か金目のものを出せ」と述べて債務者を畏怖させ、クレジットカードを受け取ることは、社会的相当性を逸脱すると言えるから、正当行為に当たらない。
 したがって、違法性は阻却されないから、Xに恐喝罪が成立する。

(2) Cから給油を受けた行為

 「人を欺いて」(246条1項)とは、財物の交付に向けて、他人を財物の交付の基礎となる重要な事項について錯誤に陥らせることをいう。XはAの本件クレジットカードを提示しているが、クレジットカードは一般に名義人しか使うことができないため、この行為は、本件カードがXのものであることを示したものと評価できる。これにより、Cの店員Dは本件カードがXのものであると誤信した。そして、Cにおいても、名義人以外の者のカード利用には応じないことになっており、Dも、X が本件カードの名義人ではないと知っていれば、給油確認ボタンを押すことは なかったから、クレジットカードの提示者が所有者であるかは財物の交付の基礎となる重要な事項である。

 「財物を交付させた」(同項)とは、欺罔行為によって錯誤に陥った者が、その意思に基づいて財物の占有を犯人に移転することをいう。Cの店員Dは、本件クレジットカードがXのものであると考えて給油ボタンを押したものであるから、これを満たす。

 もっとも、XはDの関与を認識していない。しかし、故意は規範的障害があるのにあえてこれを逸脱したことに対する非難である。そして、規範は構成要件として与えられているから、本件のように犯人が認識した構成要件と実際に行ったそれが異なる場合でも、それらが実質的に重なり合う場合には、その限度で規範的障害があったと言える。したがって、その限度で故意責任を追及することができる。

 詐欺と窃盗は、財産犯である点で保護法益が共通であり、カードの提示による財物移転の点で行為態様も共通である。Xは、窃盗の認識はあるから、その限度で故意がある。

 以上より、Xに窃盗罪が成立する。

2 2について

 刑事訴訟法39条3項は、接見指定を定める(同法39条3項)。「捜査のため必要があるとき」とは、被疑者の身体が現に必要とされているときまたは間近にそのような捜査を予定しているときをいうと解するべきである。

 また、同項は「公訴の提起前に限り」接見指定を許しているが、公訴提起後に別の被疑事件が捜査される場合は想定されていない。別件被疑事件についても捜査の必要があることは否定できないから、別件被疑事件について同項の要件を満たすことに加え、被告事件の防御を不当に制限しない場合には、接見指定が許されると解する。

 本件では、Xはちょうど別件被疑事件である殺人事件について自白を始めたところであり、その身体が現に必要とされており、これを中断すれば捜査に重大な支障があるから、「捜査の為必要がある」。また、指定は3時間後であり、必ずしも不合理ではないし、現在は殺人事件についての取調べ中であり、1の事件について助言等をする緊急の必要もないから、指定が被告事件の防御を不当に制約するともいえない。したがって、接見指定は適法である。

東京大学法科大学院 平成30(2018)年度 民事系

1 (1)について

(1) 本件基本合意書7条がない場合

 本件基本合意書5条後段(以下、本条項という)の不履行に基づき損害賠償請求をすることができる(民法415条。以下1において法令名省略)。

 損害賠償額として、まず契約締結費用100億円は通常損害(416条1項)として認められる。逸失利益8000億円は、未だ事業譲渡交渉は完了していないためその全額を請求することはできないが、事業譲渡交渉の成立に対する期待として法的に保護される部分に限り、通常損害として請求できる。

 なお、いずれも損害額についてAが主張・立証しなければならない。

(2) 本件基本合意書7条がある場合

 本件基本合意書7条に基づき損害賠償請求をすることができる。

 損害賠償額として、同条に基づき2000億円が認められる。同条は賠償額の予定と推定されるため(420条3項)、裁判所はその額を増減することはできない。したがって、Aは損害について主張・立証する必要はないし、同条が制裁の規定であることを主張立証することができない限り、仮に2000億円を上回る損害が生じたとしても、その差額を請求することはできない(420条1項後段)。

2 (2)について

(1) 本条項に基づき、D社との交渉の差止めを求めることが考えられる。

 本条項は、交渉を第三者の介入を受けないで円滑に成立させるための手段として定められたものであるから、交渉が成立する可能性がなくなった場合には、本条項に基づく差止請求権も消滅する。

 Bは契約交渉の打ち切りをAに通告し、Dとの交渉を開始しているから、交渉が成立する可能性は低い。しかし、Aとの交渉も、契約の対価や資産目録が記載された本件基本合意書が締結されるなど、相当程度進んでいたところであり、一方的な打切り通告・Dとの交渉開始によって、Bとの交渉の成立の可能性がなくなったとまではいえない。したがって、本条項に基づく差止請求権は今だ有効であり、これを行使することができる。

(2) 強制方法として、訴訟を提起し、確定判決に基づき(民執22条1号)、間接強制(同法172条1項)を申し立てることが考えられる。もっとも、事業譲渡の性質上、判決手続・強制執行手続によっていては、その間に事業の価値が下落するなどして、実質的な救済が得られないおそれがある。そこで、本条項に基づく独占交渉権を被保全権利として、仮の地位を定める仮処分(民保23条2項)として差止めの仮処分を申し立てることが考えられる。

 仮の地位を定める仮処分においては、実体要件として、「争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害…を避けるための必要」があることが必要である(民保23条2項)。

 Aが被る損害は、1(1)に述べたとおりであるが、その性質、内容は、事後的救済によっては償うことができないとまではいえないこと、交渉が成立する可能性は相当低いこと、 期間は2019年3月まで(本件基本合意書6条)であり、2017年7月に仮処分がされたとすれば1年5か月の長期に渡り、債務者の被る損害は相当大きないことなどを総合的に考慮すると、Aについてに生じる著しい損害を避けるための必要があるとはいえない。

 したがって、仮処分は認められず、Aとしては、(1)に述べた損害賠償請求を提示しつつ任意にD社との交渉通知を求めるほかは、訴えの提起・間接強制によるほかはない。

3 (3)について

(1) B社株主は、A者との交渉において7条に合意したこと、またはD社との交渉を断念したことが、善管注意義務会社法330条・民法660条。以下3において会社法につき法令名省略)の懈怠(423条1項)にあたるとして、それによって生じた損害の賠償につき、提訴請求(847条1項)をしたうえ、会社に代わって責任追及訴訟(同条3項)を提起することが考えられる。

(2) もっとも、一般に取締役は会社経営に当たるものであるところ、経営判断は非定型的で、不確実性のもとで行われるため、リスクを伴うのが通常である。それなのに事後的な判断によって責任を認めるとすれば、現に取締役である者の経営判断を萎縮させ、また、将来取締役となろうとする者に取締役となることを萎縮させ、ひいては株主の不利益につながる。したがって、経営判断については、判断の過程または内容に明らかに不合理な点がある場合に限り、善管注意義務違反があると評価するべきものと解するべきである。

 B社取締役について、事業譲渡交渉において相互に独占交渉義務を課すことはマーケットスタンダードであるから、明らかに不合理とは言えない。また、これに基づく損害賠償請求を考慮してD社との交渉を断念したことも、損害賠償額や、紛争が生じること自体によるイメージ低下・信用低下をも考慮すれば、明らかに不合理とは言えない。したがって、善管注意義務違反がなく、(1)の請求は認められない。

東京大学法科大学院 平成30(2018)年度 公法系

1 (1)について

 Xは非申請型義務付けの訴え(行訴3条6項1号。以下1, 4において法令名省略)を提起し、仮の義務付け(37条の5第1項)を申し立てるべきである。

(1) 義務付けの訴えには2類型があるが、両者は「一定の処分…を求める旨の法令に基づく申請」(3条6項2号)が先行しているか否かで区別される。この申請とは、法令に基づく行政庁の許可その他自己に対し何らかの利益を付与する処分を求める行為であって、当該行為に対して行政庁が諾否の応答をすべきこととされているものをいうと解する(行政手続法2条3号参照)。

 本件不許可処分の根拠法は、国有財産法18条6項であるが、同項は使用収益をしようとする者の申請を定めていないし、管理者に応答義務も負わせていない。したがって、本件申請は3条6項2号の申請に当たらないから、同項1項の義務付けの訴えを提起すべきである。

 他の訴訟要件として、①重大な損害のおそれ、②他に適当な方法がないことが必要である(37条の2第1項)。

 ①について、Xの損害は本件デモを撮影することができないというものであり、一度機会を逸してしまえば回復は困難であるから、これを満たす。

 ②について、国有財産法上適当な不服申立手段はないし、本件不許可処分の取消しや執行停止がされても不許可が実質的になかったことになるだけで必ずしも許可がされるわけではいから、これを満たす。

(2) 仮の義務付けは、申立ての適法要件として、①義務付けの訴えの提起があったこと、②その義務付けの訴えに係る処分…がされないことにより生ずる償うことができない損害を避けるために緊急の必要がありる。

 ①について、(1)に述べたとおり非申請型義務付けの訴えを適法に提起できるから、これを満たす。

 ②について、(1)に述べたとおりXの損害の回復は困難であり、デモの日までに4か月しかなく、それまでの間に(1)の訴えが認容され、確定しないことは十分に考えられるから、これを満たす。

2 (2)について

(1) Xは本件不許可処分により、本件デモの撮影ができなくなった。報道の自由は、民主主義社会の国民の国政参加のための資料を提供し、その知る権利に奉仕するものとして、憲法21条1項(以下2, 3において法令名省略)によって保障される(博多駅事件判決)。また、取材の自由も、報道の正確さを確保するため、「尊重に値」する(同判決)。もっとも、後者についても、報道に不可欠の前提となる自由であるから、報道の自由と同等の保障が及ぶと考えるべきである。本件でもの撮影は報道の自由・取材の自由によって保護されているから、本件不許可処分はこれを侵害するものである。

(2) これに対して、本件不許可処分は職権の発動の許否にすぎず、自由権たる報道の自由・取材の自由の制約はないとの反論が考えられる。泉佐野市民会館事件判決は、地方自治法244条2項が「正当な理由がない限り…拒んではならない」と許可を原則としていることに着目して、憲法21条1項の趣旨を反映して管理権者の裁量が狭められた。これに対して、本件屋上を含む本件建物は国有財産であり、国有財産法には同様の規定はない。また、パブリックフォーラム理論によっても、一般人が立ち入ることを想定した場所ではない本件屋上は、伝統的パブリックフォーラム・指定的パブリックフォーラムのいずれにもあたらないから、やはり管理権者の裁量を狭めることは難しい。したがって、この反論は妥当である。

 21条1項の侵害がないから、本件不許可処分は同条に違反するものではない。

3 (3)について

(1) Bは国会記者会の意見を踏まえて本件不許可処分をしているところ、国会記者会は意見の②において、国会記者会に加盟しない記者であっても信頼できる取材機関に所属する者に屋上使用を認めた例があるが、フリージャーナリストについては取材・発信方法が多種多様で人数も多く、屋上取材を認める合理的な基準の設定が困難であるため、屋上使用を認めてこなかったことを理由に、許可すべきでない旨述べている。したがって、実質的には国会記者会加盟記者・国会機社会にとって信頼できるとされた取材機関に所属する者と、フリージャーナリストとで、許可するか否かが区別されている。

(2) 14条1項は、実質的平等を定めたものであり、あらゆる区別が同項に違反するものではない。しかし、区別の目的に合理的な根拠がない場合、または、具体的な区別と目的との間に合理的関連性が認められない場合には、合理的理由のない差別として同項に違反する(国籍法違憲判決)。合理的理由については、本件不許可処分が、Xの表現という重要な利益に関わるものであることから、「慎重な検討を要する」(同判決参照)。

(3) 本件不許可処分の目的は、屋上使用者を信頼できるジャーナリストに限定することであるが、屋上使用とジャーナリストとしての信頼は関係がなく、目的に合理性がない。仮に合理性があるとしても、その手段としては実績を提出させたり紹介によることが考えられ、記者から構成されている国会記者会はその審査能力も有していると考えられるから、フリージャーナリストであることをもって一律に不許可とすることは、目的との合理的関連性を欠く。したがって、本件不許可処分は、14条1項に違反する。

4 (4)について

(1) 本件不許可処分については、その根拠たる国有財産法18条6項の「できる」の文言や、許可がその要件である「その用途又は目的を妨げない限度」内であるかどうかは管理者が最もよく知ることから、裁量が認められる。したがって、裁量の逸脱・濫用(37条の2第5項後段)が審査される。

(2) 裁量処分において、処分の根拠法令とは無関係のことがらを考慮することは、判断過程が合理性を欠く結果、処分が社会通念上著しく妥当を欠くものとなるから、裁量の逸脱・濫用を基礎づける。

 本件不許可処分の理由(a)は実質的には国会記者会の意見①を繰り返したにすぎないこと、(b)についても国会記者会は本件建物の使用を承認されているにすぎず本件屋上については無関係であるのにその意見を考慮していることから、処分の根拠法令とは無関係のことがらを考慮したといえる。したがって、裁量の逸脱・濫用がある。

法学部でのリサーチと発表のしかた

この投稿は、学部で判例あるいは一定の問題について議論するときの作法的なものを述べるものです。学部ゼミの指導教員や共同発表者から教えてもらったものや、自らが経験的に獲得した知識を言語化したものなので、一般的でないものが含まれている可能性があります。

 

資料を集める

どんな資料があるか

  • 扱う資料として、①学生に書かれた概説書(教科書)、②学者・実務家に向けて書かれた概説書(体系書)、③コンメンタール、④調査官解説、⑤判例評釈、⑥論文、などがある。
  • ①教科書は、特定の法分野の概要を簡潔に、かつ教育的配慮をもって説明したもの。学生を想定して書かれており、自説は控えめ(なものが多い)。
  • ②体系書は、特定の法分野について理論的な解説をするもの。単著が多く、実務家や研究者を想定して、一貫して筆者の視点から書かれている。他説については、自説の前提として議論を整理することはあっても、それ自体を目的としていない。
  • コンメンタールは、特定の法律について、一条ごとに解説を加えたもの。編著が多く、実務家や研究者を想定して、判例や議論を客観的に、かつきわめて詳細に整理している(その上で執筆者の見解が明らかにされることはある)。
  • ④調査官解説は、最高裁判例について、最高裁調査官(最高裁裁判官の職務を補助する職員。裁判官が身分を変えてこれになる。これになるのは裁判官の中でもエリート)が書いた解説。理論的に重要な裁判がされると、まず判例時報判例タイムズの「囲み解説」として匿名で短いコメントがされ、翌年に最判解(最高裁判所判例解説平成n年度民事篇)として加筆されたものが公開される。最高裁は、裁判官数に比して膨大な件数を処理しているため、一部の判決については調査官の起案したものがほぼそのまま判決になっており、そうでない場合でも裁判官の議論に影響を与えていると言われている。そのため、判例の内在的分析、つまり、最高裁が何を考えてそのような判決をしたのかを推論する上で、重要な資料になる(もっとも、これ自体は判例ではない。また、ときに判例(多数意見)を批判することがあるし、少数意見とはよく対立している)。
  • 判例評釈は、特定の最高裁判例・下級審裁判例について、学者や実務家が意見を述べたもの。最もメジャーな判例評釈が百選解説。短いものは1ページ(法学教室の「判例セレクトMonthly」など)、長いものだと30ページくらい(大学紀要に掲載されるものが多い、気がする)。
  • ⑥論文は、特定の問題について、学者や実務家が意見を述べたもの。
  • 判例評釈と⑥論文は、実務家向けの雑誌(判例タイムズ判例時報、ジュリストなど)、アカデミックな雑誌(民商法雑誌、金融法務事情、民事訴訟雑誌など)、学生向けの雑誌(法学教室、法学セミナーなど)、献呈論文集(高橋宏志先生古希記念祝賀論文集「民事訴訟法の理論」など)、その他の単行論文集、大学紀要(法学協会雑誌〔東京大学〕、法学論叢〔京都大学〕、早稲田法学〔早稲田大学〕、法學研究〔慶応大学〕など)などに収録されている。

 

資料をどうやって見つけるか

  • 与えられた資料(百選や重判の記事など)がある場合は、それを起点に、引用された資料を芋づる式にたどっていく。ただし、この方法では、その資料の執筆時以降の資料は見つけられないことに注意する。
  • LEX/DB*1の「評釈等所在情報」は判例評釈をまとめてくれている。
  • 教科書、体系書、コンメンタールの関連箇所を探す。

 

資料をコピーし、共有する

  • 資料をコピーするときは、背表紙の上下を手で押さえるとよい(コピー機の蓋だけで押さえると、手前が浮いて黒く写り、読めなくなるので結構大事)。
  • 資料をコピーするときは、コピーした紙に書誌情報(資料を特定するために必要な情報。引用したり、再検討するときに必要。具体的には、執筆者、著者、編者、論文名、出版物名、出版社、出版年、版、巻数など)を最初のページに書き込んでおく。単行本の場合、奥付をコピーしてもよい。この場合、共著書・編著書で論文集の形式を取っていないものは、執筆者が巻頭などに記載されており、章の始めや奥付には記載されていないことが多いので、注意する。
  • コピーした資料は、スキャンして、クラウドストレージで共有する*2。スキャンには、ドキュメントスキャナ(ADF; automatic document feederがついたスキャナ)を使うと楽。
  • 資料のリストを作っておく。

 

原稿にまとめる(Microsoft Wordを使う前提)

構成

  • 最初に「問題の所在」を書く。「問題の所在」とは、どのような条文があり、どのような問題が生じるのか(典型的には、素直に条文を適用すれば〇〇という不都合が生じるため、どのように調整するかが問題となる、など)を簡潔に示したもの。百選の解説にも最初に「問題の所在」が書かれているものが多いので、それを見ると参考になるかも。
  • 次に、学説と判例・裁判例を整理する。
  • 最後に、私見を示す。どの見解を前提にして、どのような理由でどのような結論を支持するのか。

 

日本語の問題

  • 明文の規定があるときは条文番号を、判例があるときは判例の年月日・判例集を表示する。条文、判例、学説(争いがないもの)、学説(争いがあるもの)、あなたの意見を区別する。
  • 主語は、文脈から明らかである場合を除き、省略しない。また、主語と述語が対応しているかどうかを確認する。
  • 複文をできる限り避ける。

 

スタイル・段落

  • 番号つきの見出しをつける。番号つきの見出しは手動でつけるのではなく、スタイル機能を使って自動でつける。

    growthseed.jp

  • 段落分けをする。段落の始めは字下げする。字下げは全角スペースではなくスタイルで行う。

    www.tipsfound.com

  • 空白行を作らない。
  • 本文は明朝体、強調はゴシック体の太字を使う。太字は、太字を内蔵しているフォントを使う(MSゴシックなどは太字を内蔵していない)。長い強調はアンダーラインを使う。イタリックは使わない。最新のWindows/OS X(Mac)の場合、游明朝、游ゴシックを使うときれいで扱いも楽。

 

引用

  • 孫引き(オリジナル以外からの引用。例えば、Aが自説を述べる前提として、Bの説を含む既存の学説を整理している場合に、あなたがB説を紹介するためにAの論文を引用すること)をしない。
  • 条文、判例、資料の引用は「法律文献等の出典の表示方法」に従う。
  • 同じ資料を2回以上引用する場合、相互参照機能を使う。

    office-qa.com

  • 脚注でも、句点を省略しない。

 

レビュー

  • 共同発表者のドラフトをレビューするときは、変更履歴を使う。

    support.office.com

 

その他

発表を準備する

レジュメを統合して、共有する

  • 各執筆者のファイルからコピペし、スタイルなどを調整する。ここでの工程を少なくするために、初めから同じスタイルが設定されたファイルに書いておく。
  • タイトル、発表者、目次、行番号、ページ番号を入れる。
  • メールなどで共有する。Wordでは(フォントがあるかどうか、Wordのバージョンの違いなどで)ページ数がずれる可能性があるためPDFを共有し、また、書き込み用にWordドキュメント(.docx)を共有している。

 

スライドを作る

  • 上部にレジュメの見出しに対応したタイトルと、ページ数を入れる。しかし、実質的な情報ではないため、これにスペースを使いすぎない。
  • 積極的に図表を使う。しかし、どうしても必要な場合でない限り、イラストは使わない(イラストを使わなくても図表は作れる)。
  • 色は黒+テーマカラー+アクセントカラーのみ。
  • 説明することを全てスライドに記載する必要はない。むしろ情報はできるだけ削る。スライドの役割は、①口頭の説明のインデックス、②ビジュアライズしたほうが伝わりやすいもの(図表)の表示。スライドはあくまであなたの説明を補うものであって、スライドそれ自体から全てを読み取ることができる必要はない。
  • アニメーションは、出現と消滅だけ(奇抜なアニメーションに注目させても意味がない)。
  • スクリプトは作って棒読みしてはいけない。どうしても不安ならトピックだけメモしておく(それで説明できる程度の理解がなければ、どうせ伝わらない)。
  • この2冊のいずれかを読んでおくのがおすすめ(内容はほぼ同じなのでどちらでもよい)。
    伝わるデザインの基本 増補改訂版 よい資料を作るためのレイアウトのルール
     

*1:判例データベース。早稲田大学の場合、LEX/DBには、学術情報検索で、「おすすめのデータベース」→「15. 判例(国内):LEX/DB」と進むとアクセスすることができる。

*2:著作権法30条1項柱書は、「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするとき」に限り、複製を認めています。「これに準ずる限られた範囲」について、文化庁著作権審議会第5小委員会(録音・録画関係)報告書(昭和56年)は、「「これに準ずる限られた範囲内」とは、人数的には家庭内に準ずることから通常は4~5人程度であり、かつ、その者間の関係は家庭内に準ずる親密かつ閉鎖的な関係を有することが必要とされる。したがって、例えば、親密な特定少数の友人間、小研究グループなどについては、この限られた範囲内と考えられるが、少人数のグループであってもその構成員の変更が自由であるときには、その範囲内とはいえないものと考える。」としています。

早稲田大学法科大学院入試を受けてきた(再現答案へのリンクあり)

8月25日〜26日に、早稲田大学法務研究科(法科大学院)入試を受けてきました。合格はできるんじゃないかと思いますが(できなければ来年は無職ですね)、全額免除を受けることができるかはわかりません。ゼミの先輩はみんな取っていたけど、推薦状なしで取った人はいなかったような…

再現答案は次のページに掲載しています:民法刑法憲法民事訴訟法刑事訴訟法。成績は送られてきたら追記しようと思います。

追記(9/14):合格(全額免除)でした。順位や科目ごとの成績は開示されてきませんが、合格者の定員140に対して全額免除の定員は20人です。

 

やったこと

7月の予備論文の翌週に定期試験があり、その翌週にバイトで夏期講習会をやっていたので、実質的に勉強を始めたのは8月の1週目。

まずどうしようもなかったのが憲法。「合格思考 憲法」の新司法試験以外の部分をやりました。

8月の2週目までにこれを終えました。

読み解く合格思考 憲法―予備試験・司法試験短期合格者本 (予備試験・司法試験短期合格者本 1)

読み解く合格思考 憲法―予備試験・司法試験短期合格者本 (予備試験・司法試験短期合格者本 1)

 

8月の3週目はまたバイトで夏期講習会があったのですが、午前中は空けていたので、過去問を4年分解きました(13:00-21:20バイト、8:00-12:00勉強みたいな暮らし、もうしたくない)。

この時点で刑法各論に手が出ないことがわかりました。早稲田の刑法は、総論が事例問題(60点)、各論が一行問題(30点)です。

対策として、塩見淳『刑法の道しるべ』を読みました。論点解説本で、総論8テーマ、各論6テーマが収録されています(各論は、住居侵入罪の保護法益・「侵入」の意義/奪取罪における不法領得の意思/不法原因給付と詐欺罪・横領罪/公共危険犯としての放火罪/偽造の概念/賄賂罪における職務行為)。

2013年から2017年までの出題テーマで、カバーされていないのは2013年の名誉毀損における真実性の錯誤だけだったので、これさえ読めば書けるはずと思い、前日と1日目の刑法の前の昼休みを使ってこれを読みました(が、カバーされてないところから出ました。もっとも、これ自体はかなりよい本なので、東大までに総論も読んでおこうと思います)。

なお、「刑法の道しるべ」というタイトルですが、帯にあるとおり「刑法の"頂"」への「道しるべ」なので、それなりに自信がついてきてから読んだほうがいいです。

刑法の道しるべ (法学教室ライブラリィ)

刑法の道しるべ (法学教室ライブラリィ)

 

刑訴は、以前に「えんしゅう本」を解いたときのノートを見返しました。

他は特に何もしませんでした。早稲田だからやる気が出なかった。

 

当日のこと

1日目が、民法 10:00~12:00(120分)、刑法 13:30~15:00(90分)、憲法 16:30~17:30(60分)。2日目が、民事訴訟法・刑事訴訟法 10:00~12:00(120分)。会場が早稲田だったので特に感慨も迷うこともありませんでした。受験票があまりに簡素なので、単なる願書受領通知と勘違いして捨てそうになったり、2日目に持っていくのを忘れたりしましたが、特に問題はありませんでした。

民法

1問目は、親権者の利益相反・代理権濫用。2018年度の問題を解いたときにリークエで確認していたのでなんとかなった気がします。

2問目が動産・不動産の譲渡担保。一通りのことしか書けていませんが、担保は放置の人が多そうなので相対的にはプラスなんじゃないでしょうか。もっとも、集合動産譲渡担保じゃなかっただけマシではあります(いつかの定期試験)。

刑法

1問目は、女性が、自分や連れ子を虐待していた同棲相手の男を間違って刺し、やばいと思ったが自業自得だと思い直して放置し、また、たまたま被害者の母親も訪ねてきたが、やはりかつて家庭内暴力を振るわれていたことを思い出して放置し、結局男は死亡したという事案。よくわかりませんでしたが、女性については刺した行為は誤想防衛ということにして、放置行為に殺人罪を認め、母親については無罪としました。救命可能性の書き方があからさまでした。こんなの見たら誰だって「十中八九」の判例を思い出しそう。

その結果、Bは出血多量で数時間後に死亡したが、甲が闘争する段階で救急通報していればBをほぼ確実に救命することができた。また、乙がBを発見した段階で救急通報していれば、確実とはいえないが、救命できる可能性があった。

2問目は、二重譲渡と横領でした(初登場)。塩見淳『刑法の道しるべ』に載っていなかったので絶望しましたが、横領罪の一般的解釈について述べたあと、譲渡人について刑法の謙抑性がどうとかいう話をしました。

終わってから教科書を読んだところ、譲渡人に横領罪が成立することに争いはなく、問題は第二譲受人にその共犯が成立するかが争いになっているようです。すなわち、判例によれば、(1)善意の第二譲受人は、故意がないから共犯は成立せず、(2)悪意の譲受人は、単なる悪意の場合、民法177条の解釈との関係上共犯は成立しないが(最判昭和31・6・26刑集10巻6号874頁)、(3)背信的悪意者の場合、共犯が成立する(山口厚『刑法』333頁(有斐閣、2015))。言われてみるとそうだなあと思いますが、完全に忘れていました(必要的共犯でそうなりがち)。なお、僕は磯村先生の単純悪意者排除説を支持しています。

ところで、唯一時間が足りなくなったのが刑法でした。余計なことを書いたのかもしれません。あるいは二重譲渡に面食らってしばらく考え込んだのが原因かも(先に各論を解きました)。

憲法

神道関係者が、しめ縄・神具に使うために大麻の栽培の免許を申請したが、拒否され、無免許のまま栽培したため、起訴された事案。よくわかりませんでした。被告人はいつもの審査基準論、私見は(苦し紛れに)A県知事の主張を手がかりに書きました。

なお、牧会活動事件くらいしか思い浮かばなかったんですが、アメリカにはEmployment Division v. Smithという類似の事件があります(もっとも覚えていたのは事案だけで、あまり役に立ちませんでした)。Wikipediaからの引用ですが、Native American Churchの信者であるSmithが、強力な幻覚作用を持つ禁止薬物であるpeyoteを使用としたところ、解雇されたという事案です。判決は、「if prohibiting the exercise of religion is not the object of the [law] but merely the incidental effect of a generally applicable and otherwise valid provision, the First Amendment has not been offended」として、制約を否定しています(Employment Division v. Smith - Wikipedia)。

民事訴訟

T教授のいう「後決関係」と、先決関係についての問題。何を書けばよいのかよくわからず、既判力の定義、客観的範囲、主観的範囲、時的限界、それぞれの事案で抵触があるかを書きました。

刑事訴訟法

証言と矛盾する(別人の)供述録取書の証拠能力。何を書けばよいのかよくわからず、伝聞禁止にあたること、3号書面であること、328条について限定説を取った上でそれにあたらないことを書きました。17行で終わりました。

民訴・刑訴は併せて2時間なのですが、1時間で終わってしまい、六法に入ってた大日本帝国憲法と、退位特例法の1条ポエムを読んでたら終わりました。ちなみに退位特例法1条は本当にポエムです。

この法律は、天皇陛下が、昭和六十四年一月七日の御即位以来二十八年を超える長期にわたり、国事行為のほか、全国各地への御訪問、被災地のお見舞いをはじめとする象徴としての公的な御活動に精励してこられた中、八十三歳と御高齢になられ、今後これらの御活動を天皇として自ら続けられることが困難となることを深く案じておられること、これに対し、国民は、御高齢に至るまでこれらの御活動に精励されている天皇陛下を深く敬愛し、この天皇陛下のお気持ちを理解し、これに共感していること、さらに、皇嗣である皇太子殿下は、五十七歳となられ、これまで国事行為の臨時代行等の御公務に長期にわたり精勤されておられることという現下の状況に鑑み、皇室典範…第四条の規定の特例として、天皇陛下の退位及び皇嗣の即位を実現するとともに、天皇陛下の退位後の地位その他の退位に伴い必要となる事項を定めるものとする。

なお、デイリー六法をもらえました。抄録の法律は目次が掲載されてないのと、知財が全部抄録なの以外は気に入ったので、常用しようと思います。特に民法現行規定や執行・保全・破産が民法なみの扱い(大きいフォント、参照条文)なのは、予備試験・司法試験的にも、民訴ゼミ的にもポイント高いです。知財知財六法あるからいいかな。

これからやること(全般)

まずは明日から1週間、ある投資銀行インターンに行ってきます。楽しみ。

次にゼミ。11月初週の合同ゼミのための準備が始まっていて、9月の初週の合宿で中間報告があります。4年生は基本的には3年生を見守るだけだし楽だろうと思っていたのですが、指導教授に(ゼミメーリスで、ひとり名指しで)テーマを追加されたので、そうもいかなそうです。なお、もともと担当していたのがシートカッター事件(最判平成29(2017)・7・10 判タ1444号113頁。特許侵害訴訟において、上告理由として訂正の再抗弁を主張することができるか)、追加されたのが諫早差止訴訟の控訴審判決(福岡高判平成30(2018)・3・19 LEX/DB 25449441。【民訴】諫早開門判決の請求異議認容判決などの「開門差止請求訴訟における独立当事者参加」の部分で紹介したもの)です。

最後にTOEIC。先日、7月29日に受けた試験の結果が返ってきました。Listening 360 (50%), Reading 365 (71%), Total Score 725 でした。Listeningのほうがはるかに平均スコアが高いんですね。知りませんでした。

9月9日に2回目の受験を予定しています。東京大学一橋大学への出願に間に合う最後の回なので、とりあえずリスニング対策にSuitsを見ようと思います。

これからやること(法律に関して)

東大に過去問を買いに行く。憲法会社法行政法を強化する。しばらく余裕があるので、演習書でも解こうかと思います。

2019年度早稲田大学法科大学院 再現 刑事訴訟法

1 Bの供述録取書を証拠とすることは,「公判期日における供述に変えて書面を証拠と」することにあたるから,伝聞例外の各規定に当たらない限り,証拠調べを認めることはできない(320条1項).

2 Bの供述録取書は,「被告人以外の者…の供述を録取した書面」で「前二号に掲げる書面以外の書面」にあたるから(321条1項柱書,3号), (1)Bの署名または押印があり,(2)Bが公判期日等において供述不能であり,(3)犯罪事実の証明に不可欠であり,(4)絶対的特信情況がある場合にのみ,証拠調べを認めることができる.

3 もっとも,検察官は,Aの証言の証明力を争うために,Bの供述録取書を証拠調べ請求しているから,「公判期日における…証人…の供述の証明力を争うため」にあたり,証拠調べを認めることができるのではないか(328条).

 確かに,同条は,証明力を争うための証拠について,何ら限定を加えていない.しかし,およそ証明力を争うためであればいかなる伝聞証拠も証拠調べをすることができるとすれば,伝聞証拠禁止の原則や,厳格な伝聞例外の規律は無意味になり,不当である.同条によって証拠調べをすることができるのは,その証拠によって争おうとする供述をした者がした,これと矛盾する供述に限られると解するべきである.

 本件では,争われるのはAの供述であるから,同条によってBの供述録取書の証拠調べを認めることはできない.

 したがって,2に述べた4要件を満たさない限り,証拠調べを認めるべきではない.